炭素繊維複合糸の高速生産とテキスタイルプ

応用分野:CFRP(炭素繊維強化複合材料)品製造
技術分野:繊維・樹脂
炭素繊維複合糸の高速生産と
テキスタイルプリフォームからの立体成形品
シーズ保有機関 : 兵庫県立工業技術センター
発
明
者 : 藤田 浩行
技術の概要
ミシンの巻縫技術を活用し、炭素繊維に熱可塑性樹脂繊維を加工する技術
・熱可塑性炭素繊維強化複合材料の成形に必要なテキスタイルプリフォーム用の複合糸の作製技術である。
・工業用ミシンの巻縫機構を利用することで、高速(30m/分以上)かつ低コストで複合糸が作製できる。
・複合糸から織物、編物、組物等のテキスタイルプリフォームを汎用設備で作製可能であるとともに、複雑な形状の熱可塑
性炭素繊維強化複合材料の成形を実現できる。
技術の特徴
熱可塑性炭素強化複合材料用テキスタイルプリフォームの作製と賦形性
複合糸の作製と形態
・複合糸は、炭素繊維を芯とし、マトリックスとなる樹脂繊維により周りを巻くような形態をしている。
炭素繊維に他の繊維を引き揃えた状態でその周りを巻いた構造とすることも可能で、糸の太さや本数および巻縫ピッチを
変更することで、炭素繊維含有率を複合糸の作製段階で容易に規格設計することができる。
・樹脂繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル
エーテルケトンなど対応可能である。
複合糸から作製するテキスタイルプリフォーム
・汎用の整経機およびレピア織機で炭素繊維から構成された織物が生産できるため、低コストで製造可能である。
・編機による編物および製紐機による組物などのテキスタイルプリフォームも作製できる。
・プリプレグのように樹脂が溶融含浸していない状態であるため、賦形性に優れたテキスタイルプリフォームであり、プリプレグ
では成形できない複雑な形状の成形品を熱圧縮のみで作製できる。
炭素繊維
複合糸
組 物
巻縫ピッチ
編 物
メローミシン
炭素繊維
引き揃え糸
技術の活用例
巻縫糸
テキスタイル
プリフォーム
織 物
複合糸の形態
テキスタイルプリフォームの開発、賦形性を活かした複雑形状への成形
平板形状だけでなく、プリプレグでは成形困難な形状の製品への適用
織物プリフォーム使用
編物プリフォーム使用
組物プリフォーム使用
技術開発の経緯
複合糸の製造技術とテキスタイルプリフォームの開発
炭素繊維と熱可塑性樹脂繊維からなる複合糸の作製方法は様々あるが、一般的には生産性が低く、コスト高が課
題である。また、炭素繊維は引張りには強いが、摩擦には非常に弱く、汎用設備では製織できない。
そこで、布の端がほつれないようミシンで加工する「巻縫機構」を炭素繊維へ適用できるよう改良し、複合糸の製造技
術を開発した。この作製方法は、複合糸の生産性が高く、汎用織機、編機など繊維機械で様々なテキスタイルが作製
できる。また、樹脂の含浸性や成形品への賦形性が高いなど、一石二鳥も三鳥も利点があることがわかり、様々な素材
を用いた複合糸およびテキスタイルを開発してきた。用途や形状に応じた材料設計も容易なため、シート状のプリプレグで
は製造できない複雑な形状の成形品や色彩を付与した材料開発など複合糸ならではの材料開発も実施している。また、
最近は、異素材と組み合わせた材料開発にも取り組んでいる。
ステンレス板と複合化
木材と複合化
産官金による連携支援
産
官
金
・産業支援機関による共同研究、共同開発における体制構築、推進支援
・研究開発資金獲得支援、販路探索等の事業化支援
・技術相談、機器利用による技術支援
・共同研究、共同開発による実用化支援
・研究開発、事業化のための資金調達、融資支援
・事業化、企業経営コンサルティング
企業の方へ一言
複合糸などテキスタイルプリフォーム開発にご興味ある方、また、プリプレグでは成形が難しい形状の製品の金属代替による軽
量化を検討されている方、その他、開発技術にご興味ある方は、お声掛けいただければ幸いです。
特許の情報、その他
■ 特許の情報
(1) 熱可塑性繊維糸を巻縫いした織物の炭素繊維強
化複合材料
登録番号:特許第5433836号(平25.12.20登録)
(2)炭素繊維強化複合材料の製造方法
登録番号:特許第5877431号(平28.2.5登録)
(3)繊維強化複合成形材料の製造方法
登録番号:特許第5920764号(平28.4.22登録)
(4)繊維強化複合編物材料の製造方法
登録番号:特許第5849284号(平27.12.11登録)
他3件
■ その他の情報
巻縫い:メローミシンなどでニット等布の端がほつれないよ
うに加工する技術
テキスタイルプリフォーム:繊維強化複合材料を成形す
るために必要なシート状および立体形状の材料で、繊維
形態により織物、編物および組物等がある。金型等を用
いた成形工程で複合材料を作製する。
賦形性:プリプレグやテキスタイルプリフォーム等の材料を
金型等で圧縮して成形する際、それら材料が金型形状
に沿って成形できる性能。
この資料についての問合わせ先:近畿経済産業局 産学官連携推進室
公益財団法人 新産業創造研究機構
TEL
TEL
06-6966-6164
078-306-6805