薄膜旋回型分散法を用いた精製漆の開発

応用分野:屋外塗装
技術分野:樹脂
薄膜旋回型分散法を用いた精製漆の開発
シーズ保有機関 : 地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
発
明
者 : 橘 洋一
技術の概要
新規分散法を用いた精製漆
・ 漆中の水系粒子の分散性を向上させた精製漆。
・ これまでにない高い光沢性を有し,漆の用途範囲を広げる開発。
・ 従来法と比較し,短時間で均質な精製漆を提供できる。
・ 促進耐候性試験による塗膜劣化において,水系粒子の高い分散性により,光沢保持時間が増加した。
技術の特徴
硬化後塗膜の透明性及び光沢性に優れた精製漆
・薄膜旋回型分散法を用いて生漆を攪拌することで,水系粒子のサイズを減少させ,水系粒子の分散性を向上させる
ことができた。
・薄膜旋回における周速と時間を調節することにより,未処理の生漆と比較し,乾燥時間はほとんど変化せず,非常に
高い光沢性・透明性を有する漆塗膜を得ることができた。
・促進耐候性試験による劣化後においても,塗膜表面の平滑性を維持し,外観を損いにくい。
120
光沢なし
生漆
薄膜旋回生漆
100
光沢
80
60
40
20
0
光沢あり
0
塗膜に蛍光灯を反射させた写真
技術の活用例
20 40 60 80 100 120
照射時間 (h)
促進耐候性試験における照射時間と光沢の関係
塗装分野で幅広く利用可能
・寺社仏閣への漆の屋外塗装
・建材塗装への応用
屋外塗装
屋内塗装
(漆塗エレベーター)
漆器
技術開発の経緯
漆の弱点を克服し,用途拡大を目的とする
屋外使用に耐えうる塗料として,紫外線暴露状態で時間が経過しても,その美装(光沢)を失わないことが条件に
挙げられる。光沢は,塗膜表面の平滑性に依存するため,その表面を平滑な状態に保つことが重要となる。しかし,漆を
屋外塗装に用いた場合では,その主要成分の化学構造のため,漆が紫外線により劣化し,塗膜中に分散された水の
孔穴が表面に現れる。その結果,漆表面の平滑性が失われ,光沢が極端に減少する。
そこで,漆中の水粒子を小さくし,高分散させることで,劣化した場合でも平滑性を維持した塗膜を得られると考えた。
産官金による連携支援
産
官
金
・産業支援機関による共同研究、共同開発における体制構築、推進支援
・研究開発資金獲得支援、販路探索等の事業化支援
・産官連携よる新たな製品の共同開発
・新たな漆素材の試験研究支援
・研究開発、事業化のための資金調達、融資支援
・事業化、企業経営コンサルティング
企業の方へ一言
木地以外にも,金属や陶器など様々な素地に塗ることができます。
特許の情報、その他
■ 特許の情報
名称:精製漆の製造方法
公開番号:特開2016-124997(H28.7.11公開)
出願日:平成27年1月6日
特許権者:京都市産業技術研究所
■ その他の情報
用語解説
漆:ウルシ科植物から採取された樹液を原料とする天
然樹脂塗料であり、主として、油分(長鎖不飽和アルキ
ルが置換したカテコール誘導体からなる脂質成分)と、
油分中に分散した水分(水に溶解した水溶性多糖類
や酵素を含む)とからなるW/O型エマルジョン溶液。
薄膜旋回型分散法:円筒状の攪拌槽と、攪拌槽の内
周面に沿って回転する回転羽根を備えた攪拌装置を用
い,遠心力によって薄膜を形成させ,剪断力により分
散する方法。
この資料についての問合わせ先:近畿経済産業局 産学官連携推進室
公益財団法人 新産業創造研究機構
TEL
TEL
06-6966-6164
078-306-6805