東北農業研究 (Tohoku Agric Res)39. 227-228(1986) 秋 田 県 に お け る オ ウ ト ウ 園 の 土 壌 特 性 土壌条件 と葉中無機成分 ,果 実形質 との相互関係 第 2報 松井 新 妻 胤次・ 藤井 芳一 巌 佐 々 木 美佐 子 (秋 田県果樹試験場 ) Soil Characters of Cherry Orchard in Akita Prefecture l lnterrelationship be“ veen soil condition and leaF constituents and characteristics of fruits lwaO MATSUI, Tanetllgu NIIzuMA, YOshikazu FuJII and MiSako SASAKI (Aki● : し め は Fruit― Tree Experiment Statlon) に 一昨年予報で施肥の実態と土壌調査結果 について報告 し 昨年は土壌別 の生 育 と果実形質 について明 らかに した。 , 今回は土壌 の違 いによる葉中無機成分含量を中心 に ,土 壌の 無機態窒素の含量 と根部 の窒素吸収量等 について調査 した。 2 土壌別無機態窒素の消長 図 1 土壌の無機態窒素 と小根 中 の N%と の関係 (1982) 1981年 に土壌の無機態窒素を測定 したところ ,土 壌型で やや異なった傾向を現わ した1)の で ,翌 年 に再度調査 した。 土壌 窒素 の推移 は表 1に 示 したように園地で異な り,NQ 2園 のよ うに 5月 以降漸減する園地 と,NQ l園 のよ うに 7 接な関係を示 し,無機態窒素含量 が 多量 なほど ,根 の窒素 吸収量 の 多いことが覗われた。 このよ うに ,そ れぞれの土壌統ではぼ対応 した関係が認 ∼ 8月 に ピークを示す園地 とがあ った。 これは収穫後の施肥量や有機物施用 の有無 に関係 がある ようであ った。また前年 と異な り,ピ ークが 8月 にあった め られ たことは ,土 壌窒素 の量が吸収量 の指標 として利用 できるものと考え られた。 のは 6∼ 7月 が高温 ,乾 燥 であ り,遅 効き したよ うであ っ 3 it。 表 1 1982年 か ら84年 までの 3か 年 にわたって 7月 中旬に採葉 土壌窒素 への時期的推移 と春季 の根中 N% 採 葉 月 5 2: 1 6 24 1 7 1' 表2 日 8 25 慣式 墟様 懺 菫地 1同 土壌条件と葉中無機成分 %21藉 葉中無機成分 の上壌による違 い(7月 中旬 ) 土壌統群名 同地 年度 K N Ca Mg 028 05' 42' 863 1611192 16` (063) 071 026 02' 024 1'2 533 148 2'3 006 1 80 0,4 077 155 168 142 o o1 0 03 2 78 5 33 03, 032 1 52, 045 048 202 1010 注 1983 252 0212 104 1'04 o6o8 礫質 掲色 森 林 土 2 82 0 1'4 1982つ 雨丁π雨 淵 142 2'3 1 3' 7凛 T扁Tπ 雇両 0 24' 「 2 21 「 1 528 “ 0 o,7 「 〕:賀 6 1983 239 0271 146 1860 0502 259 0210 1'2 133, 04'8 … 132 113 242 0:208 13S 1353 o34' 5 1983 266 0231 1'6 1001 035` 土 壌 窒 素 (NH,■ NO`― ヽ )%/100g 深 さ 0∼ 20" た た し て )は 20∼ 40∝ :1酷 更 に 5月 13日 に上 壌 の無機 態 窒素 測定用 の採 土 (20∼ 40 m)を 行 った際 ,そ の 深 さに分 布 す る小根 (直 径 2∼ 1984 1980 128 113 - 十 =響 1 '64 0 574 │;腸 :腸 腸1滞■常 5藤 )を 採集 し,無機 態 窒素含量 と小根 中 の窒 素含有 率 を調 査 した。 その結 果 ,図 1の よ うに崩積 上 壌 ,水 積 土 壌 と も密 -227- +艦 拙 爾ギ導期麟機弊鼎 露 9 上崚統群間 の有意性 〈● -10ヽ レベル ) 1'83 2 48 0 206 1 '8 NS , NS 1 25' , 0 3'0 NS 東北 農 業 研 究 (1986) した。 にあ った。 