英国の EU離脱の世界経済への影響をどう見るか

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グローバル
2016年7月13日
英国のEU離脱の世界経済への影響をどう見るか
国際機関などから英国のEU離脱の影響が公表され始めています。英国への影響は深刻ですが、他の地域への波
及は相対的に小幅で、英国のEU離脱を背景とした世界景気への極端な悲観論は後退する可能性も考えられます。
IMF世界経済見通し:英国のEU離脱の影響
を受け下方修正の見込み
国際通貨基金(IMF)は世界経済見通し(WEO)の最新更新
の日程を7月19日と公表しました。IMFは世界経済見通しを
年2回(通常4月と10月)公表し、間に2回(通常1月と7月)更新
を行います。7月のWEOの見通しには英国の欧州連合(EU)
離脱の影響が反映されるものと見ています。
なお、IMFは7月8日にユーロ圏についての4条協議報告書を
公表、その中でIMFは英国のEU離脱決定を反映させたユー
ロ圏の成長見通しに言及、2017年のユーロ圏の成長予想を
1.4%、2016年については1.6%としています(図表1参照)。
どこに注目すべきか:
4条協議報告書、成長率見通し、英国輸出
国際機関や金融当局から英国のEU離脱の影響や波及効果
が公表され始めています。震源地英国への影響は深刻な面
もありますが、他の地域への波及は比較的小幅と見る予想
が多く見られます。英国のEU離脱を背景とした世界景気へ
の極端な悲観論は後退する可能性も考えられます。
まず、IMFのユーロ圏成長率予想を振り返ると、IMFと加盟
国の定期的協議のために作成される4条協議報告書(IMF協
定4条に定められているためこう呼ばれる)では英国のEU離
脱が決定される前に予想されていたユーロ圏の成長率は
2016~2018年は1.7%と予想されていました(図表1参照)。し
かし、同報告書の後半にはEU離脱の影響を考慮した場合
のユーロ圏の成長率予想が示されており、2016年は1.6%、
2017年については1.4%とそれぞれ下方修正されています。
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムー
ディーズ)もEU離脱決定後のユーロ圏の成長率予想を示し
ており、2017年については従来の1.6%から1.3%へ引き下げて
います。なお、ムーディーズは英国の成長率も示しており、
2017年について見ると従来の2.1%から1.2%へ大幅に引き下
げています。
調査で共通するのは、英国のEU離脱の影響は英国につい
ピクテ投信投資顧問株式会社
て大幅に見込んでいますが、ユーロ圏は比較的小さいと見込
んでいます。2点目は2016年の見通しよりも、17年の成長率を
より引下げています。IMFはこの理由について、今年は欧州中
央銀行の支援策による下支えを見込むためと述べています。
次に、ユーロ圏の成長率低下が英国に比べ小さいと見る理由
の一つに貿易をあげています。例えば、英国の対EUの輸出は
全輸出の半分近くを占めるのに対し(図表2参照)、EUの対英国
輸出は1割も無く、ユーロ圏への影響は小さいと見ています。
その他、米国の金融当局からは米国への影響はほとんど無い
といった発言も聞かれます。さりとて、英国とEUの交渉はまだ
始まってもいないため、過度の楽観論も禁物と思われます。さ
しあたりIMFのWEOや、他の機関などの分析を参考に慎重に
今後の展開を想定する姿勢が必要と思われます。
図表1:ユーロ圏の経済成長予想、離脱決定の前と後
(予想時点:左は離脱決定前、右は離脱決定後、予想値はIMF)
2.0%
離脱前の予想
1.7%
1.7%
1.6%
離脱後の予想 1.7%
1.4%
1.6%
1.6%
1.2%
0.8%
0.4%
0.0%
2016年
2017年
出所:IMFのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
2018年
図表2:英国の輸出相手国(左)と対EU輸出(右)
(時点:2016年1月)
米国
その
他
輸出相手国
地域別
輸出相手
ドイツ
スイス
オラン
ダ
フラン
ス
英国の輸出
EU
以外
53
%
EU
47
%
出所:EUのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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