総合評価とは何か - Suzuki & Ito Laboratory

総合評価とは何か
持続社会形成専攻
鈴木
嘉彦
総合評価のめざすところ
• 最終的な目的とする社会の構築への貢献
• 安心して生活でき、生きることに歓びを感
じることができる社会
• 国の政策、自治体の施策が最終目的にどの
程度適合しているのかの判定
• 企業の理念・基本方針に基づいた結果が得
られているのかどうかの判定
• 個人の人生観や価値観に従った行動が望ま
しい結果につながっているのかの判定
• 有効に評価できる方法の開発
なぜ総合評価なのか
• 自然科学的な定量化可能な対象だけでなく、
• 社会科学的な対象である経済的な対象や、
• 人文科学的な対象としての歓びや満足感なども
分野横断的に総合的に評価するもの
• 階層的に捉えると多層構造の項目間の評価が
階層横断的に行なえるもの
• 環境倫理に代表されるような時間横断的な評価
方法であること
適用対象
• 行政の政策評価
• 企業の活動方針とその実施結果の評価
• 個人の目的とそれに向かっての具体的行
為の評価
基本的な考え方
• 広義のシステム表現とシステム解析であること
• 投入と産出という表現の拡張であること
• LCAに代表されるようなライフサイクルの評価
ができること
• 自然とのかかわりが評価されること
• 安全性などが考慮されること
• 多層構造が全体として表現されること
• 多層構造の層間の連関が分析できること
• 多様な価値観が何らかの形で反映されること
• PDCAサイクルに適用可能であること
人間及び社会
生み出された
付加価値
投入分
物的投入
エネルギー投入
産出分
人間及び社会の部門
物的産出 A
エネルギー的産出 A
A 生産部門
(物的・エネルギー的)
サービス産出 B
サービス投入
B サービス生産部門
情報産出 A,B,C
情報投入
C 需要部門
(民間、公的)
満足度 A,B,C
方針、意向
排出される
廃棄物、排気ガス
A,B,C
プレゼンテーションの手順
• 従来の評価法の基本的な部分の分析
• 総合環境影響評価法の導入
• 重み付けの意味付けと活用
• 総合評価法の提案
• 各種分析方法の適用と検証方法の提案
総合評価のためのシステム表現
論理的な表現によりその動きが完全に記述可
能(コンピュータのようなシステム)
微分方程式により表現されるような対象(自然現
象のようなシステム)
確率的な要素を含むような対象(人間が介在する
ような社会システム)の統計的な表現
価値観や好みが入る
社会的システムの表現
社会対象をいかに表現し活用するのか
因子分析
回帰分析
表明選好関数
重み付けの明確化
上記分析結果の相関による確認
投入側での取得すべき情報
基本方針(企業活動の理念と目的)
個別の目標(カテゴリーレベルの目標)
• たとえば環境省が提示している環境に
関するカテゴリーレベルでの目標
• 企業活動の基本的情報である生産、利
潤獲得、社員のやりがいなどの目標
個別の目標(環境パフォーマンス指標に
よる目標)
産出側で取得すべき情報
基本方針に対する達成度
もしくは満足度
カテゴリーレベルの目標に
対する達成度・満足度
個別指標レベルの目標に
関する定量化測定データ
システム表現(論)の階層
人間が介在する社会的なシステム
自然現象を記述したシステム
コンピュータのようなシステム
従来の評価方法1
1 環境影響評価法
2 行政が行なっているリスク評価(毒性
評価と暴露評価)
3 LCA(Life Cycle Assessment)
4 環境会計:企業の取り組み評価
(環境会計システム導入のためのガイド
ライン(2000年版))
5 環境価値評価
従来の評価方法2
6 政策評価(現在政府が提案中)
7 WBCSDによる「環境効率指標と報告」
8 WRI(World Resource Institute)
のメジャーリングアップ
9 Global Reporting Initiative(GRI)
の持続可能性報告のガイドライン
