山本 雄士

資 料 3
日医総研シンポジウム
抄録集
講
演
Ⅲ
ビッグデータ時代の
医療と臨床家のあり方
株式会社
ミナケア代表取締役
山本 雄士
ビッグデータ時代の医療と臨床家のあり方
ソニー&6/ リサーチャー
株式会社ミナケア 代表取締役
山本 雄士
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「ビッグデータ」が意味するもの
ビッグデータで未来が予測できるようになります
ビッグデータ
人の処理能力を(これまで以上に)超えたデータです
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1
医療が複雑化し、情報過多な時代の専門職の業務
技術や知見の増大
– 新規医薬品・医療機器の発達
– エビデンスの蓄積(年間万超の論文発行)
•
心臓超音波検査の論文にすべて目を通すには、
時間に本論文を読んでも年かかる
 知識をどうアップデートしていくか
医療範囲の拡張
– ニーズの多様化(予防から介護まで)
•
予見可能性や結果回避義務が増大する?
•
在宅診療や産業保健、生活への浸透
– チーム医療の普及(異業種とのやり取り)
– 診療現場の拡張
 広がる医療の中でこれからの専門職とは
環境変化の加速
– 日進月歩が秒進分歩になった医療技術開発
– 情報伝達の迅速化
•
情報共有・開示によるメリットと個人情報保護の
バランス
– 人口構造の急速な高齢化
 外部環境にどう対応し、管理するか
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臨床家
臨床
家が考えなくてはいけない「問題」は何か?
未来予測、大規模情報は医療をどう変えるか?
医療提供
医療価値
技術開発
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社会普及
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2
見過ごせないギャップを埋めるツールとして使う
やっている医療
やるべき医療
量の問題
個人と社会の成長に向けた
医療および医療制度の実現
患者数
専門職数
例)
ビッグデータ
質の問題
提供側の現状
社会からの要請
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•
健康の維持・支援をどう組み込むか?
•
ベストアクセスをどう普及させるか?
•
価値に応じた評価や資源配分は?
•
健康を守るための皆保険とは?
•
公正かつ説明可能な医療を整備するには?
•
日本の医療による国際貢献とは?
•
国家の中長期医療戦略の策定は?
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いつ、誰が、どこで医療にアクセスすべきか
万人年の追跡調査
年度に/'/がPP+J以上だっ
た例中:
 が治療なしと回答
 そのうち、が翌年度に
おいても治療なしと回答
 そのうち、が翌々年度
においても治療なしと回答
治療ありと回答した症例の約割が
PJG/未満に改善
医療へのベストアクセスを生み出すには、
さらにどのような情報、どのような伝達が
必要となるか?誰がそれを担うか?
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出典:3IL]HU -DSDQ0LQD&DUH
3
健康の自治や街づくりのデータとして
健康
地理情報と医療情報の組み合わせから、医療資源の配分や配分結果を評価
継続的かつ常時評価を行って、改善を図る
ここで必要な情報はどのように得るのか?公共の利益と個人情報のバランスは?
地域別分析の一例
実例ではありません)
&区第一地域センター
$区第一地域センター
&区第二地域センター
$区第二地域センター
'区第一地域センター
八潮地域センター
'区第二地域センター
%区第一地域センター
'区第三地域センター
%区第二地域センター
'区第四地域センター
%区第三地域センター
'区第五地域センター
画像引用元: 品川区+3 「地域センター・区民集会所」 を改変
KWWSZZZFLW\VKLQDJDZDWRN\RMSKSSDJHKSJKWP
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新たな医学的知見を得るための技術
新た
な医学的知見を得るための技術・概念として
症例報告
•
•
•
個人・集団の経験
学会への報告
賢人の教え
•
経験則(([SHULHQFH\)
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臨床研究
•
•
•
仮想現実での実験
学会の指針
科学的な期待値
•
有効性((IILFDF\)
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ビッグデータ
•
•
•
実社会の現象
学会の実際
集合知からの予側
•
•
実効性((IIHFWLYHQHVV)
アウトカム(2XWFRPH)
医
学
的
知
見
4
数字のトリックが判断を誤らせる
この川は渡れるか?
平均身長
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P
平均深度
P
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大量データによる技術開発の変化
医療の価値
+
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5
データ活用の成否に関わる「専門職」の定義
収集
保管
整理
抽出
データの取得
–
–
解釈の
罠
すでに医療職の手を離れつつある
データの選択や統合をバイアスと見るか?
データの解析
データ
–
–
–
–
の限界
医学の
体系
個人情報と社会資産のすり合わせ
データ上の有意差より、臨床的な意義が重要
必要なのは因果関係か、相関関係か
医学という「バイアス」
データの適用
適切な
適切な
適切な
粒度
知識
範囲
適切な
タイミ
ング
適切な
仕組み
「人」の健康と
社会の成長
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–
–
–
どの情報を採用し、その結果をどう担保するか
専門職の区分けは知識量から判断・責任能力へ
客観データの「カテゴリ」から「人」への還元
データの先にある「人」「健康」の意味
–
–
データ予側と人間らしさの狭間で健康を目指す
それを管理するのは誰か、活用するのは誰か
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専門職がイニシアチブをとることが求められる
専門職がイニシアチブをとること
が求められる時代
ビッグデータ時代によって
見えなかったものが見えるようになりはじめた
–
バイアスは避けられないが、仮想と現実のギャップが埋まりだす
無関係に見えたものがつながりはじめた
–
特に、広大だが静的な系ではより強力なツールとなる
予測と判断のバランスが変わりはじめた
–
経験則による判断に先立って、弱い因果関係の積み重ねでも機械的な将来予測がなされる
こうした時代の医療では
データ化された人の将来を、生身の人の未来へと還元する点はまだ変わらない
– 集合知を獲得する一方、個人への適応および結果と説明の責任は専門職が負う
– 独創性・怠惰・プライド・過ちといった人間らしさをどう汲んでいくか
データの量や質、解析とその活用が発展する中、専門職も対応しなくてはならない
– データで「変わる」のではなく、「変える」ための専門職としての責務・必要なスキル
– その実現に必要な、医療外のスキルやプロフェッショナルとの協調、協働
医療価値の再定義、専門職の行動指針の再検討、
新たな役割の発信を自らが担うべき
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