ブラジル、弾劾裁判の可能性高まる

Today’s Headline
ご参考資料
ご参考資料
“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
中南米
2016年3月14日
ブラジル、弾劾裁判の可能性高まる
足元、ルセフ大統領の退任の動きが強まっていますが、それを好感し通貨レアルや株価は上昇基調にあります。当
面、ブラジルの政治動向から目が離せない状況が続くと考えます。
ブラジル:ルセフ大統領退任を求め
過去最大規模のデモ発生
2016年3月13日、ルセフ大統領の退任を求める大規模なデ
モがブラジル各地で行われました。資源価格の下落などを背
景に経済がリセッション(景気後退)に陥いるなど厳しい状況
が続く中、政府要人の汚職スキャンダルもあり、政府に対す
るブラジル国民の不満が強まっています。
今回のデモは参加者が300万人を超えたと地元メディアは伝
えていますが、デモの参加者はルセフ政権の汚職に憤る中
間層が主体で、デモは平和的に行われているとも報じられて
います。
どこに注目すべきか:市場は好感、次の連
立、左派政権の継続
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:通貨レアル(対ドル)とブラジル株式市場の推移
(日次、期間:2015年3月11日~2016年3月11日)
レアル/ドル
60,000
55,000
レアル(右軸、逆メモリ)
50,000
45,000
3
3.5
40,000
4
35,000
30,000
15年3月
2.5
ブラジル株式(左軸)
高 レアル 安
ルセフ大統領の退任を求める動きに対し、足元、通貨レアル
や株式市場は上昇しています(図表1参照)。ルセフ政権下
で遅れていた財政改革への進展を期待しての動きと見られ
ますが、通貨レアルや株価が本格化に回復するには、ルセ
フ後の政権の姿に注目する必要があると思われます。
まず、最近のブラジルの為替、株式市場の動向を見ると両
市場ともに回復傾向にあります。足元、ルセフ大統領弾劾裁
判の動きが強まっていたことから、市場は弾劾裁判をプラス
要因と受け止めていると見られます。一方で、この間、原油
価格の下げ止まりや、最大の貿易相手国である中国の預金
準備率引き下げとその後の鉄鋼石価格の上昇なども下支え
要因とは見られます。
次にルセフ政権の今後を占う上で注目されるのが、連立与
党の動きです。2014年に再選した労働者党(PT)ルセフ大
統領はブラジル民主運動党(PMDB)党などと連立与党を構
成していますが、PMDBは3月12日の党大会で連立解消を
30日以内で決めるとしています。労働者党の創設者でルセ
フ大統領のアドバイザーでもあるルラ前大統領の訴追やル
セフ大統領の再選選挙での資金疑惑などを受け、連立解消
をも視野に入れた動きが見られます。仮に連立解消となれば
弾劾裁判が実施される可能性は高まると見られます。
もっとも弾劾裁判に必要な賛成票の獲得にはPMDB以外の
連立与党が賛成に回る必要があるとみられますが、大規模デ
モが発生するなど、国民の不満が高まっていることもあり、更
に連立与党離れが起きる可能性にも注目が集まります。
最後に、ルセフ政権後、どのような体制になるのかも注目され
るポイントです。ルセフ大統領の労働者党は補助金を多く出
す傾向があるなど左派政権であり、ともすれば財政改革の遅
れの要因とも見られています。ブラジルのデモがルラ前大統
領やルセフ大統領に対するもので、左派政権は維持されるの
か、それとも時間をかけてでも左派政権まで変えてしまう大き
な変革になるのか、現時点では不透明ですが、注目される点
です。
例えば近隣のアルゼンチンでは左派政権から市場重視のマ
クリ政権に政権が移行したことで市場にとってプラスの変化が
起きていると市場では捉えられています。
今後の動向次第では、政治的に大きな変革となり、金融市場
への影響も大きくなる可能性があることから、当面、ブラジル
の政治動向から目が離せない状況が続くと考えます。
15年6月
15年9月
15年12月
4.5
16年3月
※ブラジル株式:ボベスパ指数(現地通貨ベース)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と
したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に
よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆
あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、
その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、
作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ
び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構
の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ
ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも
のではありません。