アニリンとアゾ染料 - 長野県総合教育センター

理数化学実験
№34
年
組
番 氏名
アニリンとアゾ染料
Ⅰ.実験目的
代表的なアミンであるアニリンを合成しその性質を調べるとともに,アニリ
ンからアゾ染料を合成する。
Ⅱ.実験準備
試 薬 : ベ ン ゼ ン , 濃 硝 酸 , 濃 硫 酸 , ス チ ー ル ウ ー ル , 塩 化 ス ズ (Ⅱ ) , エ ー テ ル ,
ア ニ リ ン , 万 能 p H 試 験 紙 , さ ら し 粉 水 溶 液 , 6M ・濃 塩 酸 , 2M ・6M 水 酸
化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 , 木 綿 布 , 5% 二 ク ロ ム 酸 カ リ ウ ム 水 溶 液 , 1M 硫 酸 ,
無 水 酢 酸 , 2- ナ フ ト ー ル , 食 塩 , 2 M 亜 硝 酸 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液
器具:試験管,ロート,コルク栓,三角フラスコ,ビーカー,ガラス棒,マグ
ネティックスターラー,駒込ピペット,シャーレ
Ⅲ.実験方法
<実験1>ニトロベンゼンとアニリンの合成
① 試 験 管 に ベ ン ゼ ン 2‹ を と り , さ ら に 濃 硝 酸 2‹ を 加 え る 。
② ① の 試 験 管 に , 濃 硫 酸 2‹ を 注 意 深 く 振 り 混 ぜ な が ら 少 し ず つ 加 え る 。 発 熱
しながら反応し,褐色の気体が発生し,有機層が黄色に変色する。
③ 反応後駒込ピペットで有機層を吸い取り,別の試験管にとった水中に移す。
④ 大 型 試 験 管 に 約 1 .5 g の ス チ ー ル ウ ー ル を 丸 め て 入 れ る 。
⑤ 別 の 試 験 管 に 6 M 塩 酸 10 ‹ を と り , 塩 化 ス ズ ( Ⅱ )0 .5 g を 溶 か し , ③ で 得 ら れ
た黄色の有機層を加える。
⑥ ④の試験管に⑤の試験管の内容物を移して,よく振る。反応が進むにつれて
有機層の黄色が薄くなり,やがて消える。
⑦ ⑥ の 試 験 管 の 内 容 物 を ろ 過 し , ろ 液 に 6M 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 20‹ を 加
え る 。 (沈 殿 を 生 じ る 。 )
⑧ ⑦ の 試 験 管 に ジ エ チ ル エ ー テ ル 5‹ を 加 え て , コ ル ク 栓 を し て 振 り 混 ぜ る 。
静置すると沈殿物を含む水層の上にエーテル層が分離する。
⑨ ⑧のエーテル層を少量とり,別の試験管にとったさらし粉水溶液に加えて呈
色の様子を観察する。
<実験2>アニリンの性質
① 試 験 管 に 蒸 留 水 を 3‹ と り , そ こ へ ア ニ リ ン を 5滴 加 え て よ く 振 り 混 ぜ る 。 水
溶性と臭いを調べる。
② ①の溶液のpHを,万能pH試験紙を用いて調べる。
③ ①の溶液にさらし粉水溶液を加えて呈色を観察する。
④ 三 角 フ ラ ス コ に , ア ニ リ ン 1‹ と 濃 塩 酸 1‹ を と り , 周 り を 水 で 冷 や し な が ら
変 化 の 様 子 を 観 察 す る 。 観 察 後 , 水 20 ‹ を 加 え て 溶 液 と す る 。
⑤ ④ の 水 溶 液 2‹ を 別 の 試 験 管 に 移 し , そ れ に 6M 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 3‹
を加えて振り混ぜ,変化の様子を観察する。
⑥ シ ャ ー レ に ④ の 水 溶 液 5‹ を と り , 木 綿 布 を 1枚 入 れ , 5分 間 放 置 し て よ く 浸
み込ませる。シャーレ内の余った水溶液は捨てる。
(④ の 水 溶 液 の 残 り は < 実 験 3 > で 使 用 す る 。 )
⑦ ⑥ の 木 綿 布 に 硫 酸 酸 性 二 ク ロ ム 酸 カ リ ウ ム 水 溶 液 (5% 二 ク ロ ム 酸 カ リ ウ ム 水
溶 液 1 0 ‹ に 1 M 硫 酸 2 ‹ を 加 え た も の )を 注 ぎ , よ く 浸 み 込 ま せ る 。 し ば ら く し
て か ら ( 5 分 ほ ど )木 綿 布 を 取 り 出 し , 水 洗 い し て 布 の 色 を 観 察 す る 。
⑧ 300‹ ビ ー カ ー に 水 道 水 を 一 杯 に 取 り , マ グ ネ テ ィ ッ ク ス タ ー ラ ー に の せ て
か き 混 ぜ る 。 そ こ へ ア ニ リ ン 3‹ を 加 え よ く 攪 拌 し た 後 無 水 酢 酸 6‹ を 少 し ず
つ加え,さらに撹拌を続け,水中で起こる変化の様子を観察する。
<実験3>アゾ染料の合成
① シ ャ ー レ に 2- ナ フ ト ー ル 0. 2g を 取 り 2 M 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 1 0 ‹ を 加 え
