レールホイールセンサの設計 Frauscher Sensor Technology

CST S U C C E S S S T O R Y
レールホイールセンサの設計
Frauscher Sensor Technology
図 1: Frauscher のホイールセンサ(黄色ボックス)が設置された線路
発想:次世代信号システムのセンサ
現代の鉄道網には要所要所にセンサが設置されてい
ます。センサは通過する列車の位置、速度、向き、
状態を絶えず通知し、安全で安定した鉄道運行を支
えています。Frauscher Sensor Technology は 1987 年以
来、高品質な誘電センサ関連製品の開発と製造に携
わってきました。なかでも鉄道運行の安全性に責任
を負う信号システムと制御システムのセンサに力を
入れています。
多くの鉄道施設は風雨にさらされる環境下にありま
す。周囲の温度や湿度の変動が大きく、施設自体も
雨、雪、雹、砂に埋もれる可能性があります。自然
環境の他、列車によって生じる課題もあります。コ
ーナーにおけるアライメントのずれや渦電流ブレー
キから来るスプリアス信号などがそれです。
Frauscher は FP7 European ECUC(Eddy Current Brakes
Compatibility)プロジェクトに参加しています。この
プロジェクトの目的は、高速鉄道のブレーキ容量増
大という命題に対して線形渦電流ブレーキの有効性
信号システムと制御システムにおいて極めて重要な
を証明し、複数の路線で起きた障害のために鉄道施
役割を果たすのがホイールセンサです。ホイールセ
設管理者の間に生じた懸念を払拭することにありま
ンサは線路を通過するホイールを識別し、その数を
す。
数えます。その情報をもとに信号機がどの区間に列
車があるかを判別し、踏切などの装置が自動的に動
作します。Frauscher の製品は誘電原理に基づく誘電
センサです。金属ホイールの通過に伴い誘電コイル
の複素インピーダンスが変化します。センサはその
インピーダンスの変化を測ることにより動作します。
課題:厳しい条件下でも信頼できるセンシングを
Frauscher Sensor Technology について
Frauscher Sensortechnik GmbH は 1987 年より誘電センサ
技術分野で高品質な製品の開発製造に携わっていま
す。同社の製品は、鉄道運行の安全上特に責任のある
信号システムと制御システムで主に使用されていま
す。このため設計からサポートまでの製品ライフサイ
クルの全ての段階において、極めて高い要求水準を満
たす必要があります。
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鉄道信号装置の安全基準は最も高いレベル 4 であり、
ンサモデルの有効性が確認されました(図 4、5)。こ
従ってシミュレーションはセンサの性能を損なうお
れを足掛かりとしてたとえば経年化や湿気による材
それのあるものすべてを考慮し注意深く行う必要が
質の変化がコイルの性能に与える影響の解析やコイ
あります。そのため Frauscher は設計プロセスに CST
ルの寄生キャパシタンス特性解析などの複雑な解析
STUDIO SUITE の電磁界シミュレーションを導入し
に進むことができます。Frauscher はシミュレーショ
ました。
ン結果を SPICE や MATLAB にエクスポートして解
CST STUDIO SUITE のバーチャルプロトタイピング
析を進めました。
により、多様な条件におけるセンサ応答のモデル化
シミュレーションを通して技術者はセンサの物理的
が可能になります。渦電流と AC コイルの計算に対
な動作原理と共にレールやホイールとの相互作用を
応した周波数領域低周波ソルバーを選択し、ホイー
より深く理解し、鉄道業界の最も厳しい安全基準を
ルの通過に伴ってセンサ応答が変化する様子とコー
製 品 が満 たす こ とを 確認 す るこ とが で きま す。
ナーにおけるフランジのずれがパフォーマンスにお
Frauscher ではさらに次世代のセンサ機器の開発にも
よぼす影響を自動パラメータスイープにより計算し
着手することができました。開発にかかる時間とコ
ました。1 回の計算は 10 分程度で終わるため、全体
ストがシミュレーションにより削減されたことから、
では複雑な解析も妥当な時間で結果が得られます。
通常は論外に高価あるいは物理的に不可とされる設
定も考慮できるようになりました。
結果:安全で汎用性のあるホイールセンサ
シミュレーション結果と測定結果の相関が取れたこ
とにより、CST STUDIO SUITE 低周波ソルバーのセ
図 4: RSR123 ホイールセンサ:1 システムの応答。シミュレ
ーション結果(ドット)と測定結果(実線):異なるホイー
ルアライメントを色別で表示。
図 2: RSR123 ホイールセンサのシミュレーションモデル。
レールモデル(部分)とホイールモデルを含む。
図 5: RSR180 ホイールセンサ:2 システムの応答。シミュレ
ーション結果(ドット)と測定結果(実線)の比較。
図 3: 磁力線プロット。ホイールを通じた結合を示す。
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