応⽤分野︓コーティング材、保護膜、環境材料 技術分野︓⾼分⼦材料 熱による可逆応答能をもつ植物油ベースのネットワークポリマー シーズ保有機関 発 明 者 技術の概要 ︓ 地⽅独⽴⾏政法⼈ ⼤阪府⽴産業技術総合研究所 ︓ 井上 陽太郎 動的共有結合を、架橋成分として導⼊した、⾃⼰修復性材料 ・傷などの⾃⼰修復や繰り返し使⽤が可能なネットワークポリマーを実現。 ・温度を変えた加熱により、可逆的に付加 ↔ 解離する、動的共有結合を架橋成分として導⼊。 ・再⽣可能資源である⼤⾖油やひまし油、菜種油といった植物油がベース 。 技術の特徴 植物油に可逆性の架橋基を導⼊することにより、⾃⼰修復材料を実現 植物油(⼤⾖油、ひまし油、菜種油など)に、フラン基を導⼊し、マレイミド基を2つ以上有する化合物を加え ることにより、加熱により、架橋やその開裂が可逆的に起こるネットワークポリマーを開発。 ⾃⼰修復性やケミカルリ サイクルが可能なネットワークポリマーを実現している。 油 油 油 油 油 ︓マレイミド基 ︓付加(結合)状態 O O N 化合物 O とが ⼀部、解離している状態 技術の活⽤例 油 ②75℃付近加熱で 再度結合 と、 O 油 油 ①120℃以上に加熱し、 と とに バラバラにした後、 油 ︓フラン基 油 加熱による ⾃⼰修復 油 油成分の種類、化合物構造や、 組成⽐の選択により、強靭性から 粘着性を持ったものまで、 材料設計ができる。 O N 化合物 油 O コーティング材料、表⾯保護膜、粘着剤など ・⾃⼰修復性を有する塗料 ・除去、剥離が容易な保護膜、粘着剤など 1)溶媒除去 2)75℃,48h フラン基導⼊植物油と 2つ以上マレイミド基 を有する化合物を有機 ネットワークポリマーでありながら ケミカルリサイクルできる。 溶媒に溶解。 加熱 傷あり 傷跡修復 塗膜に対してメスで傷をつけた後、 120℃で30分、75℃で12時間 加熱することにより、傷がなくなる。 技術開発の経緯 ⾃⼰修復性ネットワークポリマーを⽬指して 近年、塗料分野において、擦り傷が時間の経過により消える⾃⼰修復性を有するコーティング材が上市され、⾃動⾞、 パソコン、携帯電話の分野で採⽤が広がっている。しかし、これら⾃⼰修復コーティングは、塗膜の弾性によって傷が回復 する硬度の低いウレタン系樹脂などが多い。 ⼀⽅、動的共有結合を有するポリマーの研究が注⽬を集めている。共有結合でありながら可逆的な解離-付加が可 能な結合を利⽤するポリマーであり、従来、考えられなかったネットワークポリマーやハードコーティング材の分野で、ケミカル リサイクルや⾃⼰修復を可能にするものである。ここで提案するシーズ技術は、再⽣可能資源である植物性油をベースに、 フラン基とマレイミド基の可逆的なDiels-Alder反応を導⼊したもので、⾃⼰修復性等に加えて、広範な機械特性を実 現している。 産官⾦による連携⽀援 産 官 ⾦ ・産業⽀援機関による共同研究、共同開発における体制構築、推進⽀援 ・研究開発資⾦獲得⽀援、販路探索等の事業化⽀援 ・⼤阪府⽴産業技術総合研究所との間で、本技術シーズを活⽤した材料の共同開発 ・本技術シーズを活⽤した材料導⼊のための試験研究⽀援 ・研究開発、事業化のための資⾦調達、融資⽀援 ・事業化、企業経営コンサルティング 企業の⽅へ⼀⾔ ⼤阪府⽴産業技術総合研究所では、「待ち」から「攻め」への企業⽀援、なかんづく、ものづくりの中核を担っておられる中⼩ 企業の皆さまへの責任ある⽀援を積極的に進めて参りたいと思っております。 ここで提案しております「熱による可逆応答能をもつ、植物油ベースのネットワークポリマー」を、各種コーティング材・保護フィ ルム・粘着剤を製造・利⽤されている企業の皆さまには、是⾮、⼀度お試しください。 受託・共同研究、技術相談、依頼試験、設備等利⽤、先ずは、お電話(総合受付0725-51-2525)ください。 特許の情報、その他 ■ 特許の情報 ・現在、特許出願等は⾏っていない。 ・シーズ技術のカバーする技術範囲は広く、 また、個々の⽬的・⽤途に応じた開発成果は、 組成物の発明となるため、共同研究成果は、 相⼿⽅企業の要望に応じて、個々のケースごとに、 知財権利化を検討の予定。 ■ その他の情報 ネットワークポリマー︓⾼分⼦鎖がネットワーク構造を取 る⾼分⼦の総称で、代表的な例はフェノール樹脂やエポ キシ樹脂などの熱硬化性樹脂である。その3次元網⽬ 構造のため不溶・不融であり、⾼い信頼性や耐久性が求 められる分野において⽤いられている。 共有結合︓原⼦間での電⼦対の共有をともなう化学結 合である。結合は⾮常に強く、ほとんどのポリマーは共有結 合によって形成されている。なお、動的共有結合は、本 シーズで⽤いるDiels-Alder反応等による化学構造への 歪の導⼊により、その結合⼒を適当に弱め、適度な温度 で、可逆的に解離-再結合するようにしたものである。 この資料についての問合わせ先︓近畿経済産業局 産学官連携推進室 公益財団法⼈ 新産業創造研究機構 TEL 06-6966-6164 TEL 078-306-6805
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