て 溶 か す 。 溶 け た ら シ ャ ー レ に 木 綿 布 を 広 げ , 2 -ナ フ ト ー ル の 水 酸 化 ナ ト リ
ウ ム 溶 液 を よ く 浸 み 込 ま せ る 。 (ガ ラ ス 棒 で 押 さ え る よ う に し , 15分 間 放 置 )
② 1 0 0 ‹ 三 角 フ ラ ス コ に , < 実 験 2 > ⑥ の 残 り の 水 溶 液 1 0 ‹ と 6M 塩 酸 3 ‹ を 加
え,寒剤として少量の食塩を加えた氷中につけて,ゆすりながら冷却する。
③ 氷 中 に つ け た ② の 三 角 フ ラ ス コ に , あ ら か じ め 冷 却 し て お い た 2M 亜 硝 酸 ナ
ト リ ウ ム 水 溶 液 5‹ を , 駒 込 ピ ペ ッ ト を 用 い て 少 量 ず つ か き 混 ぜ な が ら 加 え る 。
④ ①の木綿布を取り出し,紙の上で余分な溶液を軽く吸い取り,シャーレに広
げておく。そこへ冷却した③の反応液を流し込む。しばらくした後,木綿布
を取り出して水洗いする。生成した染料の色を観察する。
Ⅳ.実験結果
<実験1>ニトロベンゼンとアニリンの合成
⑨ さらし粉による呈色を記せ。
<実験2>アニリンの性質
① 水溶性,
臭い
② pH
③ さらし粉による呈色
④ アニリンと塩酸の変化の様子を記せ。
⑤ 水酸化ナトリウムを加えたときの変化の様子を記せ。
⑦ 硫酸酸性二クロム酸カリウム水溶液を加えたときの変化の様子を記せ。布の
色を記せ。また染色した布を添付せよ。
⑧ アニリンと無水酢酸の変化の様子を記せ。
<実験3>アゾ染料の合成
③ アニリンの塩酸酸性溶液と亜硝酸ナトリウム水溶液の反応の様子を記せ。
④ ③ に 2-ナ フ ト ー ル の 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 を 加 え た と き の 様 子 を 記 せ 。
染料の色を記せ。また染色した布
を添付せよ。
Ⅴ.考察
<実験1>ニトロベンゼンとアニリンの合成
② 生成した黄色の有機化合物は何か。またベンゼンと硝酸との反応の化学反応式
を記せ。
⑥ 黄 色 の 有 機 化 合 物 と 鉄 ・ 塩 酸 ・ 塩 化 ス ズ (Ⅱ )と の 反 応 の 化 学 反 応 式 を 完 成 せ よ 。
(
)C6H5NO2 + (
)SnCl2 + (
)F e + (
→ (
) C 6 H 5 NH 3 C l + (
) S nC l 4 + (
) HC l
)F eC l 2 + (
)H 2 O
⑦ 水酸化ナトリウム水溶液を加えたときに起きている反応の化学反応式を記せ。
(た だ し , 沈 殿 生 成 反 応 以 外 の 反 応 に つ い て )
⑨ さらし粉の呈色をもとにしてエーテル層中の生成物が何であるか判断せよ。
<実験2>アニリンの性質
①∼③ アニリンの性質を,その構造から説明せよ。
④ アニリンと塩酸の反応の化学反応式を記せ。また反応生成物の名称を記せ
⑤ ④の反応生成物と水酸化ナトリウムとの反応の化学反応式を記せ。
⑦ 反応生成物の名称を記せ。
⑧ アニリンと無水酢酸との反応の化学反応式を記せ。また生成物の名称を記
・無水酢酸のかわりに酢酸水溶液を用いたらどのような反応が起こるか。また
その反応の化学反応式を記せ。
<実験3>アゾ染料の合成
③ アニリンの塩酸溶液に亜硝酸ナトリウム水溶液を加えたときの反応の化学反
応式を記せ。また生成物の名称も記せ。
・このような反応を何というか。
④ ③ の 反 応 生 成 物 を 2 -ナ フ ト ー ル の 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 と 反 応 さ せ た と き の
変化を化学反応式で表せ。また生成物の名称を記せ。
・このような反応を何というか。
Ⅵ.反省と感想
【実験演習】
1.次の文中の[
]に あ て は ま る 最 も 適 当 な 語 句 ま た は 化 学 式 を 記 せ 。
ア ニ リ ン は 分 子 内 に 塩 基 性 の [ ア ]を も っ て お り , [ イ ] を 加 え る と [ ウ ] を つ く
っ て 溶 け る よ う に な る 。 こ の 溶 液 に 低 温 で [エ ]を 作 用 さ せ る と 塩 化 ベ ン ゼ ン ジ
ア ゾ ニ ウ ム ( 構 造 式 : [ オ ]) が 生 じ る 。 さ ら に , ジ ア ゾ ニ ウ ム 塩 の 水 溶 液 に ア ル
カ リ 性 の 条 件 下 で [力 ] を 反 応 さ せ る と , p − フ ェ ニ ル ア ゾ フ ェ ノ ー ル ( p − ヒ ド ロ
キ シ ア ゾ ベ ン ゼ ン )( 構 造 式 : [ キ ]) を 生 じ る 。 こ の よ う な 反 応 を [ ク ] と い う 。 ま
た , ア ゾ 化 合 物 は [ケ ] と し て ひ ろ く 利 用 さ れ て い る 。
ア
イ
ウ
エ
カ
ク
オ
キ
ケ
(長野県総合教育センター
宮坂千文)