スライド 1 - 総合研究開発機構(NIRA)

国の政策評価の現状について
<地方シンクタンクフォーラム(2004/6/4)>
高野 修一
総務省
行政評価局 評価監視官
[email protected]
意見にわたる部分は、個人としての見解です。
政策評価制度の経緯
平成9年
行政改革会議最終報告(9.12.3)[政策評価の導入を提言]
平成10年 ◆中央省庁等改革基本法成立(10.6.12)[中央省庁等改革の
基本方針として政策評価機能の強化が盛り込まれる]
平成11年 ◆内閣府設置法、改正国家行政組織法(11.7.16成立、13.1.6
施行)[各府省が自ら政策を評価しなければならないことが
法律上明記]
平成12年
法律の早期制定についての総理指示(12.7.14)
平成13年 ○行政機関が行う政策の評価に関する法律(13.6.22成立、
13.6.29公布)
○政策評価に関する基本方針(13.12.28閣議決定)
平成14年 ◎行政機関が行う政策の評価に関する法律施行(14.4.1)
平成17年 法施行から3年が経過[附則第2条に基づく評価法の施行状況
の検討]
政策評価の年間スケジュール
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
◆行政評価等プログラム改定(総務省行政評価局)
◆基本計画改定・実施計画策定(各府省)
◎政策評価年次報告書の国会報告(行政評価局)
○「骨太の方針」閣議決定
(政策評価に関する決議(参議院15.7.18))
○予算要求等基準閣議、各府省予算要求等提出
◎政策評価結果の次年度予算要求等への反映状況の公表
(行政評価局)
○予算編成の基本方針、予算政府案閣議決定
◎政策評価の活用状況の公表(財務省主計局、
総務省行政管理局)
評価法における「政策評価」(その1)
 評価法第3条第1項
「行政機関は、その所掌に係る政策について、
適時に、その 政策効果(※) を把握し、これを基礎
として、必要性、効率性又は有効性その他当該
政策の特性に応じて必要な観点から、自ら評価
するとともに、その評価の結果を当該政策に適
切に反映させなければならない。」
(※)政策効果:当該政策に基づき実施し、又は実施しようとしてい
る行政上の一連の行為が国民生活及び社会経済に及ぼし、又は及ぼ
すことが見込まれる影響をいう。
評価法における「政策評価」(その2)
<要素>
 タイミング
 アウトカムの把握
 政策評価の観点
 「適時に」
 「政策効果を把握し」
 「必要性、効率性、有効性そ
の他…必要な観点から」
 行政機関の自己評価
 「行政機関は」「自ら評価し」
 政策への反映義務
 「反映させなければならない」
評価法上の行政機関:1府10省に加え、宮内庁、公取委、
国公委・警察庁、防衛庁、公調委
組織法制における「政策評価」の規定
 国家行政組織法第2条
「国の行政機関は、内閣の統轄の下に、その政策について、
自ら評価し、企画及び立案を行い、…行政機能を発揮する
ようにしなければならない。」(内閣府設置法第5条も同旨)
 政策の「企画立案部門と実施部門の分離」が前提
ー 企画立案部門には政策評価、実施部門には執行評価
ー 独立行政法人は、独立行政法人通則法による独立行政法人評価の対象
ー 実施庁は、中央省庁等改革基本法の下の実施庁評価の対象
ー 執行評価として、他に、行政評価・監視、予算執行調査など
ー しかしながら、実施主体の如何を問わず、国としての政策性があれば、
政策評価の対象となる。 ⇒補助事業も対象(平14年度、公共事業
9,500件中8,500件以上が補助事業)
各府省における実施体制の整備・充実
 評価担当の政令組織を設置
17行政機関中9機関が「評価」の名称を用いた政令官職
(課、官)を設置。8機関では、官房の担当課に専担の省令
室等を設置して対応。
 16年度から7府省に政策評価審議官を設置
従前から3機関では、課長級職の上に政策評価担当の政策
統括官(局長級)等を配置。さらに、7機関に審議官を配置。
 政策評価部門と予算関係部門との連携強化
審議官等総括整理職の配置による連携強化の効果を期待
(⇒ 会計課、文書課と政策評価担当課との間の連携)
政策評価制度の枠組み
