機能材料組織学 第 10 回 前回: ・平衡状態図の概要 ・1 成分系平衡状態図と相律 ・2 成分系(2 元系)平衡状態図 今回: ・固溶体の概要 ・全率固溶型平衡状態図 「機能材料組織学」第 10 回 10.1 固溶体の概要 ●溶解状態の合金をゆっくり冷却・凝固させた場合を考える (a) 固溶体: (b) 金属間化合物: (c)結晶粒レベルの混合体: (a) 固溶体 (b) 金属間化合物 図 10.1 合金の状態 ●固溶体の形態 ① 侵入型固溶体: ② 置換型固溶体: 図 10.2 固溶体の形態 1 (c) 混合相 「機能材料組織学」第 10 回 ●2 元系平衡状態図における固溶体 (a) 全率固溶型 (b) 共晶型(I) 図 10.3 各種平衡状態図(再掲) (c) 共晶型(II) ・全率固溶型: ・共晶型(Ⅰ): ・共晶型(Ⅱ): 10.2 全率固溶型平衡状態図 ●X の状態(組成:A 金属 40%−B 金属 60%,液 相)からゆっくり冷却していく T1 T2 T3 T4 ・ ・ g j f e h k i l 図 10.4 全率固溶型平衡状態図 2 「機能材料組織学」第 10 回 ・例題:図 10.3(c)の「α+L」領域における自由度 f を求めよ. ●前述の晶出過程において, i) T1 T2 T3 T4 ii) ii) 組成変化の把握方法: g j f e h k i l 図 10.4 全率固溶型平衡状態図(再掲) ① X から温度 T1(液相線との交点 c)直下まで冷却: ・T1 において水平線を描く 固相線との交点: ・その位置の組成: ∴その瞬間の 3 液相線との交点: 「機能材料組織学」第 10 回 ② 更に温度 T2(e 点)まで冷却: ・T2 で水平線 ・最初に晶出してくる固相: ・先に晶出した固相の組成: ③ 更に温度 T4(固相線との交点 k)直上まで冷却: ・T4 で水平線 ④ 更に温度 T4 直下まで冷却: ・固相(A と B の固溶体)のみ,組成: ・例題:図 10.4 の X の状態から T3 まで冷却した時, a) どの領域内にあるか b) 液相の組成 c) 固相の組成 T1 T2 T3 T4 を答えよ. g j f e h k i l 図 10.4 全率固溶型平衡状態図(再掲) 4 「機能材料組織学」第 10 回 10.3 第 10 回講義に関する意見・感想・質問のまとめ ●意見・感想 ・特になし:29 ・組成変化についてしっかり復習する,もう一度よく復習する,平衡状態図の読み方でいまいち分からない 部分があるのできちんと復習する,きちんとグラフから読みとれるようにしたい,最後の例題の理解が大 事だと思うのでしっかり復習する,例題などの復習をしっかりする:9 ・2 元系平衡状態図のより詳しい説明が聞けて理解が深まった,固溶体に関して前回より理解が深まった, 先週の段階で理解できていなかった固溶体などを理解できた,相の理解が深まった:5 ・小テストに計算するところがなくて少し不安になった,今日の小テストは早く終わった:2 ・平衡状態図の印刷が部分的に薄いところがあったので出来れば濃くしてほしい:2←済みません,次回以 降注意します. ・授業の後半部分が難しく感じた,今日の授業内容全体的に理解が大変だった:2 ・以下一人ずつ: 前回より難しかったが平衡状態図と照らし合わせながら確認することで理解がしやすかった,状態図の問 題はそれぞれの相においてどのような状態であるのかイメージするのが大切だ,進行速度は丁度よかっ た,ありがとうございます, 今回の小テストで Pb と Sn を逆に覚えていたかもしれない←ありがちな間違いなんですけどね・・・ T シャツがユニークで気になった←結構へんな T シャツ好きなんですよ. 小テストや参考問題で「以下の問いに答えよ」とあるのにその下の文章が問いの形式になっていなかった ので少し戸惑った(非常に細かいが)←確かに!今まで気づきませんでした. T2 で水平線を引いたとき A 金属の割合が高い理由を聞けずに分からなかったのでもう 1 回教えてほし い←A 金属の方が凝固点が高いからです. アップロードされたみんなからの質問で「確かに分からない」となったものがあったのでウェブをチェックす ることと毎回のミニッツペーパーの大切さを感じた←そうやって有効に使ってもらえれば,こちらとしても嬉 しいです. 早めにレポートをしておきたい←そうですね,中間試験棟が終わった今の時期が一番余力があるでしょう から. 先週休んでしまったためあまり分からなかった←休むと確実に理解しづらくなりますので・・・ 増加が「増化」になっていた←我ながら間抜けな間違いですね・・・指摘ありがとうございます. ●質問 ・共晶型(II)状態図の固溶体α・βの領域で「α,β単体」という言い方をしていたがαは Pb100%,βは Sn100%と いうことか?(それでは固溶体ではない?)←言い方が不正確で混乱させてしまいました,正しくは「α単相 /β単相」ということです.指摘の通り,固溶体は原子レベルの混合状態ですので,Pb100%,もしくは Sn100%ということではありません.ただ,α領域は均一な α 固溶体のみしか存在しませんので,相の数と しては「1」となります. ・レポートで違う参考書から 1 問ずつ引用するのは可か?←可です.というか,1 冊でうまいこと 2 種の問題 が載ってる図書を探す方が難しいかもしれません. ・液相と固相の存在割合も平衡状態図から求めることが出来るのか?←鋭いですね,その通りです.かつ, この存在割合を求める方が更にめんどくさいです. 5 「機能材料組織学」第 10 回 10.4 第 9 回小テスト解答 Q. 図の共晶型(Ⅱ)平衡状態図において,以下の問いに答えよ. [各 4,3,3 点] a) 図中①の領域に存在する相 b) 150℃におけるα固溶体への Sn の固溶限 c) 図中②における組成(Pb と Sn のそれぞれの%) ① ② A. a) ①において存在する相:L とα b) 150℃の等温線(青線)とα固溶体の溶解度曲線との交点より 約 10% c) 横軸より Sn:70%,よって Pb:30% 6 「機能材料組織学」第 10 回 参考問題 Q. 下図の組成 y(A 55%−B 45%)の合金を液相から T3 直上までゆっくり冷却した場合, 以下の問いに答えよ.[各 4,6 点] a) 組織の状態(存在する相) b) 存在する各相の組成 y T1 T2 T3 T4 7 m n e g j f h k i l
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