*グローバル投資環境 No.1187* ご参考資料 髙木証券投資情報部 ECBの次の一手は?~次回理事会に対する注目高まる 2015年11月12日作成 先月22日に開かれたECB理事会後の会見でドラギ総裁が「12月の会合において、金融政策の緩和度合 いを再検証する(re-examined)必要がある」と述べたことを受けて、追加緩和観測が高まっている。 当レポートではECBが行動を起こすとすれば、どのような政策が考えられるかをレビューしてみたい。 最もシンプルな政策対応は、「少なくとも2016年9月まで」継続するとしている月額600億ユーロの資 産買入の期間を延長することだが、それでは月々の資金供給額は増えないため、現時点でのディスイン フレ圧力を和らげる効果は限られるとみられる。一方、月々の資産買入規模の増額にはディスインフレ 対策としての効果は期待できるものの技術的な難しさが指摘される。具体的には、月間の資産買入の8 割以上はユーロ圏各国が発行するユーロ建てソブリン債(欧州機関債を含む)だが、買入れるソブリン 債の国毎のウエイトはECBに対する各国の出資額にほぼ比例しているため、出資額が最大、つまり買入 額が最も大きいドイツの国債は、量的緩和の規模を拡大しなくても近い将来には不足するとされる。 そこで、検討の可能性が指摘されているのが現在▲0.2%とされている中銀預金金利の引き下げであ る。現在の資産買入プログラムではマイナス金利の国債の購入も可能だが、「利回りが中銀預金金利 を上回る」ことが条件にされている。ドイツの国債利回りは残存期間4年以下では預金金利を下回って いるため現状では買入が出来ないが、預金金利を引き下げればより短い期間の国債の買入が可能にな り、ドイツ国債不足の制約をある程度回避しながら緩和規模を拡大することが出来るようになる。 ユーロ圏のソブリン債利回りは先のECB理事会後に大きく低下したものの、FRBによる利上げ観測を 背景にした米国債券利回りの上昇に連動して理事会以前の水準に戻ったが、ECBが前述した政策を合わ せて実施すれば、ユーロ圏の債券利回りは再び低下傾向を強めると思われる。 (文責:勇崎 聡) 《ECBによる国債買入の国別の状況と各国のECBへの出資額》 (10/31現在) 国 10月買入 累計買入 保有割合 出資額 出資比率 (億ユーロ) (億ユーロ) (億ユーロ) オーストリア 13.24 100.75 2.5% 2.13 2.8% ベルギー 16.78 126.86 3.2% 2.68 3.5% キプロス 0.9 1.88 0.0% 0.16 0.2% ドイツ 121.95 922.79 23.3% 19.48 25.6% エストニア 0.03 0.41 0.0% 0.21 0.3% スペイン 60.42 453.46 11.5% 9.57 12.6% フィンランド 8.44 64.43 1.6% 1.36 1.8% フランス 99.5 732.79 18.5% 15.35 20.1% アイルランド 8.09 60.59 1.5% 1.25 1.6% イタリア 83.65 631.52 16.0% 13.33 17.5% リトアニア 1.14 8.86 0.2% 0.45 0.6% ルクセンブルク 0.06 10.43 0.3% 0.22 0.3% ラトビア 0.63 6.3 0.2% 0.31 0.4% マルタ 0.11 2.73 0.1% 0.07 0.1% オランダ 27.21 205.38 5.2% 4.33 5.7% ポルトガル 11.84 89.54 2.3% 1.89 2.5% スロベニア 2.45 17.83 0.5% 0.37 0.5% スロバキア 3.77 38.12 1.0% 0.84 1.1% ギリシャ 0 0 0.0% 2.2 2.9% 欧州機関債 61.53 480.51 12.1% ― ― 合計 521.75 3955.16 ― 76.2 ― ※ECBには非ユーロ圏からも英国などが出資している (出所:ECB及びBloombergデータより髙木証券作成) 当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさるようお願いいたします。当資料は信頼できると思われる各種 データに基づいて作成されていますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。株式への投資は、価格の変動や発行者の信用状況の悪化等により 投資元本を割り込むおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引をご利用いただく場合は、所定の委託保証金または委託証拠金をいただきます。また、信 用取引ではその損失額が差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。国内株式取引の委託手数料は、約定代金に対して最大(税込)1.19664%【2,700 円に満たない場合は2,700円(現物取引買付および信用取引売買)】になります。株式を募集等により取得する場合には、購入対価のみをお支払いいただきます。 外国株式を委託取引により購入する場合は、所定の委託手数料をいただきます。外国株式の委託手数料は国や市場により異なります。外国株式を店頭取引によ り購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。債券をご購入いただく場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。(経過利子をお支払いいただく 場合があります)。債券は、市場の金利水準の変動等により価格が変動しますので、損失が生じるおそれがあります。また、発行体の信用状況や財務状況によっ ても価格が変動し、利金や償還金の支払遅延や不履行となる場合があります。また、倒産等により元本損失が生じる場合があります。投資信託は、主に国内外の 株式や債券を投資対象としているため、基準価額は組み入れた株式や債券の動き、為替相場の変動等の影響により上下しますので、これにより投資元本を割り 込むおそれがあります。投資信託はファンドごとに設定された購入時手数料をご負担いただきます。また、投資信託を保有期間中に間接的にご負担いただく費用 として、ファンドごとに設定された運用管理費(信託報酬)のほか、運用成績に応じて成功報酬をご負担いただく場合があります。外国株式や外国債券、外国投資 信託への投資は、上記に加え為替相場の変動等により損失が生じる場合があります。また、通貨発行国の国情の変化により投資元本割れや途中売却ができなく なるおそれがあります。当社で取り扱う商品等へのご投資には、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよく お読みください。 商号等:髙木証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第20号加入協会:日本証券業協会【広告審査済】 髙木証券インターネットホー ムページ:http://www.takagi-sec.co.jp/
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