かんたん保冷剤・冷却剤 をつくろう - 青少年のための科学の祭典 静岡大会

かんたん保冷剤・冷却剤
をつくろう
31
御前崎市立浜岡中学校 科学部顧問 松浦泰彦
き せつ
夏の暑いこの季 節 、
「氷」はすぐにとけてしまうし、とけたら「水」になってぬれ
てしまい大変です。
ほ れいざい
こま
そこで、身近なものを材料として、とけても困 らないゲル
やくひん
きゅうげき
れいきゃくざい
状の保 冷 剤 や薬品 を使って 急 激 に冷える冷 却 剤 をつくってみよう。
●準備するもの
じっけん
実験 1
かた くり こ
しょく えん
片 栗 粉 (60g)、 食 塩 (45g)、ぬるま湯(150mL)、
よう き
でん し
フリーザーパック(4号サイズ)、熱に強いプラスチック容 器 、電 子 レンジ、
ラップ、プラスチックコップ
じっ けん
実験2
にょう そ
アルミホイル、フリーザーパック、 尿 素 、水
●体験の手順
<実験1>
しょく えん
かんぜん
と
ま
1.プラコップにぬるま湯を入れ、用意した 食 塩 を入れて、完全 に溶 けるまで混 ぜる。
かた くり こ
2.溶けたぬるま湯に片 栗 粉 を入れてかき混ぜる。
よう き
3.プラスチック容 器 にラップをしいて、できたゲルの元を入れる。
か ねつ
こうおん
4.レンジで3分(500W)加 熱 し、水をはったバケツに、高温 になったゲルを入れる。
さ
よ けい
5.冷めたら、ゲルの余計な
ほう ちょう
ところを包 丁 で切り、フリ
ーザーパックに入れる。
れい とう こ
ひ
6.持ち帰って、冷 凍 庫 で冷 や
ほ れい
せば保冷ゲルの出来上がり。
<実験2>
にょう そ
1.フリーザーパックに 尿 素
を入れる。
ふくろじょう
2.アルミを 袋 状 に折る。
3.アルミの袋に水を入れる。
も
4.できるだけ空気が入らないようにして、袋の口を何回か折り返して、水が漏 れな
と
いように閉 じる。
5.袋に付いてしまった水を、しっかりふき取る。
にょう そ
ふくろ
と
6. 尿 素 が入ったフリーザーパックに、水入りの 袋 を入れてパックを閉 じる。
あっ ぱく
も
にょう そ
きゅう げき
7.袋を強く圧 迫 してアルミの袋を破き、漏 れた水に 尿 素 が溶けて 急 激 に冷える。
●かいせつ
水 を つ くる 粒( ○)がゲ ル の網目 構 造( 線)に閉
じ こ め られ 、 自由 に 動け ず、熱 を 吸 収し な い。
<実験1>
えき
どろどろの液 が冷えて固まったものを『ゲル』といいます。
ぶっしつ
ほ れい ざい
こおり
こ の ゲ ル 化 さ れ た 物質 を 保 冷 材 に 用 い る こ と で 、 氷 だ け の
ば あ い
ほ れい こう か
こおり
場合 より保 冷 効 果 が長持ちします。普通の 氷 は、とけはじめる
し ぜん
と、とけた水が自 然 に動きをつくり、熱を伝えやすくなります。
いっぽう
ほ れい ざい
あみ め
こうぞう
一方 、ゲル化された保 冷 材 は、編 目 のような構造 をしているため、
つぶ
と
こ
こおり
ちが
この中に水をつくる粒 が閉 じ込 められ、 氷 がとけた場合と違 っ
こおり
て動きが起こりません。そのため 氷 だけのときより熱が伝わり
にくく、とけるまでの時間がより長くなります。
しょく えん
くわ
れいとうこ
さらに、 食 塩 を加 えることでゲルは、冷凍庫 に入れておいてもカチカチに固まるこ
こおり
しょく えん
と
とはありません。水は、0℃で固まり、 氷 になりますが、 食 塩 を溶 かすと、0℃より
げん しょう
ぎょう こ てん こう か
もっと低い温度にならないと固まりません。このような現 象 を『 凝 固 点 降 下 』とよん
ほ れい ざい
てき ど
やわ
い
わ かん
でいます。今回つくる保 冷 剤 は、適 度 に柔 らかく、体につけても違 和 感 がありません。
<実験2>
ぶっ しつ
ぶっ しつ
と
物 質 はそれぞれエネルギーをもっていますが、ほかの 物 質 に変わったり、水に溶 け
りょう
たりすると、持っているエネルギーの 量 も変化します。そして、この変化は熱の出入
あらわ
はん のう ねつ
りとして 現 れます。この、出入りする熱を『反 応 熱 』といいます。
れい きゃく ざい
にょう そ
と
しゅう い
うば
よう かい ねつ
ひ
冷 却 剤 は、 尿 素 が水に溶 けるときに 周 囲 から熱を奪 う『溶 解 熱 』によって冷 えま
きゅう ねつ はん のう
こ たい
と
はん のう
きゅう ねつ はん のう
す。これを『 吸 熱 反 応 』といいますが、固 体 が水に溶 ける反 応 の多くは 吸 熱 反 応 です。
●気をつけよう
<実験1>
でん し
か ねつ
か ねつ
3分間電 子 レンジで加 熱 しても白いところが残っているようでしたら、追加で加 熱
か ねつ
た
しましょう。加 熱 直後のゲルは、真ん中あたりに熱が溜 まっているので、やけどに注
ひ
ふ
意しましょう。0℃以下にした『ゲル』を直接皮膚 に付けないように注意しましょう。
<実験2>
も
しゅう い
かま
アルミの袋から水が漏 れるなら、袋の 周 囲 をビニールテープなどで閉じても構 いま
せん。アルミの袋に水を入れるとき、袋の 外に、水が付かないようにしましょう。も
じっ けん
えき
し、水が付いてしまったら、しっかりふき取りまし ょう。実 験 が終わった後の液 は、
ひ りょう
あた
植物の肥 料 になりますから、植物に与 えてください。
●くわしくしらべてみよう
<実験1>
・暑さ対策-SKY NOTE
・教えて!左巻先生
http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20090801/1249056133
いまさらきけない化学の疑問
身近に感じる不思議編
<実験2>
・理科の先生の知恵袋 http://rikashitu.blog89.fc2.com/blog-date-201108-1.html
・「青少年のための科学の祭典」第 16 回静岡大会
・カラー版
実験解説集
忘れてしまった高校の化学を復習する本