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より快適な歩道環境を目指して
2007年度都市計画実習
生活安全環境班
担当教官:吉野邦彦 TA:田中 圭
阿部祐介
金子洋之 椎名愛実
田井栄次郎 桝谷夢 山口夏海
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研究の背景
つくばの歩道
魅力的
不快
しかし!!
道が
滑りやすい
きれい
な並木
歩道が
ペデストリアン
でこぼこ
シンボル
危険
広い歩道
暗い
2
研究の目的の設定
(1)歩道の利用環境の実態把握
路面環境、利用者意識など
(2)つくば市の高満足度歩道環境の提案
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研究の流れ
目的の設定
ヒアリング
■つくば市役所
■自転車販売店
■大学施設部
現状認識
アンケート
ヒアリング
問題の抽出
アンケート概要
■調査日時:4/26~5/1
■調査対象:筑波大学生
■サンプル数:100
■調査内容:
自転車の走行環境について
・パンク回数
・歩道の長所・短所など
提案と検証
まとめ
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ヒアリング調査概要
つくば市役所へのヒアリング
ペデストリアンなど市内の歩道に関する整備について
(整備方針が曖昧など)
自転車販売店へのヒアリング
学生の自転車の乗り方が悪さが主なパンクの原因であるなど
大学施設部へのヒアリング
学内の歩道や街路樹の整備について
5
自転車利用に関するアンケート結果より
自転車走行に関する利点
・ペデストリアン
(歩車分離)
・季節が感じられる
・木・緑が多い
・気分転換によい
・スムーズな移動可能
など
6
アンケート結果より
車を所有していない自転車ユーザの2人に1人が
1年間に2回パンク!!
パンクした理由 (N=55)
その他
20%
ほぼ半分!!
段差
43%
わから
ない
25%
寿命
7%
障害物
・接触
5%
7
アンケート結果より
自転車走行時における不満点(N=122)
70
64
60
50
40
30
16
20
16
10
7
6
5
10
駐
輪
場
道
の
狭
さ
マ
ナ
ー
そ
の
他
0
道
つ路
い整
て備
に
暗
さ
渋
滞
量
・
通
行
つくば市の歩道には凹凸、段差が多いということが分かる
8
提案の方針
○利点・問題点の項目の重なり
雰囲気がよい道⇔段差が多い
緑が豊富⇔木の根による歩道の隆起
問題(段差、凹凸)を除き、現在の利点
(街路樹)を伸ばすことで、より良い歩道
環境がつくられる
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問題抽出
現状認識より
(1)歩道走行時に不快感を感じる
例;段差や凹凸
(2)歩道の悪い点ばかり目に付く
良い点のアピール不足
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①歩道・車道間の段差
全面スロープ化を進めれば?
・車椅子が登れる
・視覚障害者が段差を認識できない
・自転車がスピードを出し過ぎて、歩行者が危
険!?
・自転車の飛び出しが多発し、車も危険!?
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提案 プチスロープの導入!!
スロープ 300円
紙粘土200円
歩道⇔車道の段差に
計500円
幅30センチ程度のプチスロープを導入!!
(切り欠きブロックへの交換、一時的なスロープ設
置)
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プチスロープを導入すると….
・ 視覚障害者が段差を認識できる!
*設置位置は点字ブロックに配慮する
・ 幅が狭いため自転車がスピードを出し過ぎる
こともなく安全!!
・段差通行時の衝撃が緩和されて快適!
・間を空けて二個設置すれば車椅子にも対応可
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プチスロープの導入の効果を実証
実験1
歩道の段差によるガタン度把握
水と卵を利用して、段差による自転車への衝撃の
検証と、プチスロープ導入の効果を調査する
実験2 プチスロープ導入による交通量変化を調査
切り欠きブロック化を想定してプチスロープの導入
をし、歩道の交通量やその変化を把握する
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実験1
歩道の段差によるガタン度把握
実験1の概要
○目的
歩車道間の段差がスロープを置くことによって歩行・通行がス
ムーズになることを示す。
○方法
実験α:紙コップの水のこぼれ具合を使って検証
実験β:卵の割れ具合を使って検証
実験日時:5月29日17時から
場所:天久保3丁目
ミニストップ付近
↓ココ
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実験1
歩道の段差によるガタン度把握
実験で用いたスロープ
あらかじめ段差の高さを測定して、それに合わせて段
差スロープに紙粘土で高さをつけたもの(今回は2.5cm)
(バリアフリー法によると2cm程度が適正。)
紙粘土には、スロー
プを補強し、通行の
衝撃で動くことの無い
よう、重みをつける意
味もある
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実験1
歩道の段差によるガタン度把握
実験α:水を使って検証
サイズSの紙コップに8割程度液体を入れ自
転車の後輪上部に固定
自転車の速度はスロープ5メートル前の地点
から3回ペダルをこぐ程度
ブレーキのタイミングは前輪が基準点に達し
た時点
実験の値=
(実験前の水面)ー(実験後の水面)
17
18
実験1
歩道の段差によるガタン度把握
実験αの結果
(単位 cm)
試行回数 スロープあり スロープなし
1.5
2.7
1
差
1.2
2
1.6
2.6
1.0
3
1.4
2.9
1.5
平均
1.5
2.73
1.23
スロープを設置することで、こぼれる液体の量は
約45%減少した
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実験1
歩道の段差によるガタン度把握
実験β:卵を使って検証
自転車の前かごに生卵(1パック、一個乗せ)
を入れて割れ方を比較、特に固定はしない
ブレーキのかけ方は
水実験の時と同様
20
21
実験1
歩道の段差によるガタン度把握
実験βの結果
状況
スロープなし
スロープあり
1パック
半分割れた
割れなかった
潰れた
軽いひび
(6つ入り)
1個
スロープなし
スロープあり
スロープをおくことの効果が見られる!
