メタマテリアルのアンテナ Kymeta Corporation

CST S U C C E S S S T O R Y
メタマテリアルのアンテナ
Kymeta Corporation
発想:広帯域衛星通信用アンテナ
課題:数千素子におよぶアレイのチューニングと
プロトタイピング
広帯域衛星通信は地上のあらゆる場所でインターネ
ット常時接続を可能にする技術です。衛星通信業者
MSAT は数千個ものサブ波長共振器で構成されます。
は高いデータ処理能力を備える次世代衛星システム
共振器はそれぞれがビームを形成し方向付けます
の配備をすでに進めています。このシステムにアク
(図 2)
。つまり、メタマテリアルをベースとする実
セスするには、現在はまだ高価で大型の高出力装置
用的なアンテナの設計では、互いに独立した膨大な
が必要です。新しいシステムのデータリンクを十分
数の変数を最適化する必要がありました。Kymeta は
に活用するためにも、通信用アンテナには衛星の追
MW STUDIO(CST MWS)の周波数領域ソルバーを
尾機能だけでなく自動車への載置や屋外への持ち出
使用して設計仕様間の複雑な相互関係を迅速に正確
しができるような可搬性が求められます。
にモデリングし、プロトタイピングや開発にかかる
労力の削減に成功しました。CST MWS の組み込み
Kymeta は広帯域衛星通信のなかでも特に移動体応
マクロによるモデル作成機能はアレイ設計に最適で
用技術に注力し、MSAT(Metamaterials Surface Antenna
す。手間のかかるアンテナ素子の作成をマクロによ
Technology)と呼ばれる再構成可能な新しいアンテナ
り自動化し、工程の進行を大いに早めることができ
技術を用いた移動体衛星通信端末の開発と販売に取
ます。
り組んでいます。その一例を図 1 に示します。この
アンテナは一般的なフェーズドアレイに匹敵するビ
ーム指向性を示しながら、それよりもはるかに低電
力です。機械的アレイやフェーズドアレイ製品にか
かる製造コストを大幅に削減し、また、従来技術が
抱える大きさや重量、出力などの問題を軽減します。
素子よりも大きな範囲やアレイ全体のシミュレーシ
ョンには時間領域ソルバーが使用されました。数千、
数万の素子からなる MSAT アレイの大きさは 60 波
長四方にもおよびます。このように電気的サイズが
大きく複雑なアレイを解析するために、Kymeta は 4
基の Nvidia Tesla K40 により計算の高速化を図りまし
た。この GPU 計算により、アレイの大領域の計算を
1 日で終了しています。
Kymeta Corporation について
Kymeta はメタマテリアルベースの衛星通信用ビーム形
成アンテナを商品化しています。2013 年には MIT
Technology Review と CNBC による恒例の「最も革新的
な企業 50(50 Most Disruptive Companies)」に選ばれま
した。Kymeta はワシントン州 Redmond を拠点とし、世
界各地で事業を展開しています。
www.kymetacorp.com
図 1 MSAT アンテナアレイと給電網のプロトタイプ
www.aetjapan.com
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図 2: MW STUDIO による近傍界シミュレーションの結果: MSAT のビーム形成
実現可能な設計であることが確かめられたら、次に
それを初期設計として最適化を行います。CST MWS
内蔵の最適化アルゴリズムのなかから、感度情報を
使用して最適化過程をスピードアップする高機能の
Trust Region Framework アルゴリズムが選択されまし
た。アンテナ特性を改善するために最適化を複数の
媒介変数について行い、時には 1 回の計算で 40 の
変数を最適化しました。アレイの励起を表現する変
数についても同じアルゴリズムで最適化を行い、高
性能のビームステアリングを達成しました。
図 3: Kymeta Poartable Satllite Terminal の実物大模型
結果:実用的な衛星通信用小型端末
バーチャルプロトタイピングは、設計過程に欠かせ
ないプロトタイピングの費用圧縮に寄与します。ま
た、意図通りの事柄とそうでない事柄を明らかにし、
意思決定に役立つ情報を提供します。Gerber や DXF
»CST MICROWAVE STUDIO provided a necessary
component of our RF design flow at Kymeta.
などの CAD フォーマットのインポート/エクスポ
Without it, the challenge of designing numerous
ート機能により、CST ソフトウェア上で開発を始め
interrelated antenna features would have been
やすく、他のプラットフォームやベンダーに宛てて
nearly insurmountable.«
結果を送ることも容易です。
Kymeta は会社設立の当初から CST STUDIO SUITE
Adam Bily
を使用しています。Kymeta は CST STUDIO SUITE
Lead RF Design Engineer
の使用を通じてコストと消費電力を抑制しながら、
Kymeta Corporation
広範囲にわたる小型で軽量なアンテナの開発を実現
Redmond, Washington
しました。
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