10 環境省のパフォーマンス指標
法的な環境影響評価
環境影響評価法
公共事業などの大規模な事業実施に
伴い自然環境への影響を評価するも
の
評価手順が決められており地形の変
形や生態系への影響を評価する
法律的に実施が義務づけられている
対象がある
リスク評価による環境影響評価
化学物質などの環境影響評価を人体へ
の危険性を基準として評価する方法
現在の時点では公的に認知された共通評価
基準があるわけではない。
死亡にいたる確率などの観点から、化学物
質の環境影響評価を行う方法が考えられる。
生態系への影響を考慮し、生態系への影響
を考慮した評価が考えられる。
製造・流通・廃棄の環境影響評価
LCA(Life Cycle
しての評価方法
Assessment)と
原材料から製造段階、流通段階、消費段階、
廃棄段階の各々で環境への影響を評価する
方法
ISO14000シリーズの中で明確に位置づけら
れて広く採用されるようになった環境影響評
価の方法
波及効果の推定法
投入物・エネルギー・費用による波及
効果をどのように推定するのか
物質やエネルギーの投入による自然科学的
な意味での波及効果の推定(因果関係によ
る推定)
科学的な変化と危険性の推定
費用の投入などによる社会科学的な意味で
の波及効果の推定(産業連関分析などによ
る推定)
環境影響評価項目
地球環境問題
温暖化
オゾン層破壊
酸性雨
野生生物
有害廃棄物
熱帯雨林など
放射性物質の問題
環境ホルモンの問題
富栄養化の問題
排出物質
◇生産に伴って排出される物質の確認
◇温室効果ガス
◇CO2,
CH4,
N2O,
CFC-11,
◇オゾン層破壊ガス
◇CFC-11,
CFC113など
◇酸性雨要因ガス
◇NOX,
SOXなど
◇環境ホルモン物質
◇ダイオキシン、PCB、DDTなど
CFC113など
分類化と特性化
分類化
インベントリー
Kg/system
GWP
CO2
a
1.0
CH4
b
24.0
N2O
c
32.0
CFC-11
d
4000.0
CFC113
e
5000.0
特性化
地球温暖化
point
1.0×a
24.5×b
32.0×c
4000.0×d
5000.0×e
LCAのインベントリー分析1
◇例えば太陽電池製造行程を例とすると
◇CVD装置、スパッタ装置、印刷機、版洗浄機、
レーザー加工装置、後工程など
◇建物空調照明、除害装置、排気装置、装置
空調設備など
◇これらの装置が稼働する際に使用される資
源およびエネルギーの品目
LCAのインベントリー分析2
◇エネルギー系の資源
◇電力(照明、一般動力、制御用)
◇原材料系の資源
◇原材料ガス(シラン、ジポラン、ホスフィン)
◇保守用ガス(アルゴン、窒素、水素、酸素、ヘ
リウム、CF4,NF3)
◇原材料(PENフィルム、AIターゲット、絶縁樹脂、
洗浄溶剤、アセトン、エタノール、NMP、糸半田
など
LCAのインベントリー分析3
◇その他の資源
◇水(用水、冷却水)
◇保守用資材(フッ化水素酸、硝酸、消石灰)
◇紙類
◇プラスチック類
◇これら資源の消費に伴って、例えば温暖化
の要因となるCO2,CH4,N2O,CFC-11,CFC113な
どがどれだけ排出されるのかを整理する
素材と環境影響項目の関係
•
•
•
•
•
•
•
•
CFC
Pb
PAH
Dust
DDT
CO2
Sox
P
オゾン層の破壊
重金属排出
発ガン性物質排出
スモッグ
有害農薬
地球温暖化
酸性雨
湖沼の富栄養化
環境省の環境会計の構想
内部機能
企業内の内部管理情報システムとして、環
境保全コストの管理や環境保全対策の費用
対効果分析を可能にし、効率的かつ効果的
な環境投資を促す機能を果たす
外部機能
企業等の環境保全への取り組み状況を定量
的に公表するシステムとして、利害関係者
の意志決定に影響を与える機能を果たす
環境コミュニケーション
としての機能
環境会計の発表
企業
経営管理ツール
情報の受け手
経営者
関係部門
一般従業員
社会
社会とのコミュニケーション
