補足資料

波の運動と分散関係式
第 8 回 講義補足
1
ラプラス方程式の解
水の流れは非圧縮、非粘性、渦なしと仮定し、波の運動を記述する。流
れの速度はポテンシャル Φ によって u = ∇Φ と与えられ、速度ポテンシャ
ルは(非圧縮の場合の連続の式から)ラプラス方程式を満たす:
∇2 Φ = 0.
(1)
z 軸を鉛直上向きにとり、x, y 軸は水平面にとるが、以下では流れは本質
的に2次元的であると考え、 流れの y 方向(紙面の奥行き方向) の変化は
ないとする。
水深は一定で h とすると、z = −h での境界条件は
w=
∂Φ
=0
∂z
(z = −h)
(2)
で与えられる。x 方向に進行する波を考え、
Φ(x, z) = ϕ(z) cos (kx − ωt)
(3)
という変数分離型の解を求める。ラプラス方程式に代入すると ϕ について
(4)
を得る。この一般解は ekz , e−kz の線形結合の形
ϕ = C1 ekz + C2 e−kz
(5)
で与えられる。境界条件の式 (2) から
ϕ = C cosh k(z + h)
(6)
を得る。
次に、ある時刻での自由表面を z = η(x, t) と表すと、自由表面は流線
になっているので(流体が表面を突っ切ったりはしないから)、流線に沿っ
て一般化されたベルヌーイ関数
(7)
1
は保存する。十分遠方で流体は静止していて波はない (z = η = 0) とする
と流体表面の圧力は大気圧 Pa と等しいため、
∂Φ1 1 2
Pa
Pa
+ (u + w2 ) +
+ gη =
.
∂t
2
ρ
ρ
(8)
表面近くの水の鉛直方向速度 w と表面 z = η の変動は次の式
Dη
∂η
∂η
∂Φ1
=
+u
= w (=
)
Dt
∂t
∂x
∂z
(9)
で関係づけられるが、振幅の小さな線形の波を考えると、微小Φ(高次)
項は無視して、式 (8), (9) は以下のように簡潔になる。
∂Φ1
+ gη = 0,
∂t
(10)
∂η
∂Φ1
=
.
∂t
∂z
これらから、自由表面でのポテンシャルは
(11)
∂ 2 Φ1
∂Φ1
=0
+g
∂t2
∂z
(12)
を満たす。今考えている解の形 (3), (6) を代入すると
(13)
となり、分散関係式
ω 2 = gk tanh kh
(14)
を得る。したがって波の速さは
c=
ω
=
k
波長が長い(kh が小さい)極限で、先週の結果 c =
2
(15)
√
gh を得る。