円偏波パッチアンテナの設計

COMPUTER SIMULATION TECHNOLOGY
円偏波パッチアンテナの設計
リーダーは、マイクロプロセッサやデジタルシグナルプロセッサによって制御される RF トランスミッタとレ
シーバーです。タグから送信された情報を付属のアンテナで受信し、コンピューターに渡します。本資料で
は CST MW STUDIO(CST MWS)による RFID アンテナの設計事例をご紹介します。解析が行われた周波
数範囲 908.5∼914 MHz は、韓国の RFID 帯域です。下記は韓国の Chungbuk 大学の Bierng-Chearl Ahn 教授と
共同研究者のご好意と許諾を得て掲載します。
アンテナ構造の概要とパラメータを図 1 に示します。
図 1:RFID アンテナの設計パラメータ
アンテナの動作と性能は設計パラメータ(図 1 参照)を用いて定義します。アンテナの大きさは動作周波数
によって決まります: W ≈ L = 0.4 λ。打ち欠き部も同様です: t / W。グラウンドプレーンの垂直方向の高さ
と軸比も決まります。グラウンドプレーンの大きさは利得に、またグランドプレーンとパッチの間の距離は
バンド幅に影響を与えます。フィードギャップの大きさはインピーダンス整合に影響します。CST MWS で
形状モデルを作成し、シミュレーションによりパラメータを最適化しました。図 2 にパッチアンテナの CST
MWS モデル、最終的なパラメータ、実作されたアンテナを示します。
図 2:パッチアンテナの CST MW STUDIO モデル(左)と実機
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シミュレーションと共に測定も実施し、両者の結果を比較しました。両者の反射係数と利得を図 3 に示しま
す。
図 3: 反射係数(左)と利得(右)。
測定結果(実線)と CST MWS のシミュレーション結果(点線)
。
パッチとグラウンドの間に誘電材質を挿入することにより、パッチアンテナをさらに小型化します。シミュ
レーションを行い、その結果に基づいて製作されたアンテナとそのパラメータを図 4 に示します。
図 4:誘電材質を付加し小型化された RFID パッチアンテナ
この小型化されたアンテナについても測定を行いました。両者の結果を図 5 に示します。パッチとグラウン
ドの間の誘電体により、周波数 900 MHz における共振が明確になったことが確認できます。
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図 5:誘電体を付加したアンテナの反射係数(左)と利得(右)。
測定結果(実線)とシミュレーション結果(点線)。
最後のステップとして、2 素子 SFADP アレイの設計により利得の増大を図りました。まず利得を最大化する
ために CST MWS で素子間の距離を最適化し、続いて給電回路と分配回路の設計を行いました。
図 6:給電回路と分配回路
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アンテナアレイについても実機を製作し測定を行いました。測定とシミュレーションの結果を図 7 と 8 に示
します。
図 7: アレイアンテナの反射係数(左)と利得(右)。
測定結果(実線)とシミュレーション結果(点線)。
図 8:アレイアンテナの軸比。
測定結果(実線)とシミュレーション結果(点線)。
まとめ:
CST MW STUDIO を使用した RFID リーダー用アンテナの設計事例をご紹介しました。3 種類のアンテナに
ついて、それぞれシミュレーションを行うと共に実機を製作して測定を行い、結果を比較しました。
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