「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(14 年4月施行)
政策評価:各府省の政策を対象として、政策効果を把握し、必要性・効率性・有効性等の観点
から評価を行うことにより、政策の企画立案や実施の見直し・改善を推進するもの
政策評価の目的:① 国民本位の効率的で質の高い行政の実現
② 国民的視点に立った成果重視の行政への転換
③ 国民に対する行政の説明責任の徹底
総務省
各府省
政策を企画立案し遂行する立場から所掌する
政策について自ら評価を実施
○ 政策効果を把握し、必要性、効率性、有効
性等の観点から事前、事後に評価
○ その際、
・政策効果をできる限り定量的に把握
・政策の特性に応じ、学識経験者の知見を活用
評価書
の送付
○
制度の基本的事項の企画立案、事務の総括
○ 評価専担組織としての政策評価活動の実施
① 政府全体の政策の統一性、又は総合性を確保
するための評価
② 政策評価の客観的かつ厳格な実施を 担保
するための評価活動
評価書
・意見
・勧告
評価結果の政策・予算等への反映
政策評価等の実施状況、政策への反映状況の法定国会報告
「政策」とは
 評価法第2条では、
「行政機関が、その任務又は所掌事務の範囲内にお
いて、一定の行政目的を実現するために企画及び立
案する行政上の一連の行為についての方針、方策そ
の他これらに類するもの」
 いわゆる「政策」、施策、事務事業等のすべてを含む。
 人事・会計など管理業務は含まれない。
 目的ー手段関係の連鎖をなす。入れ子構造をなしており、対
象特定の問題を生じ得る。
政策評価の種類と対象(その1)
1 事前評価(=政策を決定する前に行う評価)
<評価法で実施が義務付けられているもの>
○ 国民生活若しくは社会経済に相当程度の影響を及ぼす又は多額の
費用を要する政策
であって、
○ 政策効果の把握の手法その他の事前評価の手法が開発されている
場合
⇒ 具体的には、政令で、個々の研究開発、公共事業及び政府開発援
助の3分野(事業費10億円以上のもの等)を指定
研究開発:外部評価(ピアレビュー)
公共事業:費用便益分析(事業種別ごとのマニュアル)
ODA:OECD/DACの評価原則
政策評価の種類と対象(その2)
1 事前評価(続き)
<評価法で義務付けられているもの以外>
○ 17行政機関中13機関において、義務付けられているもの以外に
も事前評価の実施を規定
○ 13機関中7機関では、規制についての事前評価の実施を規定
2 事後評価(=政策を決定した後に行う評価)
<評価法で実施が義務付けられているもの>
○ 主要な行政目的に係る政策(3~5年の基本計画期間ごとに)
⇒ 基本計画期間3年が9機関、5年が6機関など
○ 未着手(政策決定から5年)、未了(政策決定から10年)の
政策
<政策評価の方式>
「事業評価方式」、「実績評価方式」及び「総合評価方式」やこれら
の主要な要素を組み合わせた一貫した仕組みなど、適切な方式を用いる
こととなっている。
1 事業評価方式
政策を決定する前に、その採否、選択等に資する見地から、あらかじめ期待さ
れる政策効果やそれらに要する費用等を推計・測定し、政策の妥当性、必要性、
効率性などの観点から評価するとともに、必要に応じ事後の時点で事前の時点に
行った評価内容を踏まえ検証する方式
2
実績評価方式
政策を決定した後に、あらかじめ政策効果に着目した達成すべき目標を設定し、
これに対する実績を定期的・継続的に測定するとともに、目標期間が終了した時
点で目標期間全体における取組や最終的な実績等を総括し、目標の達成度合いにつ
いて評価する方式
3 総合評価方式
政策の決定から一定期間を経過した後を中心に、特定のテーマについて、当該
テーマに係る政策効果の発現状況を様々な角度から掘り下げて分析し、政策に係
る問題点を把握するとともにその原因を分析するなど総合的に評価する方式
平成 15 年度における政策評価の実施件数(未定稿)
(単位:件)
区
分
事前評価
500
実績評価
一
般
総合評価
の
政
事業評価
策
小
特
定
の
分
野
計
研究開発
公共事業
O D A
計
事後評価
計
500
( 471 )
-
147
( - )
275
147
