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COMPUTER SIMULATION TECHNOLOGY
DNG(Double Negative)材質のモデリング
DNG(Double Negative Material)は誘電率と透磁率が共に負である材質です。DNG が示す特異な電磁特性が
注目を集めます。本資料では CST MW STUDIO(CST MWS)の分散材質モデルを使用して DNG 材質を表現
したシミュレーション事例をご紹介します。
試験装置として、ホーンアンテナと照射角度 20 度の誘電体スラブを使用しました。目的とする周波数(複数)
にモニターを設定し、スラブの電磁界を観測します。CST MWS は、モニターが設定されたすべての周波数
の電磁界を 1 回のシミュレーションで計算し保存することができます。アセンブリの上面と底面の境界条件
を electric に設定して、この問題を 2D 問題として考慮します。
図 1:DNG シミュレーションの試験装置。ホーンアンテナで照射される DNG 誘電体スラブ。
時間領域シミュレーションはしばしば広帯域のシミュレーションに使用されます。メタマテリアルや DNG
のように周波数依存性特性を示す材質を広帯域シミュレーションで考慮するためのモデルが CST MWS には
豊富に用意され、ごく一般的なものから二次分散モデルまで用途に応じて使用できます。 誘電緩和や共振効
果、プラズマ、異方性媒質なども使用できます。どの材質モデルも、微視的な特性を、周波数領域における
誘電率や透磁率などの巨視的な分散で表現します。この事例では材質の誘電関数の負部を Drude(またはプ
ラズマ分散)でモデル化できます。支配方程式を図 2 に示します。∞は高周波パラメータの限界を表します。
プラズマ周波数ωF と衝突頻度 VC はいわゆる Drude パラメータと呼ばれます。
図 2:Drude 分散式
この人工的な材質の、特定パラメータセットによる分散カーブを図 3 に示します。 このモデルでは、衝突頻
度の影響を受ける磁気損失/誘電損失は極めて小さく、周波数 25GHz 未満では誘電率と透磁率がともに負と
なります。
図 4 以降ではさらに解析を進め、3 つの周波数における電波の伝搬を観測します。
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図 3: Drude 材質の分散カーブ
20GHz では誘電率と透磁率はともに-1 です。 このような材質の波動インピーダンスは真空の波動インピー
ダンス 377Ωに等しくなると予想されます。結果は完全に一致し、スラブに衝突した電波は無反射で境界を
通過し伝搬しますが、負の値を持つためにスラブ内での位相速度は負となり、位相は励起源方向で逆向きに
(励起源に向かって)伝搬します。なお、エネルギーは依然として励起源から離れる方向に伝搬して行きま
す。この周波数におけるパワーフローを見るとこのことが容易に確認できます。
図 4:スラブの電界―誘電率および透磁率が-1 の場合
図 5:DNG スラブのパワーフロー
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周波数 24.56GHz では誘電率と透磁率は 0 となります。 このような媒質内では位相速度が無限大となり、媒
質内部には「wave」は見られません。スラブが無限に厚ければ全反射となりますが、このように有限の厚さ
の場合エネルギーはやはり媒質内を伝搬します。 この励起波が平面波に類似しているのは興味深いことです。
図 6:スラブの電界―誘電率および透磁率が 0 の場合
24.56GHz 以上では誘電率も透磁率も正の値となりますが、まだ 1 未満です。 このような媒質内の位相速度
は光の速度よりも大きくなります。 可視波長は真空波長よりも大きく、それは下に示す図 7 に明確に示され
ています。
図 7:スラブの電界―誘電率および透磁率が 1 未満の場合
まとめ:
CST MW STUDIO の時間領域ソルバーを使用して分散材質プロパティによる DNG 材質のモデリングを行い、
シミュレーションを行いました。その結果、モデルの有効性が確認できました。完全に人工的な材質ですが、
シミュレーションの結果、媒質を通る電磁波の伝搬特性に関して有意義な考察が得られました。
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