力学・同演習 中間試験問題 (全5問) 裏面に続く。

力学・同演習 中間試験問題 (全 5 問)
担当教員:若狭 智嗣
試験日:7 月 2 日
注意:解答に際しては,途中計算を適宜記載すること。
問1 位置座標 (x, y, z) にいる質点の持つ位置エネルギー V が、
V = x f (r)
で与えられる場合を考える。ただし、r =
√
x2 + y 2 + z 2 であり、f (r) は r の関数である。
以下の問いに答えよ。ただし、f (r) の r に対する微分は f 0 (r) と記述すればよい。
1.1 質点に働く力の x 成分 Fx 、y 成分 Fy 、z 成分 Fz を各々求めよ。
1.2 質点の原点のまわりの力のモーメントの x 成分 Nx 、y 成分 Ny 、z 成分 Nz を各々求めよ。
1.3 質点の原点のまわりの角運動量の x 成分 lx 、y 成分 ly 、z 成分 lz のうち、保存するもの
を全てあげよ。
問2 床の上に線密度 ρ の鎖がとぐろを巻いている。時刻 t = 0 から、この鎖を一定の速さ v で鉛
直に引き上げる。重力加速度の大きさを g として、以下の問いに答えよ。
2.1 鎖を長さ l だけ引き上げたときと、それから単位時間だけ経過したときの間の運動量の
変化を求めよ。
2.2 2.1 の結果を考慮し、鎖を長さ l だけ引き上げたときの、鎖の上端に働く引き上げる力
の大きさを求めよ。
2.3 鎖を長さ l だけ引き上げるためにした仕事の大きさを求めよ。
2.4 2.3 で鎖の得た力学的エネルギーを求めよ。
2.5 2.3 で求めた仕事と 2.4 で求めた力学的エネルギーが等しくない場合、その差がどうなっ
たか答えよ。
問3 太陽は銀河中心から約 3 万光年 (= 3 × 1020 m) のところを周期約 2 億年 (= 7 × 1015 s) で公
転している。以下では簡単の為、太陽は銀河系の最も外にあり、公転軌道は円とする。万有
引力定数 G = 7 × 10−11 N · m2 /kg2 として以下の問いに答えよ。
3.1 銀河系の質量を推定せよ (オーダーが合っていれば正答とする)。
3.2 太陽の質量は 2 × 1030 kg である。銀河系が全て太陽と同じ質量を持つ恒星から構成さ
れているとして、恒星の数を推定せよ (オーダーが合っていれば正答とする)。
裏面に続く。
問4 電車の中に、質量の無視できる長さ ` の糸の先に質量 m の質点がついた振り子を吊した。電
車に固定された鉛直軸からの振れ角を θ とする。電車が定速走行中、振り子は θ = 0 で鉛直
方向に静止していたが、時刻 t = 0 に電車にブレーキがかかったため、最大 θ = φ(> 0) ま
で振れ、電車が停止するまでにちょうど n 回振れた (n > 1)。ブレーキによる加速度の大き
さは一定であるとして、以下の問いに答えよ。なお、重力加速度の大きさを g とし、空気抵
抗は無視できるものとする。
4.1 電車の加速度の大きさを a として、振れ角 θ の満たす運動方程式を求めよ。ただし、θ
の大きさは十分小さいものとし、sin θ ∼ θ、cos θ ∼ 1 と近似せよ。
(ヒント:糸に対して垂直な方向の運動方程式を考えよ。)
4.2 t = 0 での初期条件を考慮して 4.1 の運動方程式を解き、t = 0 から電車が静止するまで
の θ を t の関数として表せ。
4.3 最大の振れ角が φ であることを用いて a の値を求め、g と φ を用いて表せ。
4.4 電車が静止する時刻を求め、`、g 、n を用いて表せ。
4.5 定速走行中の電車の速さを求め、`、g 、n、φ を用いて表せ。
問5 長さ l の一様な棒が図のように、水平な床と高さ h の垂直な壁のふちとにかかっている。壁
および床との摩擦係数を µ とする。棒が滑り出す直前の棒と水平面のなす角を θ とすると、
2µh
= sin2 θ cos θ
(1 + µ2 )l
が成り立つことを示せ。