ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決

2016年10月13日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB175)
新興国レポート
オーストラリア経済とリート市場の動向につい
ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決
 ブラジル下院は歳出に上限を設ける憲法改正案を大差で可決。法案はインフレ控除後の歳出の伸びを凍結するもの。
 ルセフ政権下では、景気低迷で歳入が落ち込む中、バラマキ型の歳出拡大政策が採られることで財政赤字が拡大。
 テメル政権が進める歳出上限法案は、財政悪化がさらなる景気低迷を招く負の連鎖を断ち切るための政策。
インドが追加利下げ 今年4回目
 同法案の成立には、下院と上院での追加承認が必要。財政健全化の進展はブラジル中銀の利下げを促す可能性。
ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決
図1:ブラジル中央政府の歳入・歳出(GDP比)
ブラジルの下院は10月10日、中央政府の歳出に上限を設
ける憲法改正案(PEC)を可決しました。憲法改正案の可
(GDP比、%)
22
ネット歳入
決には下院議員(全513名)の5分の3(308名)以上の賛
成が必要でしたが、下院採決では賛成が366名と大差での
法案可決となりました。
20
基礎的財政収支
赤字
18
黒字
歳出上限法案は、利払い費を除く歳出の伸び率を前年のイ
ンフレ率以下に抑制し、実質ベースで歳出の伸びを凍結す
17.7%
16
るものです。法案の期限は2036年までの20年間で、教育
と医療の2分野のみ条件緩和が盛り込まれました。
19.6%
歳出(利払い費除く)
14
財政悪化による負の連鎖を断ち切る財政改革
2011年以降のルセフ政権下では、景気低迷によって歳
入が落ち込む中、名目経済成長を上回るバラマキ型の歳
出拡大政策が採られたことで、財政赤字の増大を招きま
した(図1)。特に歳出の中でも社会保障支出や各種補
助金などの義務的支出の拡大が優先されたことで、中期
的な経済発展の基礎となるインフラ投資が抑制されたほ
12
97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年)
カルドーゾ政権
ルーラ政権
(出所)ブラジル財務省、ブラジル中銀
(注)ネット歳入は総歳入から地方政府への財政移転を除いたもの。
図2:テメル政権が進める財政改革の狙い
≪ルセフ政権下の負の連鎖≫
か、財政悪化によるインフレ加速や金利上昇が家計や企
業の信認低下に繋がりました(図2)。
ルセフ政権
景気低迷
現在、テメル政権が進める歳出上限法案や年金改革な
(テメル政権)
歳出上限法案や
年金改革を推進
どの財政健全化策は、財政悪化がさらなる景気低迷を招
く負の連鎖を断ち切るための政策と考えられます。
歳出上限法案は財政改革や金融緩和を促進へ
歳出拡大
財政赤字増大
歳出凍結
財政収支改善
インフレ加速
金利上昇
インフレ改善
金利低下
家計・企業の
信認低下
信認改善
景気回復
歳出上限法案の成立には、下院での再度の承認と上院での
審議・承認が必要となります。今回の下院での法案承認は、
今後の財政改革の追い風となると期待されます。
また、金融政策の面では、ブラジル中銀は金融緩和の条件
として財政健全化の進展を挙げており、下院での歳出上限
法案の承認はブラジル中銀による早期の利下げ判断を促す
可能性があります。当面は10月18-19日の金融政策委員会
(COPOM)に注目が集まりそうです。
(出所)レッグ・メイソン・アセット・マネジメント
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