第10章 社会的割引率 政策評価(06,12,01)三井 1 1.割引率を選ぶことは重要か • 割引率が小さい ⇒ 純便益の単純合計が大きいプロジェクトが有利 • 割引率が大きい ⇒ 早い時期の純便益が大きいプロジェクトが有利 政策評価(06,12,01)三井 2 2.社会的割引率と市場の完全性 Ct=現在の消費 Ct 1=将来の消費 p=限界社会的時間選好 率 Marginal Social Rate of Time Preference r=限界投資収益率Marginal Return on Investment s=社会的割引率 Social Discount Rate 政策評価(06,12,01)三井 3 <市場が完全なケース> Ct 1 Consumption Possibility Frontier CPF X Ct*1 Social Indifference Curves SIC1 1 pX 政策評価(06,12,01)三井 Ct* I * t 1 rX 1 s Ct 4 <完全な市場が存在しないケース(歪みのある税金の存在)> Ct 1 CPF X rZ pZ Ct**1 Z SIC2 1 pZ 政策評価(06,12,01)三井 C t**1 rZ Ct 5 3.市場が不完全なときの代替的社会的割引率 • 加重平均(Weighted Social Opportunity Cost of Capital: WSOC)を用いる方法 • 影の価格(Shadow Price of Capital: SPC) を用いる方法 政策評価(06,12,01)三井 6 加重平均を用いる方法 i=利子率 S=貯蓄(=資金供給I S ) I=投資(=資金需要I D) I S S (i):資金供給関数 I D D(i):資金需要関数 G=公共投資 公共投資の財源は全て 資金市場から調達する 。 政策評価(06,12,01)三井 7 i G i1 S0 i0 I D 政策評価(06,12,01)三井 I S 1 I D1 I S0 I D0 I S D0 D0 G IS , ID 8 S=貯蓄の増分 C=消費の増分 I=投資の増分 I C s rZ pZ I C I C I D S rZ pZ I D S I D S I S I D rZ pZ I D I S I D I S 政策評価(06,12,01)三井 9 <rZの計算における諸問題> 1. 民間投資の収益率はリスクプレミアムを含む。 2. 借り入れ vs. 税金 3. 公共投資が民間投資の収益性を高める可能性 政策評価(06,12,01)三井 10 <pZの計算における諸問題> 1. 個人間の選好と資金制約の程度が異なる。 2. 一人の個人の時間選好率を1つに集約できるか。 3. 市場利子率は将来世代の厚生を反映しているか。 政策評価(06,12,01)三井 11 影の価格を用いる方法 影の価格( shadow price) 減価償却率 rZ 減価償却後の収益率 f 再投資割合 (1 f )(rZ ){1 f (rZ )}t 1 (現在1単位の投資から生み出される)t期 後の消費 (1 f )(rZ ){1 f (rZ )}t 1 (1 f )(rZ ) t 1 t p Z (1 f ) frZ (1 pZ ) 政策評価(06,12,01)三井 12 現在 資本ストック 1 リターン 投資 消費 政策評価(06,12,01)三井 1年後 2年後 1 f (rZ ) k (1 )k f (rZ )k k 2 rZ f (rZ ) (1 f )(rZ ) c (rZ )k f (rZ )k (1 f )(rZ )k c k 13 <ステップ1> 効果を消費に影響するものと投資に影響するもので 分ける。 <ステップ2> 投資の部分に影の価格θを掛けて消費等価額を求 める。 <ステップ3> 消費変化分と消費等価額の変化分を加える。 <ステップ4> 消費の割引率pZを用いて割り引き現在価値にする。 政策評価(06,12,01)三井 14 <SPCを用いることの諸問題> 1. なぜこのようなSPCを用いるのかを政策担当者に 説明することが難しい。 2. SPCを計算するのに必要な情報量が膨大である。 3. 費用と便益を消費と投資にどのように配分するか の判断が難しい。 政策評価(06,12,01)三井 15
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