情報の受け手
消費者・取引先・投資家
金融機関・地域住民
NGO・行政・一般国民等
環境コミュニケーション
価値評価:水源林の評価例
横浜市は山梨県道志村に2,868haの水源林を所
有している。かっては木材販売で水源林の管理費
用が捻出されたが現在では不可能である。93年度
は2億6000万円が保全に使用された。 保全の費
用対効果を仮想評価法で調べた。(H5年度で1戸
あたり年間約200円)の税金を使用の情報の効果も
調べられた。
情報あり
情報なし
平均値支払意志額
1,534円
2,619円
平均集計額
19億4千万円 29億9千万円
中央値集計額
7億2千万円 14億1千万円
政策評価(現在政府が提案中)
目的
1)国民に対する行政の説明責任(アカウン
タビリティ)を徹底すること
2)国民本位の効率的で質の高い行政を実現
すること
3)国民的視点に立った成果重視の行政への
転換を図ること
評価の実施主体
ア 各府省及び総務省
イ 第三者の活用
政策評価の概念
国の行政機関が主体となり、政策の効果等
に関し、測定または分析し、一定の尺度に
照らして客観的な判断を行なうことにより、
政策の企画立案やそれに基づく実施を的確
に行なうことに資する情報を提供すること
評価の対象範囲
政策評価の対象としての政策は、多くの場
合、「政策(狭義)」、「施策」及び「事務事
業」と言われる区分において捉えることが
できる。
評価の実施の基本的な考え方
1
評価の時点
事前の評価、事後の評価、途中の評価
2 評価の観点、一般基準等
必要性の観点、効率性の観点、有効性の
観点、公平性の観点、優先性の観点
3 評価の方式及び実施の考え方
事業評価、 実績評価、 総合評価
4 評価結果の政策への反映
Global Reporting Initiative
持続可能性報告ガイドライン
GRIは、多様な利害関係者の参加する長
期的な国際的取組みであり、全世界で適
用可能な持続可能性報告のガイドライン
を策定し、普及させることを使命として
いる。
GRI報告の基本原則1
*報告主体の原則:
報告者が取り上げた組織の境界の明確化
*報告範囲の原則:
報告される活動範囲の明確化
*報告期間の原則:
可能な限り、報告可能な出来事等、報告
対象期間内に報告する
*継続企業の原則:
公表されるデータは報告組織が将来に渡って
業務を継続することを前提にする
GRI報告の基本原則2
*保守主義の原則:
報告書は、報告組織に直接帰することの
できる達成事項のみに対し、その信用を主
張する。将来的にもたらすと予想される成
果について報告することには慎重でなけれ
ばならない。
*重要性の原則:
経済的、環境的、社会的報告における重
要性は、報告組織と外部利害者のニーズに
よる。
GRI報告書の定性的特性
*適合性:ニーズに適合していること
*信頼性:記述内容の正当性、実質性、中立性、
網羅性、慎重性など
*明瞭性:利害関係者の関わりやフィードバック
を利用すること
*比較可能性:情報の認識や測定、提示の仕方に
一貫性があること
*タイミングの適切性:内容を速やかに知らせる
ため一定の周期で報告すること
*検証可能性:報告されたデータと情報は、独立
した検証が可能であるべきこと
報告書の内容
*最高責任者の緒言
*報告組織の概要
*概要と主な指標
*ビジョンと戦略
*方針、組織体制、管理システム
*パフォーマンス
・環境パフォーマンス
・経済的パフォーマンス
・社会的パフォーマンス
・統合パフォーマンス
The World Business Council for
Sustainable
Development(WBCSD)
目的:
ライフサイクルを通しての生態的影響と資
源の集約を引き下げると同時に、人間の
ニーズを満たし、質の高い生活をもたらす、
価格競争に基づく製品とサービスが提供さ
れることをめざし、ビジネス界においても
適切かつ意味ある指標を使用して、経済と
環境の持続可能性に向けた進捗を測ること
指標の原則
