誘導近接センサーの感度解析

COMPUTER SIMULATION TECHNOLOGY
誘導近接センサーの感度解析
誘導近接センサーは対象金属体との距離に比例するアナログ信号を受け取って、その位置と大きさと材質を
検出します。
誘導センサーはコイルを内蔵した磁気開回路で構成されます。コイルのプロパティ(複素インピーダンスな
ど)は回路の磁気抵抗に依存します。センサー周辺の金属体が磁気回路に影響し、インピーダンスやコイル
の Q 値に変化が生じます。電子回路は僅かな変化も検出し、指定の長さ単位に変換します。
図 1: センサー断面図
センサーの形状は、CST STUDO SUITE の STEP インターフェイスを通じてインポートされました(図 2)。
コイルも同様にしてインポートしますが、こちらは簡略化してファセット表現にします。検出対象の金属体
モデルはパラメータ化し、センサーとの距離に対応する S パラメータや入力インピーダンスが求められるよ
うにします。
図 2: STEP 形式でインポートした誘導センサーの 3D モデル
二次四面体メッシュにより形状を離散化し(図 3)、CST MW STUDIO の周波数領域ソルバーで電磁界の解を
求めます。
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図 3: 四面体メッシュ表現による 3D モデル
さまざまなコンフィギュレーションでセンサーと対象金属体の磁束密度と電流密度を計算した結果を図 4、
5、6 に示します。
図 4: 距離 2.5mm の磁束密度(対象金属体を含む)
図 5: 2.5mm 距離の電流密度
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図 6: 共振周波数 6MHz コイルの電流密度
複素インピーダンスは S パラメータ(図 7: R + jωL と周波数の相関)から直接導出可能です。共振周波数は
6MHz とすることができます。
図 7: 複素インピーダンスと周波数の相関
Q 値は周波数に対するセンサーの効率を表します(図 8)。感度の尺度は下式で与えられます:
図 8: Q 値の式
Q-Sensitivity と Q-Measure を図 9 に示します。Q-Sensitivity が最大となる 100kHz 付近が良い作業点です。Q 値
が一定となる 300kHz は、対象との距離が検出できないブラインドスポットとなります。
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図 9: 周波数との相関:Q-Factor(上)と Q-Measure(下)
上記複素インピーダンスに広帯域で適合するセンサーの等価回路を図 10 に示します。
図 10: 等価回路表現(上)とインピーダンスのカーブフィッティング(下)
まとめ:
誘導近接センサーの解析と設計に向けた応用例として、S パラメータの導出と回路の最適化をまじえた 3D 電
磁界シミュレーションをご紹介しました。
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