Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 南米 2016年4月12日 ブラジル政局、考えるヒント ブラジル下院の特別委員会で弾劾勧告が可決したことでルセフ大統領への弾劾裁判の手続きは一歩進んだ格好で すが、今日のヘッドライン2016年3月31日号で指摘したように、ブラジルの問題解決のハードルは高いと思われます。 ブラジル大統領弾劾手続き:ブラジル下院特 別委員会で可決 ブラジル下院の特別委員会は2016年4月11日、ルセフ大統 領の弾劾の是非を巡って特別委員会(65議員で構成)は賛 成38、反対27で弾劾勧告を可決、下院本会議で審議するこ とを決めました。本会議での投票は早ければ4月17日にも行 われる可能性が報道されています。ルセフ大統領は再選を 果たした2014年の大統領選挙前に、社会保障関連の予算を 不正操作したとして2015年後半に野党がルセフ大統領への 弾劾を請求しています(図表1参照)。 どこに注目すべきか: 特別委員会、副大統領、違法献金疑惑 ピクテ投信投資顧問株式会社 図表1:ブラジル大統領弾劾裁判関連の流れの概略 年月日 2015年後半 2016年3月17日 2016年3月29日 2016年4月11日 予想:2016年4月 予想:2016年5月 予想:2016年5月 予想:2016年5月 予想:2016年後半 ブ ラ ジ ル弾劾裁判関連の流れ 予算の違法執行で野党が大統領弾劾の請求 下院の大統領弾劾の特別委員会メンバー選出 ブラジル民主運動党(PMDB)連立離脱 下院特別委員会で採決可決(賛成38、反対27) 下院が弾劾の採決(可決は342議席以上) 上院特別委員会設置、弾劾裁判審議 上院議会で弾劾手続き継続採決(過半数) 可決した場合:ルセフ大統領一時離任 上院で弾劾採決(可決は54議席以上) 出所:各種報道等のデータを参照しピクテ投信投資顧問作成 図表2:ブラジルレアル(対ドル、対円)の推移 (日次、期間:2015年4月12日~2016年4月12日、日本時間) 2.5 レアル/ドル 3.0 3.5 4.0 円/レアル 45 レアル(対ドル、逆メモリ、左軸) 40 レアル(対円、右軸) 35 30 ※円高が進行する分、 レアル円の上昇は小幅 4.5 15年4月 15年7月 15年10月 16年1月 高 レアル 安 ブラジル下院の特別委員会で弾劾勧告が可決したことでル セフ大統領への弾劾裁判の手続きは一歩進んだ格好です。 ただし、今日のヘッドライン2016年3月31日号で指摘したよ うに、ブラジルの問題解決のハードルは高いと思われます。 まず、市場ではルセフ大統領の弾劾により新体制が生まれ、 ブラジルの構造問題解決が進展するとの期待が見られま す。レアルの足元の回復は原油価格の落ち着きと共に、弾 劾裁判への期待も含まれていると見られます(図表2参照)。 下院の特別委員会(弾劾の是非を検討)承認結果は下院 本会議に送られ、早ければ4月17日にも賛否を問う採決が 下院で行われる見通しで、弾劾の手続きは一歩進んだ印 象ですが、不確実要因も残ります。 まず、現地の報道を見ると、下院議員で弾劾に賛成なのは 現時点で300議席を下回るとの見通しが大半で、可決に必 要な342議席(下院の定数は513議席)の確保は微妙な情 勢です。仮に反対が171議席集められなくても、賛成議席が 342を下回れば弾劾は不成立となるだけに、野党が今後ど こまで弾劾賛成票を伸ばせるかが市場動向を左右する展 開も想定されますが、ハードルは低くないと見られます。 次に、仮に弾劾成立(またはルセフ大統領の辞任)の場合、 2018年までの任期を得るテメル副大統領の国民からの知 名度は低く、人気が高いとはいえない状況に変化は見られま せん。構造改革という国民の理解が求められる政策を進めら れるか、市場は冷静に判断する必要があると見ています。 なお、ルセフ大統領には、弾劾とは別に、2014年の大統領選 挙における違法献金疑惑の捜査も進行中です。時期は不透 明ながら、仮に違法献金で選挙結果が無効と判断された場合、 正副大統領の辞任、再選挙というシナリオも想定されます。 ブラジルの今後の政局は様々な可能性があり正確に予測す ることは困難と思われますが、市場動向を占う上では今後想 定される政権が構造改革を進める政権かどうかを押さえるこ とが大切と見ています。 25 16年4月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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