・環境と人間の健康及び生活の質の改善を保証することにおいて
適切で意味を持つべきこと
・組織のパフォーマンスを改善するような決定を下す際に情報を
提供すべきこと
・ビジネスの本来備えるべき多様性を備えること
・時間を経ても、ベンチマーキングやモニタリングを支援すべき
こと
・明確に定義され、測定可能、透明性を有し、検証可能であるべ
きこと
・利害関係者に理解可能で、意味があるべきこと
・企業の活動、製品、サービスの領域の綜合的な評価に基づくべ
きこと
・企業活動の上流と下流の状況に従って、適切で意味のある問題
を認識すべきこと
指標の分類と概要
カテゴリーとは、広い範囲の環境影響
もしくはビジネスの価値のこと
・製品もしくはサービスの価値
・製品もしくはサービスの製造時の環境
影響
・製品もしくはサービスの使用時の環境
影響
環境側面
側面とは、特定カテゴリーに関係する一般
的な情報のこと
カテゴリ:製品もしくはサービスの価値の側面
・体制・量・質量・金銭(monetary)・機能等
カテゴリ:製品もしくはサービスの製造時の環境
影響の側面
・エネルギー消費量・物質消費・自然資源消費
・非製品アウトプット・意図されないイベント
カテゴリー:製品もしくはサービスの使用時の環
境影響の側面
・製品・サービスの特性・包装廃棄物・エネル
ギー消費・使用中及び廃棄の際の排出物
環境指標
指標とは、側面に関する特定の測定のこと
製品もしくはサービスの価値の側面の指標
・製品の量・顧客へ提供もしくは供給されたサービス量・総
売上・収益性
製品もしくはサービスの製造時の環境影響の
側面の指標
・総エネルギー消費量・物質消費量・水消費量・大気への温
室効果ガス排出量・大気へのオゾン層破壊物質排出量・大
気への酸化物排出量・総廃棄物排出量
製品もしくはサービスの使用時の環境影響の
側面
・包装廃棄物量・エネルギー消費・使用中及び廃棄の際の排出物
(emissions)量
環境パフォーマンス指標(環境
省)
共通的主要指標
1環境マネージメントシステムの指標
2環境保全のための技術、製品・サービス
の環境適合設計(DfE)等の研究開発の
指標
3環境会計への取り組み状況に係る指標
4環境情報開示、コミュニケーションの指標
5環境に関する規制遵守の指標
6環境に関する社会貢献の指標
*環境負荷関連指標
(操業パフォーマンス指標)
インプットに係る指標
1 総物質投入量(単位:t)
2 事業者内部の循環的利用料(単位:t)
3 総エネルギー消費量(単位:J)
4 再生可能エネルギー消費量(単位:J)
5 水利用料(単位:立方メートル)
6 購入する製品・サービス等の特性に応じ
たグリーン購入の指標、エコマーク等の
環境ラベル認定製品の購入量または比率
(単位:t、円、%)
アウトプットに係る指標1
1 温室効果ガス排出量(単位:t-CO2)
2 オ ゾ ン 層破 棄 物質 排 出量 ( 単位 : ODP
t)
3 総排水量(単位:立方メートル)
4 廃棄物等の総排出量(単位:t)
5 再利用される循環資源の量(単位:t)
6 再生利用される循環資源の量(単位:
t)
7 熱回収される循環資源の量(単位:t)
8 焼却処理される廃棄物の量(単位:t)
アウトプットに係る指標2
9 最終処分される廃棄物の量(単位:t)
10 製品・サービス等の特性に応じた環境負荷
(または環境保全への貢献)の指標
11 環境負荷低減に資する製品・サービス等の
生産・販売量or比率(単位:数量、%)
輸送に係る指標
1
2
総輸送料(単位:トンキロ(t×km)
または人キロ(人×km))
輸送に伴うCO2排出量(単位:t-CO2)
集計されている統計データ
満足感:
満足度調査、政策評価、環境価値評価
技術面:
LCA、毒性評価、暴露評価、環境影響評価
経済面:
産業連関表、工業統計、商業統計
廃棄物:
産業廃棄物形態調査、一般廃棄物調査
総合環境影響評価の考え方1
21世紀は20世紀の構造であった、大量生産・大
量消費・大量廃棄から持続可能な循環型社会へ
