第6章 将来の便益と費用の割引 政策評価(06,11,17)三井 1 1.割引計算の基礎 1. 将来価値分析 =Future Value Analysis 2. 現在価値分析 =Present Value Analysis 3. 純現在価値分析 =Net Present Value Analysis 政策評価(06,11,17)三井 2 2. 割引現在価値と純(味)現在価値 B t年後に発生する便益 B ( B , B ,, B ) : 便益の流列 n 投資期間 t 0 1 n B PV ( B) : 便益(の流列)現在価値 (1 i) i 利子率 n t 0 政策評価(06,11,17)三井 t t 3 2. 割引現在価値と純(正味)現在価値 C t年後に発生する費用 C (C , C ,, C ) : 費用の流列 C PV (C ) : 費用(の流列)現在価値 (1 i) t 0 1 n n t t 0 t NB B C :t年後に発生する純便 益 NB NPV :純(便益)現在価値 (1 i) t t t n t 0 t t NPV PV ( B) PV (C ) 政策評価(06,11,17)三井 4 3.便益と費用のタイミング • 費用や便益が発生するタイミング? • 期末? • 期首? • 期間を通じて? 政策評価(06,11,17)三井 5 4.長期間存続する事業と最終価値 <アナリストが好む現在価値の計算方法> 1. 比較的短い割引計算期間を選択 2. (その後の期間に生ずる便益と費用を反 映した)最終価値を推計 3. その最終価値に関する感度分析を実施 政策評価(06,11,17)三井 6 k=割引計算期間有効年限 T (k )=最終価値 NPV t 0 k 政策評価(06,11,17)三井 NBt T (k ) t (1 i) 7 最終価値を推計する代替的な方法 ① 延長推計(projection) ② 廃品回収価値(salvage value) または清算価値(liquidation value) ③ 減価償却価値(depreciated value) 政策評価(06,11,17)三井 8 ① 延長推計 最終価値は将来の純便益の成長率や割引 率に関する想定に敏感である。 ⇒ 感度分析が重要 政策評価(06,11,17)三井 9 ② 廃品回収価値 or 清算価値 ハイウェー・プロジェクトの有効年限経過後の 最終価値を推計することは困難であるのは、 中古ハイウェー市場がしないからである。 政策評価(06,11,17)三井 10 ③ 減価償却価値 • 実物的or経済的な減価償却 =時間経過に伴う経済的価値の低下 • 会計上の原価償却 =税務計算あるいは会計報告のため 市場が存在しない場合、両者の乖離が大きくなる。 • CBAで考慮すべき減価償却 =経済的な減価償却 政策評価(06,11,17)三井 11 原価償却を推計する上での問題 1. 異なる資産は異なる率で減価償却する。 2. 減価償却の大きさは資産の使用方法や維 持管理方法に依存する。 3. 減価償却の大きさとその資産の社会的便 益とは関係がないこともある。 政策評価(06,11,17)三井 12 最終価値に関する推奨方法 1. 当該プロジェクトの有効年限にわたって割 引計算を行う。 2. 妥当な想定の下での単純な延長推計に基 づいて最終価値を求める。 3. 最終価値に関する感度分析を行う。 政策評価(06,11,17)三井 13 5.実質価値 vs. 名目価値 消費者物価指数CPIに関する問題 =上向きのバイアス <その理由> • CPIが消費者の購買行動を正確に反映していな かった。 • CPIが製品の品質向上や新製品による生活の質 の向上を反映していなかった。 政策評価(06,11,17)三井 14 望ましい実質化の方法 次の2つの方法を併用する。 1. 公式CPIを用いる。 2. 公式CPIより1%低い率の価格デフレー ターを用いる。 政策評価(06,11,17)三井 15 現在価値を求める2つの方法 1. 便益と費用を名目値を名目利子率を用い て割り引く。 2. 便益と費用を実質値を実質利子率を用い て割り引く。 政策評価(06,11,17)三井 16 2つの実質化の方法は同等性 i=名目の利子率 π=インフレ率 r=実質利子率 とすれば、実質利子率rは次の式を満たすものと して定義できる。 1 i 1 r 1 政策評価(06,11,17)三井 (*) 17 Bt bt : t (1 ) Ct ct : t (1 ) t期の実質便益 t期の実質費用 t Bt Ct n (bt ct )(1 ) NPV t 0 t 0 t t (1 i) (1 i) n (名 目 )純 便 益 名 目 利 子 率 による割 引 政策評価(06,11,17)三井 (bt ct ) t 0 (1 r ) t n 実質純便益 実 質 利 子 率 による割 引 18 6.割引計算における感度分析 割引率(discount rate)と 最終価値(terminal value)は CBAに大きな影響を与えるので、 これらに関しては感度分析が重要である。 政策評価(06,11,17)三井 19 割引率と最終価値と現在価値 損益分岐割引率(内部収益率) i ( IRR) 0 NB T (k ) 0 ⇔ (1 i ) k t t 0 t 0 i IRR i プロジェクトを実施 0 損益分岐最終価値 T (k ) 0 NB T (k ) 0 ⇔ (1 i) k t t 0 t 0 T (k ) T (k ) プロジェクトを実施 0 政策評価(06,11,17)三井 20
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