レポート課題(10 月 23 日出題)の解答例とコメント

レポート課題(10 月 23 日出題)の解答例とコメント
V の次元を n とおけば,基底の変換の行列 A は n 次正方行列である.Q は基底なので一次独立であ
り,1 次結合 Qx が ⃗0 になるのは x = 0 の時に限る.基底の変換 Q = PA について
問題 1.9
Qx = (PA)x = P(Ax)
となるが,Ax = 0 なら Qx = ⃗0 であり x = 0 を得る.同次連立 1 次方程式 Ax = 0 の解は 0 のみであ
り,A の階数は n となる.すなわち A は正則である.
逆に A が正則であるとする.Q の 1 次結合 Qx が ⃗0 になったとすれば
Qx = P(Ax) = ⃗0
であり P が 1 次独立であることから Ax = 0 を得る.A は正則なので x = 0 であり Q は 1 次独立であ
る.Q の生成する空間は n 次元なので V と一致する.すなわち Q は V の基底である.
【コメント】
• 前半は Q を P に変換する行列 P = QB を用いて
P = QB = (PA)B = P(AB)
より AB = E としても良い.ただしこの式から AB = E を導くためには P の一次独立性が必要で
ある.例えば AB の第 j 列を c j とすれば ⃗p j は P の係数 c j による 1 次結合である.1 次結合とし
ての表し方は一通りなので c j は第 j 基本列ベクトルでなくてはならない.このことから AB = E
を得る.
• 後半は Q = PA の 1 次独立性しか示していない答案がある.基底であることを示すには 1 次独立
と生成するの 2 つを言う必要がある.
• テキスト 7 ページ 3 行目の図式は Q = PA であれば成り立つ.P が基底であることと ΦP が全単
射であることが同値(命題 1.5)であり,A が正則であることと A をかける線形写像が全単射であ
ることは同値である.また全単射であることと逆写像をもつもことも同値だ.以上から 3 つのうち
2 つが全単射なら残りの 1 つも全単射であるということが分かる.
問題 1.14
同値関係の定義から
[x] = {y ∈ R3 | y ∼ x} = {y ∈ R3 | y − x ∈ W}
であるが w = y − x ∈ W とおくことにより
[x] = {x + w | w ∈ W}
と表せる.これは平面 W を x だけ平行移動した平面になる.
【コメント】
• 座標空間 R3 内の話なので解答例のように図形的に考えてほしかった.同値類の定義を書いただけ
ではつまらない.