の転換が不可欠
持続可能な循環型社会において重要な項目の
明確化と共通認識
従来の豊かさの基準であるGDP評価に基づく政
策(事業方針、消費行為)決定に替わり、総合環
境評価に基づく多様な価値を統合した政策(事
業、消費)決定方法の確立
総合環境影響評価の考え方2
立場の違い、価値観の違いを、抽象的な表現で
なく、定量化された形で表現し、お互いを理解す
ること
項目の重みを明確にすることにより相互理解の
てがかりとすること
与えられた重みの下で、最適な行動を選択でき
る方法の確立
産業連関分析
波及効果と産業連関表の活用
波及効果を推定するために産業連関分析を採用する。この方法の概要は
以下の通りである。たとえば、100 億円の公共投資によって総生産額がど
の程度増えるのか。粗付加価値がどの程度生み出されるのか。他の産業部
門への波及はどの程度か。こういった内容を推定するために有効である。
表1 平成7年度山梨県産業連関表(3部門) 単位:億円
需要部門
供給部門
中間需要
1次産業 2次産業 3次産業
第1次産業
104
567
109
中間投入 第2次産業
201
13,465
3,389
第3次産業
152
5,640
5,871
小計
457
19,673
9,369
粗付加価値
799
12,801
18,907
県内生産額
1,256
32,474
28,275
小計
780
17,056
11,663
29,499
32,507
62,006
需要
移輸入
合計
2,028
51,864
36,230
90,122
(控除)
-771
-19,390
-7,955
-28,117
県内
生産額
1,256
32,474
28,275
62,006
投入係数行投列と逆行列
最終需要に伴って誘発される生産と粗付加価値
誘発された生産によって誘発される第2次波及効果
3次以上の波及効果に有効な投入係数行列と逆行列
投入係数行列 A は総生産額の各産業部門への中間投
入の割合で与える行列
A
=
.063(=104/1256)
.0175(=567/32474)
.160(=201/1256) .4146(=13465/32474)
.121(=152/1256) .174(=5640/32474)
.004(=109/28275)
.119.=(3389/28275)
.208(=5871/28275)
投入係数行列と逆行列
2
X(1)を投入係数行列Aを利用して
X(1) = A ・ F
X(1)を生産するためには、それぞれの産業に
おける中間投入が必要になる。その中間投入額
X(2)は、
X(2)= A・X(1)= A・A・F
これを繰り返すと、総誘発生産額Xは
X = F+X(1)+X(2)+…
= ( I + A + A2 + A3 + … )F
= ( I - A )-1 F
産業廃棄物の発生と
非再生資源の使用量
最終需要をFとすると、誘発される生産額Xは
X = ( I - A )-1・F
(1)
付加価値行列Vから、誘発粗付加価ADは
AD = V・X
(2)
非再生資源投入量NRRは
NRR = SA・X
(3)
部分行列SAは投入係数行列Aの中の非再生資源部に
対応する部分行列。産業廃棄物の発生量Gは
G = CG・X
(4)
CGは単位生産あたりの誘発産業廃棄物排出量を産
業廃棄物発生行列として表現したもの。
新しい豊かさの基準
新しい豊かさ
=W1・X + W2・AD - W3・NRR - W4・G(5)
X、AD、NRR、Gは、前述のベクトルである。
それぞれは次元の異なったベクトルなのでそれ
ぞれに対応した次元の重みベクトルW1,W2,
W3,W4を用意して、一次元化した新しい豊
かさの基準値が導けることになる。
総合環境評価
総合環境影響評価
=新しい豊かさ-環境影響評価
-リスク評価
=W1・X+W2・AD - W3・NRR
- W4・G - W5・EA - W6・LA
(6)
Xは誘発される生産額、ADは誘発粗付加価
