レポート課題 (11 月 20 日出題) の解答例とコメント 【課題】線形変換 T : W −→ W と自然数 k について, ⃗p ∈ W が T k (⃗p) = ⃗0 かつ T k−1 (⃗p) , ⃗0 が成り立つ時次を 示せ. ( (1) P = T k−1 (⃗p) T k−2 (⃗p) · · · ) ⃗p は 1 次独立であることを示せ. T (⃗p) (2) P の生成する空間 W0 = ⟨P⟩ は T の不変部分空間であることを示せ. (3) T を W0 に制限した写像の基底 P に関する表現行列は O 0 1 . ( 0 .. = 0 .. . 1 0 0 1 O 0 Ek−1 0 ) であることを示せ. 【解答例】(1)P の 1 次結合が ⃗0 になったとする. c1 T k−1 (⃗p) + c2 T k−2 (⃗p) + · · · + ck−1 T (⃗p) + ck ⃗p = ⃗0 両辺のベクトルを T k−1 により移せば,l ≧ k について T l (⃗p) = T l−k ◦ T k (⃗p) = T l−k (⃗0) = ⃗0 なので ck T k−1 (⃗p) = ⃗0 を得る.これと T k−1 (⃗p) , ⃗0 より ck = 0 を得る.ゆえに c1 T k−1 (⃗p) + c2 T k−2 (⃗p) + · · · + ck−1 T (⃗p) = ⃗0 である.この両辺のベクトルを T k−2 により移せば,同様に ck−1 T k−1 (⃗p) = ⃗0 を得る.よって ck−1 = 0 である. 以下同様の議論を繰り返せば,すべての係数が 0 になり,1 次独立であることが示される. (2) ⃗v ∈ W0 は ⃗v = c1 T k−1 (⃗p) + c2 T k−2 (⃗p) + · · · + ck−1 T (⃗p) + ck ⃗p と表せる.ゆえに T (⃗v) = c1 T k (⃗p) + c2 T k−1 (⃗p) + · · · + ck−1 T 2 (⃗p) + ck T (⃗p) = c2 T k−1 (⃗p) + · · · + ck−1 T 2 (⃗p) + ck T (⃗p) であり T (⃗v) ∈ W0 が成り立つ.ゆえに W0 は T 不変である. (3) 表現行列は ( T (P) = ⃗0 T k−1 (⃗p) · · · ) ( T 2 (⃗p) T (⃗p) = T k−1 (⃗p) T k−2 (⃗p) · · · である.なおこれは Jordan 細胞 J(0, k) に他ならない. 【コメント】 T (⃗p) 0 1 0 ) ⃗p O .. .. . . O 1 0 1 0 • どれも易しい問題であり,解答を読めば理解できるだろう.ただし提出者が 4 人と少なく残念である. • (1) は同じ議論の繰り返しなので「同様に」として構わない.ただし,ck = 0 が得られた時点で「同様 に」とするのはまずいだろう.次の段階では T k−2 により移った先を考えるのであり,T の冪を 1 つず つ下げていくことが要点だからだ.
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