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COMPUTER SIMULATION TECHNOLOGY
RFID トランスポンダ 13.56MHz
RF 認証システム(RFID)は、認証、発券、アクセスコントロール、サプライマネジメントなどの分野で広
く使用されている技術です。
13.56MHz で動作するトランスポンダの解析例をご紹介します。CST MW STUDIO(CST MWS)のモデリン
グツールで 3 次元形状モデルを作成し、限られた帯域における入力インピーダンスを周波数領域ソルバーで
正確に計算します。さらにこのインピーダンスのデータを基に、集中定数素子からなるシンプルな等価回路
を作成します。
図 1:トランスポンダの写真
典型的な RFID の写真を図 1 に示します。外形寸法は公開されており、インターネットで入手できます。 こ
のデータを基に CST MWS で 2 次元レイアウトを作成したものに、
引き出し操作により金属の厚みを形成し、
さらに基板(比誘電率=3)を付加して 3 次元モデルを作成しました。作成したモデルを図 2 に示します。
図 2:RFID タグの 3D シミュレーションモデル
周波数領域ソルバーで計算を行い、初期結果として S パラメータを得ました。そのスミスチャートを図 3 に
示します。 離散化後のメッシュ数は約 30 万セル(六面体)で、計算時間は 1 周波数点あたり 20 分でした
(2.6GHz PC)。 合計 5 つの周波数点の計算により、10∼15MHz の周波数範囲にわたる広帯域結果を正確に
算出することができます。
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図 3: 反射パラメータ S11 のスミスチャート
反射係数をインピーダンスカーブに変換した結果を図 4 に示します:インピーダンスの実部はおよそ
13.56MHz の共振周波数で最大となり、リアクタンスはゼロ交差します。 このインピーダンスカーブが示す
特性が、小さな減衰のある LC 並列共振回路に非常によく似ることから、シンプルな RLC 並列共振回路を等
価回路として使用します。集中定数素子 RLC の値は、反射係数 S11 のカーブフィット最適化により抽出して
使用します。3D モデルと等価回路モデルのインピーダンスカーブを図 4 に示します。等価回路の Q 値は次
式により計算されます:Q= 1/(1/R*sqrt(L/C)) = 25.9。
図 4:3D モデルと等価回路モデルのインピーダンス R +jX
赤と青:CST MWS
緑と紫:等価回路
両モデルの結果は狭帯域でよく一致している
CST MWS では、積分パラメータだけでなく計算領域の近傍界の計算も可能です。ここでは電流分布と磁界
放射を計算し、定量化しました。
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図 5: コイルの表面電流分布および垂直切断面上の磁界 13.56 MHz
まとめ:
RFID の解析例を通して、低周波帯域における CST MW STUDIO の解析性能を示しました。
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