( 29 )
27
( 244 )
275
( 53 )
( 244 )
( 553 )
( 246 )
( 191 )
( 6,934 )
( 2,626 )
( 0 )
(注)1 各欄左上の数字は、平成 15 年度の実績を示し、右下の(
2 精査による異同があり得る。
( 9,560 )
49
( 0 )
5,909
(7,424)
( 437 )
9,707
32
5,219
( 797 )
423
4,929
17
( 297 )
949
274
4,778
( 29 )
302
674
149
( 471 )
( 0 )
11,128
( 3,370 )
( 10,794 )
)内の数字は、平成 14 年度の実績を示す。
実績評価の例
(農林水産省)
公共事業評価の例
(国土交通省)
評価アプローチ(その1):実績評価方式
 実現すべき目標を掲げ、
 それをいつまでにどの程度の水準を実現するのかについて、
 測定する適切な指標を選定し、その実績を定期的に測定
⇔ 目標を達成するためにどのような内容の行政活動を展開
することが有益かを十分に吟味することが前提
 どのような活動をしたのかではなく、掲げた目標が達成され
たかどうかをみる。
⇒ 指標の選定とその指標による達成水準の設定が鍵
 達成が不十分な場合には、その原因分析が必要
⇒ 外部要因や実施した政策自体の問題点等を点検
評価アプローチ(その2):事業評価方式
 具体の行政活動を通じて、政策効果として、何がどのように、
どの程度実現できるかを説明することに主眼。
 その達成見込み、又は実績を基に
 当該政策を、必要性、効率性、有効性等の観点から評価
⇔ 政策を実施しようとする府省において、政策の意図が明確
にされているかどうか、具体的に特定されているかどうかが鍵
 事後的な検証が必要
⇒事後的な検証結果を政策の企画立案、事前評価の方法の開発に向けて
フィードバックする必要
府省における評価の取組のパターン(その1)
<大多数の府省の場合>
 政策のレベルに応じて、性格の異なる二つのアプローチ
を使い分けて評価をしようとしている。
 事務事業レベルの政策: 事前評価には、事業評価方式
 政策体系に沿って大括りにした政策:事後評価には、実
績評価方式(目標設定を当初から断念している外務省、防衛庁で
では「総合評価方式」)
 事前と事後はどうつながるか。事後的な検証はどうして
いるか。
 所管する政策のどの部分をどのようにカバーしたことに
なるのか。
府省における評価の取組のパターン(その2)
<経済産業省の場合>
 二つのアプローチを融合した方法により、事前・事後を通じて
一体的に評価をしようとしている。
 政策体系を130の施策とそれに含まれる約900の事務事業
に整理
 施策ごとの評価を基本としつつ、実質的には、事務事業につ
いて個々に評価年次を指定し、計画的に事後評価を実施
 すべてについて毎年モニタリング(予算要求前の「事前評
価」)。ただし、評価実施分がモニタリング分と混在
府省の自己評価の「補完」と「分担」
 各府省にまたがる政策についての統一性、総合性を確保す
るための評価
⇒評価の対象は、各府省の政策そのもの
 各府省が行うべき評価の実施を確保する機能(究極におけ
る代替評価の実施である「客観性担保評価」とその関連活
動)
⇒代替実施する評価の対象は、(政策評価ではなく)各府省の政策
 自己評価である各府省の政策評価のやり方(客観性、質)を
点検し、評価の質の向上につなげていく活動
⇒点検の対象は、政策評価。ただし、客観性担保評価活動との連続性あり。
行政評価局が行う政策評価活動のイメージ
各府省の政策評価についての「審査」(評価のやり方の点検)
<評価法2年目の課題の主なポイント>
各
府
省
の
政
策
今回通知するのは、
各府省が
平成 15 年における
「審査の総括」
自ら評価
○ 事務事業についての事後評価の充実
○ 外部からの検証可能性の確保
○ 評価の重点的・効率的な実施
を 行 う
(「自己評価」)
改めて評価を行うべきもの(評価のやり直し) 評価の実施の必要
「認定」に当たっ
があるものについ
ては、個別の事案
社会経済情勢の変化に対応して評価を行う必要のあるもの
ての「認定」
(⇒評価の実施へ)
