スキントの無い X バンドホーンアレイアンテナ(96 素子)

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スキントの無い X バンドホーンアレイアンテナ(96 素子)
Reutech Radar Systems (Proprietary) Ltd.(南アフリカ)による X バンドレーダシステム用アレイアンテナの設計
に CST MW STUDIO(CST MWS)を使用した事例です。設計上の要求仕様は垂直偏波、仰角方向のビーム
幅 70°、方位角方向のビーム幅 1°、サイドローブレベル 30dB、スキント無し、動作周波数帯域 20%です。
最初の 2 点(垂直偏波、ビーム幅 70°)を満たす小型の扇形ホーンアンテナ(電界面)のモデル形状を図 1
に示します。
図 1:ホーンアンテナ(電界面)
方位角方向のビーム幅は、給電の設計で達成する必要があります。A Rogers 氏の説明[1]に基づき、スキント
の無い 12 路の広帯域導波管分配器(電界面)を構成要素とする給電を考えます。
図 2:分配器(電界面)
インピーダンス変換器と 90°ツイスト導波管を使用して、扇形ホーン放射器の給電を整合します。Lenzig と
Gans 両氏の導波管[2]に類似した、機械加工可能なツイスト導波管を使用して水平偏波を垂直偏波に変換しま
す。
図 3:ツイスト導波管
設計評価用に 12 路の給電とツイスト部と電界面ホーンからなるサブアンテナのプロトタイプを作製しまし
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た。材質はアルミニウムで、CNC 加工機とワイヤ切断機を使用します。このプロトタイプについて Stellenbosch
大学の電波暗室で利得分布の測定を行い、CST MWS による計算とよく一致した結果を得ました。
図 4:作製された 12 素子のアンテナ
放射素子の数を 96 に拡張し、全長 2.4m のアンテナを考慮します。給電については Villeneuve 分布にしたがっ
て 96 素子を 6 素子×16 バンクに分割します。各バンクの素子の励起は線形分布となり、アンテナ全体を通
して 6 路分配器(電界面)による給電が可能です。
図 5:アンテナバンク:96 素子の全容
給電システムの最終的な形は、標準の X バンド導波管に接続した 4 レベルの 3 ポート分配器(電界面)とな
ります。この給電構造が対称形であることから、CST MWS では全体の 1/2 部分についてのみ計算を行いまし
た。
図 6: CST MWS モデル:アンテナバンク全体の 1/2
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図 7: 振幅の周波数応答(1/2 部分)
図 8: チャネル間の位相変化 (1/2 部分)
CST MWS でアンテナ全体の解析(96 ポート同時励起による)も行いました。計算結果の方位角方向の利得
を図 9 に示します。
図 9: 励起分布と位相分布 (96 素子)
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図 10: アンテナ全体の解析による方位角方向の放射分布
全体構造の実機を作製し、Pretoria 大学で狭帯域での放射分布を測定しました。
図 11: Pretoria 大学における測定のセットアップ
図 12: 方位角方向の測定結果
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図 13: 方位角方向の測定結果(拡大図)
方位角方向の放射分布は、メインローブから±20°以上外側では-30dB を上回るサイドローブが存在しないこ
とを示しています。その一方で、非常に近くに比較的大きなサイドローブがあることが図 13 の拡大図から確
認できます。サイドローブレベルの最大は 10GHz で-23dB にもなります。方位角方向の 3dB ビーム幅は、測
定を行った周波数では 1.2∼0.8°となり、計算から予測された結果に一致します。
参考文献:
[1] A Rogers, “Wideband Squintless Linear Arrays”, The Marconi Review, Volume XXXV, Number 187, Fourth Quarter
1972, pp 221 – 243.
[2] H. F. Lenzing, M. J. Gans, “Machined Waveguide Twist”, IEEE Trans. MTT, Vol. 38, no. 7, July 1990, pp. 942 – 944.
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