高知CSTだよりNo.16

№16
高知 CST だより
2012.9.18
9月8日(土)高知県教育センターにおいて小中学校理科特別実習Ⅰの2回目の授業を行いました。
この日の内容は,午前中に2講座,上級CSTプログラム受講者の川澤さんによる「授業づくりの方法(小
学校)」と、同じく上級CSTプログラム受講者小田さんの「授業づくりの方法(中学校)」を行いました。
午後は,高知県教育センターの草場指導主事による「教材作りの方法」の実習を伴う講義を行いました。
いずれも,これから実施される授業実習に向けての指針になる内容でした。
指導を振り返って
(提出されたレポートの抜粋)
また,全国学力・学習状況調査の分析など,
今の理科教育の課題を的確につかむ必要が
あると感じた。最近言われ始めた「共感力」
についても,理科教育で育てるのにはどの
今回は「授業づくりの方法」というテー
マで,話させていただいた。授業をいかにつ
くるか,学習計画・学習指導案作成の仕方と
ような授業がよいかなど,まず自分が理解
する必要はあると思う。
最後に,現在の状況を鑑みると,理科教育
いう視点で話した。もっと具体例を出した
の目的である生命を尊重する気持ち,自然
ら分かりやすい話になったと思うが,実
への畏敬の念を子どもたちに培う必要があ
践例が少なかった点を反省すべきだと思
う。
ると思う。理科教育を通して,「共感力」や
「他者理解」
「自尊感情」なども育てていき
たいと考える。今後,理科教育で求められて
いる力とともに,つけたい・必要とされてい
る力を考え,そのための授業のあり方を,C
ST活動として研究していきたい。
(上級受講者 川澤輝洋)
受講者の感想
今後のCST活動にのぞんで,これまで
の実践を整理するだけでなく,研究会等に
積極的に参加し,すぐれた実践をたくさん
見て,テーマにそった実践を紹介できるよ
うにしたいと思う。
〇授業づくり,教材研究において,生徒がどの
ような思考の経路をたどるのかを教師が想像
するのは重要なことだと思う。その過程を考
えつつ授業をつくればいいのだろう。しかし,
その一方でそれを行うのに最も適している実
験や観察をできる授業時間数はかなり限られ
生徒をないがしろにしてしまう研究は,教材
ているといえる。今日の講義の内容からさら
研究とは言えないだろう。生徒が優位になれ
に言えば,教師が伝えられている,もしくは指
る,生徒が指導を十分に受け取り,授業に参加
導したと考えていても生徒にどこまで届いて
できるような授業を追究しなければならない
いるかはわからないという負け試合のような
と思った。
感じもするが,草場先生が今日提案してくれ
た授業のように実験の計画を立てて行う実験
〇1
川澤先生の講義より
のように多少時間を割いてもこのような授業
理科の考え方,留意すること等,再認識させ
は必要だと感じた。生徒の気づきや思考を生
ていただきました。一番考えさせられた言葉
み出すにはやはり時間を上手く使った授業づ
は,「理科教育は何のためにしていますか?」
くりが重要になると思った。
という問いです。それぞれのとらえ方があり
ました。もちろんいずれも間違いではありま
せん。その立場や与えられた状況によって変
わっていいことだと思いますが,いつも自分
の中にしっかりと持っておきたいです。
2
小田先生の講義より
学力調査の結果のグラフは,中学校との比
較もあり,考えるものもありました。教員の思
いと授業を受ける子どもとの間に差があるの
も気になります。実際の子どもの立場に立っ
〇高知県での小中学生の理科に対する意識,
また学力について学んだ。小学校・中学校で
は,それぞれ理科に対する興味の持ち具合が
違い,様々な差を見させていただいた。その中
でも私が注目したのは,「中学校でのノート,
レポート指導の不十分さ」
「教師と生徒の意図
の違い(教師の指導が生徒に伝わっていな
い)
」の2つだった。前者は私の実体験におい
ても全くふれていなく,生徒のノートはあま
りうまくまとめられていないと感じている。
教科の学びを定着させるうえでも,ノート,レ
ポート指導は必要不可欠であると感じた。ま
た実践をしていかなければならないと思いま
した。
3
草場先生の講義より
独自の教材研究全盛の時代から,今,学習の
内容を考えた教材研究の必要性を意識してお
られるお話がよく分かりました。薄層クロマ
トグラフィーも,アミノ酸のそれぞれの違い
をとらえる 1 つの方法として有効であり,子ど
もにものの定性を気付かせるのにおもしろい
教材だと思いました。直接の利用が出来なく
ても,理科の教員としてとてもいい経験にな
りました。
た,後者については,教師の「やったつもり」の
指導で終わっていて,生徒を十分に見た指導
が行われていない可能性があるだろう。午後
の講義でもあったように,教材だけを追究し,
編集・発行
高知 CST 養成センター