NRRは非再生資源投入量、Gは業廃棄物の発生量、
EAは従来の環境影響評価法に基づいた環境影響
ベクトル、LAはリスク評価ベクトル。W1から
W6はそれぞれの重みベクトル。
総合環境影響評価項目
地球環境問題
温暖化
オゾン層破壊
酸性雨
野生生物
有害廃棄物
熱帯雨林など
非再生資源枯渇問題
放射性物質の問題
環境ホルモンの問題
誘発生産量
誘発付加価値
誘発雇用
リスク評価
一般毒性
生殖毒性
廃棄物問題
評価項目の重み付け
地球環境問題
温暖化
8
オゾン層破壊
酸性雨
4
3
野生生物
5
有害廃棄物
熱帯雨林など
2
5
非再生資源枯渇問題 9
放射性物質の問題 6
環境ホルモンの問題 8
誘発生産量 6
誘発付加価値 8
誘発雇用 7
リスク評価
一般毒性 5
生殖毒性 7
廃棄物問題 6
総合環境評価項目の重み付け
• 異なった価値観をもっている個人や組織、
企業や自治体が自らの考えを表明するた
めの有効な方法
• 総合環境評価項目の重み付けを明確に
することは他者との環境コミュニケーショ
ンを実現するための第一歩
• 選挙などにおける公約として重み付けを
明確にすることが必要となる
満足度調査の項目
山梨県における満足度調査(平成10年)
100%
分からない
80%
不満
60%
多少不満
40%
どちらとも
まあ満足
20%
満足
0%
所得・消 教育・文
費
化
余暇
福祉・連
帯
14.7
2.6
12.6
10.6
3.6
6.8
8.1
8.9
16.7
9.9
12.7
14.4
29.4
28.8
35.8
46.8
33.2
38.7
39.7
42.4
31.6
30.8
22.1
38.3
22.1
6.5
7.7
7.7
3.9
2.8
6.5
4.2
健康
安全
居住環境
労働
分からない
6
3.5
2.2
16.3
2.2
不満
7
3.6
6.3
6.7
多少不満
12
11.1
12.1
どちらとも
33
35.5
まあ満足
34.5
満足
7.6
総合環境評価から総合評価へ
• 環境という範疇では総合環境評価は新し
い試みである。
• しかし、持続可能な社会の形成という観
点からは環境評価という範疇では不十分
• 最終的に人間が求める生き方に対する評
価という意味では総合環境評価は不十分
• 総合評価という評価軸の明確化による総
合政策評価の創設が必要
産出側で取得すべき情報
基本方針に対する達成度
もしくは満足度
カテゴリーレベルの目標に
対する達成度・満足度
指標レベルの個別目標に
関する定量化測定データ
異階層の連関の方法
最上位の階層と中位の階層の連関
因子分析
CVMもしくはコンジョイント分析
回帰分析による確認
重み集計と因子分析との相関分析
中位と下位の階層の連関
回帰分析、相関分析
因子分析の活用
・最上位の階層としての目的の実現に向けて施策
の評価を行えるようにする
・中位の階層(カテゴリーレベル)の項目との関係
を明確にする
・意識調査や満足度調査の調査項目を参考に目
的の評価が可能な項目を検出する
・因子分析で関係が引き出せた因子に基づいて
回帰分析もしくは重み付け調査による結果との
相関から分析結果を確認する
回帰分析の活用
• 因子分析の結果の検定方法としての活用
• 産業連関分析などの結果の検証としての
活用
• 各種統計データの統合のための活用
CVM(仮想評価法)の活用
• 選好関係が存在する対象を金額によって
記述するための方法
• 環境価値を定量化する方法として採用さ
れているが因子分析などの結果の検証
方法として活用可能
総合評価活用の取り組み
• 山梨県の施策における総合評価の確立
と活用
• 具体的な企業における総合評価の活用
• 個人的な行為選択への活用
持続可能な循環型社会
創造のために
• 安心して生活でき、生きることに歓び
を感じることができる社会とはどのよ
うな社会なのか
• この疑問に科学的に答えるための手法
の提案
• 具体的に検証できるレベルにアルゴリ
ズム化すること
• 具体的なフィールドで適用すること