(意見を通知したもの)
各府省にまたがる政策
について統一性・総合性
を確保する評価
○
○
○
○
○
地域輸入促進
容器包装リサイクル
リゾート
障害者就業
政府金融機関
○ 特別会計
○ 検査検定
○ ODA
に即して具体的
に検討を進めて
いく必要あり
(実施中のもの)
○ 湖沼の水環境
○ 留学生
○ 少子化対策
政策への反映 /予算への反映
 評価法第3条第1項
「行政機関は、その所掌に係る政策について、適時に、
…自ら評価するとともに、その評価の結果を当該政策に
適切に反映させなければならない。」
 評価法第4条
「政府は、政策評価の結果の取扱いについては、…予算
の作成…に当たりその適切な活用を図るよう努めなけれ
ばならない。」
政策評価の結果の政策・予算等への適時適切な反映・活用
総務省における取組の重点
政策評価の質
の向上促進
評
価へ
結の
果反
の映
予促
算進
等
○既存の事務事業に対する事後評価の充実
○事前評価の拡充
○評価手法等の調査研究
○人材の確保、資質の向上
●各府省における政策評価の実施・公表
時期の早期化
各府省
政策評価の実施
政策評価結果
(評価書)
予算要求等に政策
評価結果を反映
●各府省における実施体制の整備・充実
予 算 要 求 等*
●予算等への反映を念頭に置いた審査の実施
●評価結果の予算等への反映状況
の取りまとめ・公表
政策評価作業の重点化・効率化
8
月
末
予算等査定当局
予算編成等に政策評価
結果を活用
各府省における政策評価の実施・公表時期の早期化
 15年度:概算要求関連の評価を全府省が8月末までに実施・公表
 14年度:概算要求関連であっても、評価書の公表が9月から12月
になった府省あり
0
1000
738
4月~8月
9月~2月
2000
1787
670
230
3000
4000
5000
6000
概算要求関連の
評価は8月末の
概算要求に向け
て行われる。
7000
8000
9000
10000
ほとんどすべてが個
別公共事業の評価
(予算成立後の箇所
付け)
9597
9321
3月
平成14年度
平成15年度
政策評価の活用状況(その1)
<予算査定への活用> 「政策評価の活用状況」(15.12主計局)
 評価の質が乏しいものが見受けられる。
・ 定性的・抽象的な記述にとどまるもの
・ 継続施策にもかかわらず、過去の実績の評価が十分になされていない
もの など
 予算要求のための自己評価をまとめたものであり、客観性・
中立性が担保されていない側面がある。
⇒活用が困難なものも多い。
⇒今後とも引き続き、政策評価の客観性の向上や精度の向上
に取り組む必要がある。
政策評価の活用状況(その2)
<機構・定員査定への活用の状況>(15.12行政管理局)
 そもそも政策評価を反映しない要求が多い。特に政策評価
を反映した減要求はほとんどない。
 政策の必要性の評価に重点が置かれているものが多く、有
効性や効率性の評価が十分でない。
 評価結果と機構・定員要求との具体的な関連が明確でない
場合が多い。
 定量的な分析はほとんどなされず、現在の体制についての
評価や体制強化に代わる手段との比較もほとんどなされて
いない。
予算編成のイノベーションと政策評価




「モデル事業」と「政策群」:16年度予算でそれぞれ10づつ指定
いずれも、「宣言」-「実行」-「評価」が大前提
当初から、政策目標や事後の評価の方法を特定する仕組み
今後、適用の拡大が想定される。
<モデル事業>
 政策目標の定量的な設定
 弾力的な予算執行
 厳しい事後評価
<政策群>
 規制・制度改革等と予算措置の組み合わせ
 府省横断的な対応による政策の実効性・効率性の向上
 より少ない財政負担で民間活力を最大限に
政策評価についての客観性の「審査」について
○ 評価法では、
各府省が自ら評価を行い、
所掌する政策に反映させていく「自己
評価」が基本
○ 自己評価に対する規律として、外部からの検証と
チェックが欠かせない。
○
○ 評価の客観性を確保するため、
評価法で以下を義務付け
政府部内では、総務省(行政評価局)が各
府省の行った政策評価の客観性をチェック
・ できる限り定量的に評価を実施
・ 評価を行う際、学識経験者の知見を活用