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プチスロープの導入の効果を実証
実験1
歩道の段差によるガタン度把握
水と卵を利用して、段差による自転車への衝撃の
検証と、プチスロープ導入の効果を調査する
実験2 プチスロープ導入による交通量変化を調査
切り欠きブロック化を想定してプチスロープの導入
をし、歩道の交通量やその変化を把握する
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実験2
プチスロープの導入による交通量変化を調査
実験2の概要
切り欠きスロープ化を想定してのプチスロー
プの導入、交通量調査
日時 5月28日(月)、6月4日(月)
8:15~8:50 11:30~12:00
場所:天久保3丁目ミニストップ付近
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実験2 プチスロープの導入による交通量変化を調査
道のゾーン分け
道を「歩道A」「歩道B」「車道」に区分した。
歩道Aの一部にスロープを置き、スロープの有無
による自転車交通量の変化を比べた。
車道
B
A
スロープ
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実験2 プチスロープの導入による交通量変化を調査
自転車交通量の変化
(単位 台もしくは人)
場所
日時
車道
歩道A
(その内スロープ
を通過した人数)
歩道
B
歩行者 総計
5/28朝 54
71
89
8
222
昼
57
29
7
132
95/104
58
6
224
17/34
34
4
101
39
6/4 朝 56
昼
29
スロープを通過した人数
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実験2 プチスロープの導入による交通量変化を調査
スロープ設置後の交通量の変化
歩道A
(割合)
場所
日時
車道
歩道B 歩行者 総計
5/28朝
24.3% 32.0%
40.1% 3.6%
222
29.5% 43.2%
22.0% 5.3%
132
25.9% 2.7%
224
28.7% 16.8%
33.7% 4.0%
16.9% 計33.7%
101
(スロープ上
スロープ以外)
昼
6/4 朝
昼
増加している
25.0% 42.4%
4% 計46.4%
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実験2
プチスロープの導入による交通量変化を調査
通行者へのアンケート(6/4昼実施)
内容:①スロープに気がついたか
②スロープを通ったか
③通った(通らなかった)理由
④今後スロープがあれば利用するか
→お昼通行する人の多くはスロープの存在に
気がついていなかったが今後は通りたいとい
う意見だった
他の意見としては、スロープができても歩道
自体がでこぼこだから車道を通るという意見
もあった
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実験2 プチスロープの導入による交通量変化を調査
交通量変化の結果
プチスロープを導入することによって、
特に朝に交通量の変化が見られた
急いでいるときに特に有効
⇔スロープを選択することによりスピー
ドを抑える効果もある
(実施後スピードが落ちない場合はより細いスロー
プにすることで速度を制限することができる)
→自転車も快適、歩行者にも安全
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提案②
街路樹の根による凹凸の解消
②街路樹の根による凹凸
木の根による段差が改善されれば…
・通行者満足
・転倒による危険の回避
しかし・・・
改善には莫大な予算が必要!!
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提案②
街路樹の根による凹凸の解消
実際に街路樹維持にかかる費用
・落ち葉の清掃作業
・根の隆起による路面の凹凸の補修費用
・倒木の危険にそなえた補修
・倒木・病気の木の植え替え費用
など
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提案②
街路樹の根による凹凸の解消
大学での街路樹整備の現状
 維持費に毎年200~700万の出費
→計画的には整備を行っていない
 植替え工事時にも防根シートを適用せ
ず
→歩道隆起の改善の見込みはない
 ユリノキは成長が速く、歩道の凹凸を
促進
→街路樹選択の余地があるのでは?
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提案②
街路樹の根による凹凸の解消
植替え工事の現状
実際に手をつけてみないとわからない部分が
ほとんど
→土壌の硬さ、根の張っている深さ、etc
どの程度資金が必要か明確にされていない
コスト計算をして
街路樹の将来を予測
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提案②
街路樹の根による凹凸の解消
植替えコスト算出で将来予測
植替え工事概要
・ユリノキ通りを想定
(ユリノキ160本、歩道幅1.5m)
・防根ネットを使用
・成長の遅い樹木を使用
→莫大な工事費用と比較して、
メリットがでるのか??
