豪州準備銀行の金融政策と豪ドル相場の動向 - レッグ・メイソン・アセット

<マーケット・レター>
2013年9月3日
豪州準備銀行の金融政策と豪ドル相場の動向
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豪州準備銀行(RBA)は政策金利を据え置き、政策の中立姿勢を示す。当社グループは年末まで据え置きを予想。
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豪州景気は、住宅市場に加えて、消費者センチメント、設備投資、中国向け資源輸出などの面でも回復が進展。
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8月以降の豪ドル相場には安定化の兆し。豪州への直接投資や証券投資の流入継続が豪ドル相場を下支えへ。
RBAは予想通り政策金利の据え置きを決定
豪州準備銀行(RBA)は9月3日の金融政策決定会合で、
政策金利を2.50%で据え置く決定をしました(図1)。RBA
は現行の金融政策は適切であると述べ、先月に続き金融
政策の中立姿勢を維持する方針を示しました。
当社グループの現地運用会社では、2013年末まで政
策金利は現行の2.50%で据え置かれ、2014年末には
( %)
8
図1:豪州の政策金利とインフレ率の推移
7
6
政策金利
(キャッシュ・レート)
5
4
(2013/9/3)
2.50%
2.75~3.00%へ小幅の利上げ実施を予想しています。
3
豪州景気の回復が内外需全般に進展
これまで豪州の景気回復は金利敏感な住宅市場などに
限られてきましたが、足元では内外需全般にも回復が進
展し始めています。
2013年4-6月期の民間設備投資は前期比+4.0%と、3
四半期ぶりに増加に転じました。鉱業セクターの設備投資
が前期比+6.4%と大きく伸びた上に、非鉱業セクターでも
インフレ目標レンジ
(2~3%)
1
0
03
04
05
06
07
08
09
基調インフレ率
(前年比)
10
+0.1%と回復は緩やかでしたが、過去の一連の利下げ効
(100万トン)
80
また、外需の面では、2013年前半に懸念された中国景
13
2013年7月
7,314万トン
(前年比+26.4%)
70
60
果や住宅価格上昇による資産効果などから、今後は個人
消費にも景気回復の波及が期待されます。
12
図2:豪州の中国向け鉄鉱石輸出
(中立=100)も、2013年8月には105.7と前月(102.1)
から改善を示しています。7月の小売売上高は前月比
11
(出所)豪州準備銀行、ブルームバーグ
政策金利:2003年1月~2013年9月3日
基調インフレ率:2003年1Q~2013年2Q
同+0.7%と緩やかな設備投資の回復がみられました。
また、個人消費の先行指標である消費者信頼感指数
2.4%
(2013/2Q)
2
中国の鉄鉱石輸入
50
40
気の減速リスクが後退する兆しがみられます。中国の
2013年8月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は51.0
と市場予想(50.6)を小幅上回る回復を示しました。
加えて、2013年6月の豪州の中国向け鉄鉱石輸出は
前年比+30.0%と堅調な拡大基調を維持しています(図
2)。豪州資源セクターでは、設備投資の拡大局面から生
産・輸出の拡大局面にシフトする過程にあり、資源輸出拡
大は引き続き豪州景気を下支えすると考えられます。
30
2013年6月
3,649万トン
(前年比+30.0%)
20
10
豪州の中国向け鉄鉱石輸出
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
(出所)中国税関、豪州政府統計局
(期間)2005年1月~2013年7月(豪州の輸出は6月まで)
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作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す
るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ
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<マーケット・レター>
8月以降の豪ドル相場には安定化の兆し
図3:豪ドルの対米ドル・対円レートの推移
2013年8月の豪ドル相場は、対米ドルでは1豪ドル=
0.89~0.92米ドル、対円では1豪ドル=86~90円のレン
ジで概ね横ばいの推移となっています(図3)。9月17-18
(円)
110
日の米公開市場委員会(FOMC)が目前に迫る中、米量
105
的金融緩和の早期縮小観測への懸念を背景にした豪ド
(米ドル)
1.100
対円レート
(左軸)
1.075
100
1.050
95
1.025
90
1.000
は-93.5億豪ドルと、1-3月の-87.4億豪ドルから赤字が
85
0.975
小幅拡大しました。ただし、4-6月の経常赤字はGDP比
80
0.950
ル売り圧力にも足元では緩和の兆しがみられます。
短期資金の流出が4-6月の豪ドル安を主導
9月3日に公表された4-6月の経常収支(季節調整済)
2.5%と、2012年の同3.7%と比較しても低水準にあります。
75
また、金融取引による資本フローを示す4-6月の金融収
70
支は+39.7億豪ドルと、1-3月の122.9億豪ドルから資本
60
12年1月
資金流出が大幅に拡大しており、4月以降の豪ドル安はこ
海外企業による豪州への進出・投資を示す直接投資の
13年7月
図4:豪州における金融取引による資本フロー
(10億豪ドル)
40
資本流入
性資金である直接投資や証券投資の流入は、今後も豪ド
ル相場の下支えすると期待されます。
0.850
13年1月
12年7月
(出所)ブルームバーグ
2012年1月2日~2013年9月3日
豪州への直接投資や証券投資の流入は継続
資は4-6月も安定した資金流入基調にありました。中長期
0.875
豪ドル安
借や預金などの短期の資金取引を示す「その他投資」の
一方、豪ドル安の環境下でも、むしろ直接投資や証券投
0.900
65
流入ペースが鈍化しました(図4)。4-6月は銀行間の貸
うした短期資金の流出に主導されたものと考えられます。
0.925
対米ドルレート
(右軸)
豪ドル高
30
20
面では、足元の豪ドル安を受けた割安感から、海外企業
による豪州企業の買収が拡大する可能性があります。近
10
年は、豪州の金融・不動産・消費関連など内需セクターに
対する海外企業による買収が増加傾向にあり、豪州の内
需回復も直接投資の流入を促すと予想されます。
0
-10
また、豪州への証券投資の大勢を占める債券投資の面
では、他の先進国と比較して高い利回りを維持する豪ドル
建て債券は、今後も豪州への資金流入を引き付ける要因
となることが期待されます。
【当面の注目スケジュール】
 2013年9月4日:豪4-6月期GDP
 2013年9月7日:豪総選挙
 2013年9月17-18日:米FOMC(連邦公開市場委員会)
-20
資本流出
-30
10
11
12
その他投資
金融デリバティブ
直接投資
金融収支
13 (年)
証券投資
(出所)豪州政府統計局(ABS)
(期間)2010年1Q~2013年2Q
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