⇒ 個々の評価について統一的な点検を行い、改善点
を指摘(個別審査)
⇒ さらに、評価法施行2年目の評価の実施状況を整
理し、基本的な課題を提起(審査の総括)
○ 政策評価の質の向上を通じた評価
の実効性の一層の確保(評価設計等を
<15 年の審査の総括(平 16.3)>
充実し、評価の質の向上を図ることは、
評価結果の予算等政策への反映を進め
る上でも重要)
○ 評価法施行3年後(17 年度)の見直し検討
の資料
○ 政策評価の年次報告(6月国会報告 )にお
ける課題記述等の資料
○ 評価の実効性の向上に向けた基本的な課題
⇒ 事業レベルの政策について、事後の評価・検証に
積極的に取り組むこと。
⇒ 重点的、効率的に評価を実施するための工夫も重要
⇒ 評価に用いた資料やデータの積極的な公表等により
外部からの検証を容易にすること。
「政策評価についての審査」の実施の
タイムフレーム(平成15年度)
「審査」の実施状況と関連の動き
平成 15 年4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
16 年1月
2月
3月
(16 年度) 4月
5月
6月
7月
各
府
省
に
お
け
る
政
策
評
価
の
実
施
(一般の政策)
個別審査
の結果の
通知・公表
(3分野)
各府省基本
計画の改定
と実施計画
の策定
↓
評価の実施
審査総括の通知・公表
(1月末分まで)
評価法施行後
3年目へ
(検討条項あり)
[年次報告(国会報告)
]
評価法2年目の状況と今後の課題
-15年の審査の総括のポイント-
【一般の政策】
○ 15 年度(16 年 1 月末まで)の
評価の実施件数 :1,626 件
うち、一般の政策: 917 件
・得ようとする効果の明確化
・事後検証方法の特定
が鍵
「事務事業」レベルの
評価は事前評価に力点
事後の評
価・検証の
実施が重要
事後の評価は「施策」
レベルのものが中心
具体の手段(事務事業)
について分析・検証の
実施が重要
事務事業レベルの
事後評価の充実
・目標の達成水準と時期
の特定化
・達成度の判定基準の
明確化
が鍵
政策評価の質
の向上を通じた
評価の実効性の
一層の確保
【特定の分野(事前評価等の実施が義務付けられた分野)】
・研究開発:151 件
・公共事業:510 件
・ODA : 48 件
外部検証可能性
の確保
評価の重点化・
効率化も重要
「審査」における点検項目のポイント
【事前】得ようとする効果の明確性、
効果の達成見込みに関する検証方法、
効果の把握の特定性
事業
評価
事前評価の役割である政策決定に先立ち参考となる情報を提供
するという機能が十分に果たされているのかどうか。
【事後】得ようとする効果の明確性
把握した効果の客観性、
把握された効果と評価結果との関連性
とらえるべき現実、実態がとらえられているのかどうか。
問題点について必要な分析が適切に行われているかどうか。
実績
評価
目標の設定状況(目標値等、目標期間の設定の有無)
目標の達成度合いの判定方法
実績評価方式を用いた評価
○ ほとんどの府省は、事後評価の主たる評価として、主要な行政目的に係
る政策について毎年度実績評価を実施(12府省計494件)
<目標の設定状況>
 農林水産省及び国土交通省では、すべての政策について目標に関し達
成すべき水準を具体的に特定し、かつ目標期間を明らかにしている。全
体では、こうした取組はおおむね3割以下
 アウトカムに着目して達成すべき水準が特定されているものの割合が10
パーセント以下の府省あり
<目標の達成度合いの判定方法>
 農林水産省は、判定基準を設定して目標の達成度合いを判定。また、判
定結果をパターン化した文言等で示している府省もあるが、判定基準は
明らかにされていない。
○ このほか、農林水産省では、実績評価の達成度合いが低いものに係る
事務事業等を対象に、政策手段別評価を実施
総合評価方式を用いた評価
○
防衛庁及び外務省では、主要な政策を網羅的に対象
とし、国民に対する説明責任を果たすことを主眼とし
て評価を実施(計134件)
○ 他の8府省では、政策の見直し・改善に資する見地
を主眼として評価を実施。実施件数は計20件と少ない。
