11月27日

レポート課題 (11 月 20 日出題) の解答例とコメント
【課題】線形変換 T : W −→ W と自然数 k について, ⃗p ∈ W が T k (⃗p) = ⃗0 かつ T k−1 (⃗p) , ⃗0 が成り立つ時次を
示せ.
(
(1) P = T k−1 (⃗p) T k−2 (⃗p) · · ·
)
⃗p は 1 次独立であることを示せ.
T (⃗p)
(2) P の生成する空間 W0 = ⟨P⟩ は T の不変部分空間であることを示せ.
(3) T を W0 に制限した写像の基底 P に関する表現行列は


O
 0 1


.
 (

0 ..


 = 0
..


. 1
0



0 1 

O
0
Ek−1
0
)
であることを示せ.
【解答例】(1)P の 1 次結合が ⃗0 になったとする.
c1 T k−1 (⃗p) + c2 T k−2 (⃗p) + · · · + ck−1 T (⃗p) + ck ⃗p = ⃗0
両辺のベクトルを T k−1 により移せば,l ≧ k について
T l (⃗p) = T l−k ◦ T k (⃗p) = T l−k (⃗0) = ⃗0
なので
ck T k−1 (⃗p) = ⃗0
を得る.これと T k−1 (⃗p) , ⃗0 より ck = 0 を得る.ゆえに
c1 T k−1 (⃗p) + c2 T k−2 (⃗p) + · · · + ck−1 T (⃗p) = ⃗0
である.この両辺のベクトルを T k−2 により移せば,同様に ck−1 T k−1 (⃗p) = ⃗0 を得る.よって ck−1 = 0 である.
以下同様の議論を繰り返せば,すべての係数が 0 になり,1 次独立であることが示される.
(2) ⃗v ∈ W0 は
⃗v = c1 T k−1 (⃗p) + c2 T k−2 (⃗p) + · · · + ck−1 T (⃗p) + ck ⃗p
と表せる.ゆえに
T (⃗v) = c1 T k (⃗p) + c2 T k−1 (⃗p) + · · · + ck−1 T 2 (⃗p) + ck T (⃗p) = c2 T k−1 (⃗p) + · · · + ck−1 T 2 (⃗p) + ck T (⃗p)
であり T (⃗v) ∈ W0 が成り立つ.ゆえに W0 は T 不変である.
(3) 表現行列は
(
T (P) = ⃗0 T k−1 (⃗p) · · ·
)
(
T 2 (⃗p) T (⃗p) = T k−1 (⃗p) T k−2 (⃗p) · · ·
である.なおこれは Jordan 細胞 J(0, k) に他ならない.
【コメント】
T (⃗p)

 0 1


0
) 
⃗p 



O
..
..
.
.

O





1

0 1 
0
• どれも易しい問題であり,解答を読めば理解できるだろう.ただし提出者が 4 人と少なく残念である.
• (1) は同じ議論の繰り返しなので「同様に」として構わない.ただし,ck = 0 が得られた時点で「同様
に」とするのはまずいだろう.次の段階では T k−2 により移った先を考えるのであり,T の冪を 1 つず
つ下げていくことが要点だからだ.