直播栽培における除草剤の処理適期 - 東北農業試験研究協議会

東北農業研究
(Tohoku Agric Res)52, 61-62(1999)
直 播 栽 培 に お け る 除 草 剤 の 処 理 適 期
須 田
康・三 浦 恒 子
(秋 田県農業試験場 )
Herbicide Timing for Most Effective ContrO1 0n Direct Seeded Rice
KOu SuDA and Chikako MIuRA
(Akita Agricultural Experiment StatiOn)
1
表
は
じ め
1
試験区構成 と処理時期
に
直播栽培における主要雑草のノビエ は水稲 よりも葉齢 の
進展が早 いことか ら、水稲 が 出芽する前又は出芽後 間 もな
い時期 に除草剤を処理す ることになる。 このため ,水 稲 に
対 して薬 害 の発生する可能性が高 く,除 草剤 の適期処理が
難 しくなっている。本試験 では,SW-751-3 kg粒 剤 (初
kg粒 剤 (初 。中期一発剤),NB
期剤),TH-913HSK-l
注 対照区 については無処理 とした。
()は 湛水処理後 日数
A-941-l kg粒 剤
(ノ ビエ 3葉 期 一 発剤 )の 3剤 を用 い
て ,薬 害 の有無 について検討 し,本 田における適正 な体系
2試
は)供 試薬剤
(表
試験結果及び考察
2)の 出芽率 は両播種様式 とも湛水処理直後
の処理 か ら96%以 上 と高 か った。 また,苗 立 ちにお いて も
験
方
薬害 の問題 はなか った。草丈 ,葉 齢 ,最 長根長 ,根 数 で は
法
薬害 はいずれの処理 において も認め られなか った。折衷直
:
1)SW-751-3 kg粒 剤 (以 下 SW剤 ):ピ ラブレー ト(10
%)
播 についてはこれまでの潤土直播 と同様 に薬害 に対す る安
全性が確認 された。
2)TH-913HSK-1贈
粒剤 (以 下 TH剤 ):イ マ ゾスル
ロ
フ ン (09%),エ トベ ンザ ニ ド (15%),ダ イ ムロ
ン (15%)
3)NBA-941-l kg粒 剤 (以 下 NBA剤 ):ピ
フロ ンエチル (03%),メ フェナセ ッ ト
ハ ロホ ップブチル (15%)
(2】
3
SW剤
処理時期 を策定するための資 とする。
表2
SW剤 の処理時期 と生育抑件1
ラゾスル
(75%),シ
吏用容器 :41co× 29cI× 7 cIIプ ラスチ ックバ ッ ト
3)使 用上壌 :水 田土壌 (沖 積埴壌土 ,幡 野統)
充填量 は 3L/1バ ット,無 肥料栽培
14)試 験場所
:温 室 (146∼ 203℃ )
Q播 種様式
:乾 田土中早期湛水直播 (以 下折衷直播 )
湛水直播 (以 下潤土直播)
16)播 種方法
:播 種深度 lm,1条 20粒 × 3条 ,条 間 (5 cm)
株間
(lm),3連 制
TH剤
0)播 種 日及 び湛水処理 日 :折 衷直播 3/19
潤土直播 3/20
(8)供 試品種
:で わひか り
(9)処 理時期
:表 1を 参照
3)の 出芽率 は両播種様式 ともに湛水処 理 直
理 ともに草丈 ,葉 齢 ,根 数 については優意な差が認 め られ
なかった。 しか し,最 長根長 では折衷直播 の湛水処理 直後
α
O出 芽率 :3月 31日 に出芽率 を調査 した。
処理 と出芽時処理で無処理区 よ り短 く,根 の伸長抑制 が 認
:4月 10日 に苗立数を調査 した。
薬害 の調査 :4月 10日 に出芽 した苗 について調査 を行 っ
CD苗 立率
0カ
(表
後か ら高 く,苗 立 ちにおいて も同様であった。 また ,各 処
め られたがその後観察 により回復 した。
NBA剤
(表
4)の 出芽率 は,湛 水処理直後 の処理で折
衷直播 は88%,潤 土直播 は87%と 無処理区より約 10%低 く
出芽 の抑常Jが 認め られた。最終的な苗立 ちは,両 処理区 と
た。
,
も湛水処理直後では生育停止や枯死が多 くなり,ほ とん ど
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東 北 農 業 研 究
52号 (1999)
1
NBA剤 の処理時期 と生育抑制
処区
無理
表4
TH剤 の処理時期 と生育抑常
種式
播様
表3
第
軋ロヨ
=
+0
10L
%
98
0
率
8
0
190
17
Cm
敗
(/本 )
苗立ちせず ,折 衷直播 では10葉 期処理 と15葉 期処 理 ,潤
土直播では15葉 期処理区 で無処理区 と同等 の苗立ちになっ
23
78
108
83
64
4
ま
16
12
14 1
87
19
18
11
と
1
5
1
17
21
16
69
10
29
5
め
た。出芽時処理以降 では折衷直播 の方 が潤土直播 よ り苗立
ちが良 い傾向 にあった。両播種様式 ともに湛水処 理 直後処
以上 の結果 より,SW剤 は折衷直播 ,潤 土直播 と もに水
稲 に対する薬害 の発生 が認 め られなか ったことか ら体系処
理か ら草丈 が短 く,葉 齢 については,両 播種様式 ともに湛
理 の初期剤 として有効 である。 TH剤 は折衷 直播 ,潤 土直
播 ともに早 い時期 の処理 ほど最長根長 の抑制 をみたが ,そ
水処理直後処理 か ら出芽時処理 まで生育停止がみ られ ,薬
剤 による影響 が認め られた。最長根長 については両播種様
の後回復 した ことか ら湛水処理直後処理以降 の使用が可能
式 ともに湛水処理直後処理 か ら出芽時処理 まで無処理区よ
である。 NBA剤 は湛水処理直後処理か ら,薬 害 が 発生 す
るので処理適期 としては折衷直播 で は水稲 10葉 _IJ以 降
り短 く,根 の抑制 がみ られた。根数 は折衷直播では湛水処
理 直後処 理 ,潤 土直播では湛水処理直後処理か ら出芽時処
理 まで抑制がみ られた。
,
潤土直播 では水稲 15葉 期以降 に使用す ると安全である。
本試験 の結果 と,落 水出芽法 による圃場試験 を実施 し播
種様式別直播栽培 の除草体系 を確立する。
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