第1回日本統合医療学会 ポスター発表抄録 福田式刺絡で消失した鼻腔原発形質細胞腫の五年の経過 牧 典彦 牧リハビリテーション病院1) 1995 年に福田稔医師と安保徹教授の共同作業で癌を含む慢性疾患の原因を説明し治療する考え方 が紹介された。自律神経と免疫メカニズムの法則とも知られ、いわゆる『福田-安保』理論である。 安保教授は顆粒球がアドレナリン・レセプターを通じて交感神経支配されており、一方リンパ球が アドレナリン・レセプターを通じて副交感神経によって支配されている事実を発見した。免疫メカ ニズムの中で癌細胞を攻撃する最も重要な役割はリンパ球が果たすため、副交感神経を優位にして リンパ球の比率を上げれば癌の自然治癒が期待できるという仮説である。福田医師は副交感神経を 優位にする方法として『驚き反応』を利用した。具体的には『福田式刺絡』つまり、四指末端を含 む全身に 26 ゲージの注射針を用いて浅く穿刺し、痛み刺激を極短時間与へて交感神経を一時優位に してそのリバウンドとして比較的長期の副交感優位状態を期待するのである。一回の施術時間は 2 分以内の痛み刺激であり施術後のリバウンドを期待する。頻度は一週間に一回行っている。今回述 べる症例報告は 2006 年の第 44 回日本癌治療学会で口演を行ったが(同学会誌第 41 巻第 1 号 166P) 腫瘍消失後 5 年を経過し、鼻腔鏡での再検査を行ったので再報告したい。 患者は X 年生まれの男性で、X+91 年 8 月に右鼻茸の手術のため近医耳鼻科へ入院。この時術後の病 理で形質細胞腫の診断。ご高齢であるため家族と主治医間で話し合われ経過観察となった。同 12 月 右頬部腫脹と疼痛出現。抗生剤を処方されるが副作用で中止。X+92 年 4 月 21 当院の外来受診。以降 福田式の全身刺絡を週一回行う。6 週後の 6 月1日に右頬部腫脹が消失。CT でも腫瘍の縮小が認め られた。同7月9日の CT で腫瘍がほぼ消失したため同8月17日刺絡を中止。現在に至るまで再発 の兆候はない。
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