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街路樹の根による凹凸の解消
提案②
検証
どちらが大きいのか??
現状システム
での維持費
維持費
防根ネット使用時
植替え工事費用
・表面工事費
・剪定費
現状維持
<
街路樹総植替え
35
提案②
街路樹の根による凹凸の解消
方法
① 現在維持費の算出
→施設部へのヒアリング
② 植替え工事費用の算出
→造園業者へのヒアリング
参考書:標準工事歩掛要覧、建築物価
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提案②
街路樹の根による凹凸の解消
結果① 維持費算出
現行システムの維持費
剪定費
表面工事費
表1:剪定費(100本当たり)
表2:表面工事費(1箇所あたり)
人件費
表層工事費
¥19,224
人件費
¥48,960
機械費
¥10,000
総計
¥78,184
運搬費
総計
¥947,440
¥123,200
\1,070,640
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街路樹の根による凹凸の解消
提案②
結果② 植替え工事費用算出
歩道工事費
植替え工事
植替え工事費
表3:歩道工事費
表層材料費
路盤材料費
人件費
機械費
総計
\1,537,920
\50,760,000
\800,000
\320,000
\53,417,920
表4:植替え工事費
幹巻き費用
人件費
機械費
その他
総計
\7,120,000
\4,000,000
\3,200,000
\1,040,000
\15,360,000
より、総費用は68,777,920円になる(100本あたり)
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提案②
街路樹の根による凹凸の解消
結果③ 比較グラフ
前提
・ユリノキの剪定は2年に一度行うとする
・根が隆起する周期は10年とする
・隔年でかかる費用は平均し、一次曲線で表
した
・植替えをした場合、初めの10年は剪定費は
かからないものとし、その後3年ごとに行う
39
街路樹の根による凹凸の解消
提案②
結果
186年
経過
25000
20000
15000
万
円
10000
植替え工事を行うこ
とは難しそう・・
5000
植替え工事
現状維持
0
1
51
101
151
201
年
ちなみに・・・筑波大生一人一万円ずつ集めれば工事が可能
40
提案②
街路樹の根による凹凸の解消
コスト比較の考察
 植替え工事をすれば長期的にはメリットがでると思
われたが、あまりにも時間がかかり過ぎて効果は小
さい
 一度に工事をするのではなく、徐々に防根シートを
普及させていくことが、歩道の凹凸の改善策である
と考えられる
実際には
ハード面からではなく、ソフト面から街路樹の
魅力をアピールし、全体としての魅力をアップ
すればよいのでは?
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提案③
街路樹のアピール
(2)歩道の魅力を活かしきれていない
歩道の魅力とは
季節感のあふれる街路樹
緑の生い茂る豊かな自然
元気な雑草
そして
汗!!
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提案③
街路樹のアピール
街路樹マップによる景観の魅力アピール
・街路樹マップの作成
学内の街路樹の種類を調査し、それぞ
れの見頃や見所をまとめたものを記載した
43
提案③
街路樹のアピール
街路樹マップ(表)
44
提案③
街路樹のアピール
街路樹マップ(裏)
45
どうやったら魅力を伝えられるのか・・・
素晴らしい街路樹がある!
そして道がそこにはある!!
走るしかない!!!
46
提案③
提案
街路樹のアピール
ジョギングイベントの開催
「第1回街路樹ジョギング@筑波大学」
日時: 6月6日(水) 13:30~ 筑波大学小ループ
→ポスター、ビラ配りに比べて宣伝効果大
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提案③
街路樹のアピール
結果
参加者からは以下のような声が・・・
街路樹について興味を持つことができた
意識して街路樹を見ようと思う
木や樹木に対する知識が増えた
ぜひまた走りたい
・・・などなど大好評!!
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提案のまとめ
①歩道へのプチスロープ導入
②コスト比較による街路樹整備の考察
③街路樹マップの作成による景観の魅力アピール
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今後の展望
①歩道へのプチスロープ導入
プチスロープの設置を拡大
予算と折り合いをつけながら、
徐々に切り欠きスロープ化を進める
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②コスト比較
○植替え工事の難しさが明確になった
→人々の街路樹への認知の向上が重要
→街路樹マップの普及
○算出結果から、学生1万円程度収集すれば、
工事が現実化する
→街路樹への興味をあげる
○金銭面以外での解決策が必要
→歩道満足度の向上
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③街路樹のアピール
学内のみならず規模を拡大し、多くのつくば市民の
参加を目指す
継続的にこのようなイベントを行っていく
→街路樹に対する興味を持ってもらう
→歩道に対する興味を持ってもらう
→歩道環境について皆で考える姿勢を!
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①より歩車道間の段差への対処法がしめされ
②より金銭面から根の隆起の凹凸に対する最
善策を導き出すことができ
③で街路樹の魅力を広めていく手段を手に入
れた
そして
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