僚 14 度 Z 淡緑 (6月 中旬 )と 収穫 直後 (7月 中旬 )の 2回 採葉を行 い ,生 育 や果実形 質 との 関係をみたと ころ ,収穫 直後 の方 がやや高 い相関を得た。 第 1報 で触れたよ うに,80年 は好天 に恵まれ質 ,量 とも に良か った年 であ り,84年 は結 実数 は多か った ものの 果実 の大きさにば らつ きがあ り,葉 分析値は単 に結果を反映 し 12 11 葉中無機成分 と結実及び果実形質 (黄 1983・ 84の 両年にわた って収穫直前 ら/ ぎ‘ 葉中無機 成分含量は同一土壌統で も園地 によって異なっ ていたが ,Pと Caは 崩積 土壌が水積 土壌 よ りも高 い傾 向 し 花束 状単果技当 たり結実践 を行 い ,葉 中無機成分含量を測定 し,そ の結果を表 2に 示 4 39号 第 図2 緑 濃緑 色) 案中 N(7月 図3 葉色と結実数 の関係 ) 葉 中 Nと 糖度 の関係 うに水積土壌をとり上げてみた と こ ろ ,葉 中 N含 量が 26 %ま では糖度 が上昇 し,そ れ以上では低下する傾向がみ ら れた。 ているのか も知れない。 5 葉中無機成分含量 と果実形 質 との土壌統 間差 はなか っ た2)。 しか し,こ れ らの関係は 7園 全体での単相関でみて ま と め (1)本 試験は秋田県 のオウ トウ園 における施肥 の実態 と産 みると,表 0に 示 したよ うに平均果重 では ,結 果不良年の 地の土壌特性を明 らかにする目的 で実施 した。 Nと Mgの 間 に 負 の 相関を有 し,84年 では K,Ca,Mg ("そ の結果 ,平 均施用量 は10`当 た りN:170″ ,P2 06:141″ ,K20:133″ で ,N施 用量 の みを例 に と っ とも負の相関を示 した。 表3 てみて も長野県 の25倍 ,山 形県 の 1.25倍 であ った。 葉中無機成分 と諸形質 との相関 (上 段 :1980, 下段 11984) 葉 中 無 機 005 -016 -008 -027 046ホ -007 -046摯 -006 005 -036 ●)産 地の土壊は水積土壌 と崩積土壌の 2つ の土壌型に大 別 された。 成 分 007 (4)土 壌型別による果実形成の違 いはほとんどみ られなか っ たが ,概 して崩積土壌 の方力増 ,酸 ともにやや高 く,商 品 032 化率 も若千高 い傾向にあ った。 054中 Ⅲ 0 39' しか し,水 積土壌では葉中 N含 量が 26%ま では糖 が 上 -001 -021 -038中 昇 し,そ れ以上では低 下する傾向 にあ った。 )土 壌 の無機態窒素は施肥後漸減す る園地 と 7∼ 8月 に ークを示す園地 とがみ られた。また無機態窒素含量 が多 ピ“ 051構 _071韓 -058“ 015 -042中 _039ネ 002 -020 -006 035 -004 -002 -008 0 39* 注 0 12 -066● ウー044● いほど小根 の窒素吸収量 が多いという関係が認 め られた。 024 -017 -001 039攀 -000 -028 003 -018 011 025 1)7月 中旬採葉 2)中 … 5%レ ∼ レで有意 彗 -0 16 ●)葉 分析値 は収穫前 よ りも収穫後 の 7月 中旬 の方が ,生 育や果実形質 との間 にやや高 い相関がみ られた。 ● 後 に残 された問題点 としては ,土 壌統 ご との 摘 F施 0 26 '今 用量 の決定及び土壌改良 とによる生 育 ,果 実品質等 の改善 力` ある。 1%レ ∼ レで有意 引 精度 においてはCa,Mgい ず れ もが負 の 相関 を示 し 用 文 献 , 巌 ,藤 井芳 - 1984秋 田県 にお け の土 るオウ トウ園 壊特性 (予 報 )施 肥の 実態 と土壊調 査結果 について_東 北農業研究 35:207-208. 1)新 妻胤次 .松 井 特 に34年 にその傾向が強か った。 その他では84年 のNと 新梢長 ,Pと 結 実数 ,Kは 平均 1 果重 と酸度 にそれぞれ正 の相関 がみ られた。 なお ,82年 6月 の調査時 に葉色 と結実数をみたところ 図 2の よ うに葉色の濃淡で結実数の 多寡 が感 じられた。 2) , 1985同 そこで ,7月 中旬の 葉中N含 量 と糖度について図 3の よ 228- 業研究 '佐 々木美佐子 ――――,一― 第 1報 土壌条件 と果実形質 との関係 東北 .― 37:219-220
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