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北米
2016年5月26日
カナダ中銀、現行の金融政策が適切との見方示す
カナダ中銀は、2016年5月25日に金融政策決定会合を開催し、政策金利の据え置きを発表しました。同国を取り巻く
環境は概ねカナダ中銀の想定通りであり、金融政策は当面、据え置かれる可能性が高いと見られます。
カナダ中銀:
政策金利を0.50%で据え置き
カナダ銀行(中央銀行、以下カナダ中銀)は、2016年5月25日
に政策決定会合を開催し、政策金利である翌日物貸出金利
を0.50%に据え置くことを決定しました。今回の政策金利据え
置きは市場予想通りで、2015年7月以降、7会合連続となりま
した(図表1参照)。
なお、カナダ中銀は声明文の中で、カナダ経済について、
2016年1-3月期は4月の金融政策報告の予測と「概ね整合
的」となり、同4-6月期はアルバータ州で発生した山火事が
実質GDP(国内総生産)を押し下げる見込みであるものの、
同7-9月期は石油生産再開と復興開始で反発するだろうと
の見方を示しています。
どこに注目すべきか:
原油価格、米国経済、山火事の影響
カナダ経済を考える上で、同国の主要輸出品である原油の
動向は重要なポイントのひとつです。2014年12月以降、原
油価格が大きく下落し、カナダ経済のマイナス要因となって
きましたが、足元、原油価格が1バレル50ドルにまで反発し
てきており、カナダの製造業購買担当者景気指数(PMI)が2
月の49.4から、3月には景況感の分岐点である50を上回る
51.5となり、4月には52.2と更に改善傾向を示すなど、カナダ
経済にとってプラス要因となっています(図表2参照)。
もうひとつの重要なポイントは米国経済の動向です。カナダ
の輸出総額の7割以上を占める米国は、足元、安定した雇
用環境を背景に個人消費が総じて堅調に推移しており、4月
にカナダ中銀が発表した金融政策レポート(MPR)と概ね整
合的であるとしています。またカナダ中銀は、2016年通年で
も米国経済は堅調な推移を見込んでいます。
一方で、2016年4-6月期のカナダ経済はマイナス成長となる
見通しをカナダ中銀は示しています。4月に示した予想では
4-6月期は+1.0%のプラス成長が見込まれていましたが、5月
はじめにアルバータ州で発生した大規模な山火事とそれ
ピクテ投信投資顧問株式会社
に伴う原油生産の停止が、4-6月期の実質GDP成長率を
1.25%程度引き下げるとの試算が示されています。
その他、物価動向については「概ね予想通り」で「リスク・バラ
ンスの見通しも概ね均衡している」とし、通貨カナダドルの水
準についても「4月の想定と近い水準にある」としています。
このように、カナダ中銀は同国経済を取り巻く状況は概ね想
定通りと見ており、「現行の金融政策が適切だ」との判断を示
しています。市場が予想していたようなハト派的な文言は声
明文の中には見られず、カナダの金融政策は当面、据え置
かれる可能性が高いと見られます。
図表1:カナダの政策金利推移
(日次、期間:2013年5月24日∼2016年5月25日)
1.2
%
1.0
0.8
7会合連続の
政策金利据え置き
0.6
0.4
13年5月
14年5月
15年5月
16年5月
図表2:カナダ製造業PMIの推移
(月次、期間:2014年4月∼2016年4月)
60
景況感
良い
55
50
45
景況感
悪い
50が景況感の
分かれ目を示す
40
14年4月
14年10月
15年4月
15年10月
16年4月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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