(注)件数は、評価法施行後2年分のもの
事業評価方式を用いた評価(義務付け3分野以外)
○ 8府省において、予算要求を伴う新規・拡充事業等を対象として自発的・積
極的に事前評価を実施(8府省計275件)
○ 事後評価の実施は3府省計23件とわずか
【事前評価】
○ 得ようとする効果の明確性
 政策により「何を」、「どうする」のか説明されていても、「どの程度」かが明ら
かでないなど、得ようとする効果が具体的に特定されていないものが多い。
○ 得ようとする効果の達成見込みの検証
 既存の事業を拡充する政策を含め、得られると見込まれる効果について実
証的な裏付けを伴う説明がなされているものは限られている。
【事後評価】
 把握した政策効果について一応の客観的な把握がなされているが、当初期
待したとおりの効果が得られたのかどうかは必ずしも明らかにされていない
ものもみられる。
審査結果を通じて提起した課題(その1)
 実績評価について、目標に関し達成しようとする水
準の数値化等による特定と目標の達成度合いの判
定方法の明確化
 事業評価方式による事前評価について、政策の実
施により得ようとする効果の明確化(「宣言」と実証データ)
と事後検証の方法の特定など評価設計の充実
 評価の全体を通じて、事務事業レベルの政策につ
いて、事後評価又は事後的な検証の充実
また、適切な評価設計に努めても困難である場合、政策の特性に応じ、
実績評価方式ではなく、事業評価方式、総合評価方式等の選択も有効
審査結果を通じて提起した課題(その2)
 研究開発を対象とする評価では、外部評価の積極
的な活用と外部からの検証可能性の確保
 個々の公共事業の評価では、評価手法の一層の充
実と外部からの検証可能性の確保
 個々の政府開発援助の評価では、
・ 事前・中間・完了後の段階を通じた具体の検証結果
の明確化と実施要領による全体の仕組みの提示
・ 外部からの検証可能性の確保
政策評価全体の当面の課題
(16.4政策評価分科会のメッセージから)
○ 評価の質の向上
● 各府省間で整合性の取れた政策目標の設定
● 政策コストの把握、政策効果の把握の徹底
● 第三者の専門的、客観的な知見の有効活用
● 評価手法の開発やデータ整備など評価インフラの充実
● 総務省による各府省の評価の有効なチェックの一層の取組
○ 必要性の高い評価の実施
● 既存の事務事業に対する事後評価の充実
● 規制の導入・修正等についての事前評価の拡充
● 改めて実施する必要がある政策評価についての個々の検討
○ 評価の取組のインセンティブ付け
● 政策の企画立案や予算作成等に評価結果が活かされる仕組みの整備
○ 外部からの検証可能性の確保
● 評価に用いたデータや情報の公表の徹底、インターネット掲載
○ 地方公共団体との連携強化、国民への広報の積極的展開
最後にお願い
 政策の見直しは、あなたのご意見から始まる…かもしれま
せん。
 総務省は、各府省の政策評価が政策の見直し・改善につな
がるよう適切に行われているかどうか点検する役割を担っ
ています。
 このため、国民の皆様から、既に行われた政策評価につい
ての具体的な疑問や、評価を行い具体的な見直しに結び付
けていくことが必要と思われる政策について、具体的なご
意見やご指摘を受け付けています。
 検討の結果、評価法の下で実施することが必要であると判
断された場合、当該府省又は総務省が、責任をもって政策
評価を実施することになります。
 ぜひ、 [email protected] まで、積極的にご意見やご
疑問をお寄せくださいますよう、お願いいたします。
主な資料
 「各府省が実施した政策評価についての審査の総括報告~
評価法2年目の状況と今後の課題~」(平成16年3月総務省行
政評価局)
 「政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映
状況に関する報告」(総務省行政評価局)(平成15年度版は近日中
に公表見込み)
 「政策評価の活用状況」(平成15年12月財務省主計局)
など
 上記文書を含む関連資料については、「政策評価の総合窓口
(http://www.soumu.go.jp/hyouka/seisaku-top.htm)から、アクセス又は
検索が可能です。