ホ タテガイ養殖漁場の合理的管理 技術 に関 す る研 究 ( 要 約) 須川 人忌 ・佐藤 恭 成 ・山内 高博 ・ 蝦名 政仁 ・相坂 幸二 ・田中 俊輔 ホタテガイ養殖漁場 におけ る付着生物 としてム ラサ キイガイ、キヌマ トイガイが主 な生物 として知 られてお り、 これ らの付着生物はホタテガイ と類似 の餌 を捕 食す るこ とか ら餌料競合生物 で もあ る。 また、害敵生物 として ヒ トデ 、ニホンコップム シが あ り、その他 に ホヤ類 、フジツボ類 、苔虫類 、海 藻類等がある。養殖龍には付着物が 多量に付 くこ とか らホタテガイの餌料が不 足 し成長が停滞す る と 共 に養殖龍 内の海水交換が悪 くな り- い死等の遠 因になっている もの と考 えられている 。 本研究 ではホタテ ガイ養殖管理 の合理化 を図 るため付着物 の少量化 を目指 し種苗 の安定確保 と生産 の効率化及び経費の削減 を図 るため付着及び害敵生物防除のための基礎知見 を得 るこ とを目的 として いる 。 初年度の本年 はホタテガイ、付着及び害敵生物の初期発生か ら成育期に至 る生態特性 を調べ る一方、 ホタテガイ養殖 の実態に関す る調査 を実施 した。 なお、詳細は地域重要新 技術開発促進事業 「ホタテ ガイ養殖漁場 の合理 的管理 技術 に関す る研 究」平成 2年度報告書 ( 平成 3年 3月 青森県水産増殖 セ ンター ) として報告 した。 研 究結果 の要約 ( 1 ) 陸奥湾 なおけ るホタテガイ、付着及び害敵生物の浮遊幼生 の出現動 向 を調べ基礎 資料の蓄積 を行 なった。 ( 2) ム ラサ キイガイ浮遊幼生 はホタテガイ と同様 の水深帯 に出現 してお りホタテガイ採苗器- の付者 は共 に進行 す るもの と考 え られた。 ( 3) 平成 2年 の ヒ トデ浮遊幼生 は ピピンナ リア及びブ ラキオ ラ リアが共 に多 くホタテガイ採苗器- の 1 9. 4 個/ 袋 で過去最大 であった。 付着 は仝湾平均 1 ( 4) ホタテガイ採苗器 にはム ラサ キイガイが最 も多 く付着 し全体 の6 2. 1 % を占め た。 また、ム ラサ キ イガイの付着 は 1 0月 まで観察 され水深 2 0m以浅 で多い傾 向にあった。 ● ( 5) ム ラサ キイガイの付着盛期 は水温 8- 1 5℃ 台の 4月∼ 6月 と考 え られ、この期 間養殖施設 ● を水深 2 0m以深に沈め るこ とが有効 であ る と考 え られた。 * 現 青森県水産部漁業振興課 - 79 - ( 6) パー ルネ ッ ト及びダイヤ ロンロー プへ のム ラサ キイガイの付着 は採苗器 同様 2 0m以浅 で多 く下層 にな るに従 い減 少す る傾 向 を示 した。 ( 7) ム ラサ キイガイは殻長 27 0-32 0〝mで付着 し1 0月以降急速 に成長 した。湿重 量 ( W l)及び乾燥 重量 ( W 2) と殻長 (SL)の間には次 の関係式が得 られた。 W 1 - 1. 1 95×1 04 sL2・937 (r-0. 989) W 2 - 5. 11 9×1 05 sL2・878 (r-0. 997) ( 8) ム ラサ キイガイの付着が顕著 な養殖龍 ( パー ルネ ッ ト)では海水交換が不十分 とな り日間成長量 も劣 った。 ( 9) 水温は平年 に較べ 高 い状態 で推移 し、 8- 9月には23℃ 以上 が長期 間継続 したため ホ タテガイ椎 貝 (0年 貝 )の成長 は停滞 しへ い死及び外套 膜の後退が観察 された。 佃 養殖現場 では常 に- い死 貝が生 じてお り過大 な増養殖数 量 に よるホタテガイ- の負荷 は深刻 であ るこ とか ら養殖方法 の改善 が必要 である。 - 80 -
© Copyright 2024 ExpyDoc