目常よく遭遇する感染症治療のポイント 剤にたよる傾向が強くなり、外科処置などがおろ り確実な治療効果が期待される。しかし、逆に薬 しい経口抗生剤および抗菌剤の出現によって、よ に伴い重症化する例は少なくなった。ことに、新 しばしば遭遇する疾患群であるが、抗菌剤の開発 外科および皮膚科の外来患者のなかで、現在も 性疾患の総称である。 炎など、いわゆる皮膚・軟部組織に発生する化膿 浅在性化膿性疾患とは、痴、よう、療疽、蜂巣 抗菌活性をもっているが、内服後の腸内細菌に対 剤の合剤が有用である。セフェム剤は耐性ブ菌に ペニシリンあるいはβ−ラクタマーゼ阻害剤とPC M耐性の菌が多く、これにはイソキサゾリール系 マクロライド剤が多用されるが、PC耐性菌はE 耐性黄ブ菌︵MRSA︶の増加も報告されている。 C耐性頻度はさらに高い。メチシリン・セフェム られており、入院患者から分離される黄ブ菌のP 近、ペニシリナーゼ産生ブ菌が三〇%前後みとめ ほとんどが黄色ブドウ球菌を起因菌とする。最 ω痴・よう・療疽 酒 井 克 治 そかになっていることも 否 め な い 。 こ こ で は 、 浅 する影響を勘案すれば、できれば避けたい。MR 浅在 性 化 膿 性 疾 患 の 治 療 在性化膿性疾患に対する 抗 菌 剤 の 選 び 方 に つ い て SAにはミノサイクリン、ニューキノロン剤が望 述べたい。 特集・今日の感染症 69CLINICIAN’88No.370 ましい。ただし、膿栓、膿瘍を形成した場合には、 い。したがって表皮ブ菌、嫌気性菌など皮膚常在 乳頭などが存在し、乳輪部が浸潤となって生じ易 かえすので、乳頭成形など根本治療が必要である。 菌の検出される場合が多い。難治性で再発をくり まず外科処置が優先することはいうまでもない。 ②丹毒・蜂巣炎 化膿性連鎖球菌に起因する場合が多い。したが ⑤肛囲膿瘍 腸内細菌汚染による感染のため複数菌が検出さ って、まずペニシリン剤が選択される。しかし蜂 巣炎のなかには黄ブ菌による炎症も多いので、上 れ、その種類も多種である。セフェム剤、ニュー 次的に細菌感染をおこしている場合も少なくない。 な外科処置を行えば、それだけでも治癒しうる場 以上、浅在性化膿性疾患について述べた。適切 須である。痔痩へと進展する場合が多い。 キノロン剤が投与されるが、同時に外科処置が必 記と同様に治療される。 ③炎症性 粉 瘤 したがって、外科処置によって内容を十分に排出 合もあることを考慮して、抗菌剤の投与量ならび 粉瘤内容による化学的炎症と考えられるが、二 させる必要がある。表皮ブ菌の検出例が多く、P に投与期間は最低限にとどめたい。 ︵大阪市立大学 教授 外科学︶ C剤およびマクロライド剤が有効である。 ㈲乳輪炎・乳腺炎 急性化膿性乳腺炎は、本来授乳期に発生する。 黄ブ菌を起因菌とすることが多い。乳輪炎は陥凹 CLINICIAN’88 No.370 70 (452)
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