平成 27 年度 有機化学 I 小テスト 第 19 回 【問題】ベンゼン(C6H6)を

平成 27 年度 有機化学 I 小テスト 第 19 回
【問題】ベンゼン(C6H6)を基質とした臭素化(Br2, FeBr3)、ニトロ化(HNO3, H2SO4)、
スルホン化(H2SO4、加熱)、Friedel-Crafts アシル化(CH3COCl, AlCl3)の反応の機構と生
成物を記せ。
解答の指針:芳香族化合物の反応の基礎となる反応群である。まず、今回はベンゼンの反
応について学習する。ベンゼン環上に存在する π 電子は強力な求電子剤(δ+性)を作用
させると求核付加反応を起こす。このような置換反応は求電子剤が芳香族化合物の水素原
子を置換するので、芳香族求電子置換反応という。(ベンゼン環が求核攻撃するが、芳香
族求核置換反応ではないことに注意。)反応形式を頭に叩き込むためには反応機構をしっ
かり理解するのが一番です。では、それぞれ解いていきましょう。
・臭素化
Br
Br
Br
Fe Br
Br
Br
Br Br Fe Br
Br
この末端のブロムが強力な求電子剤として機能する。
Br +よりH+で放出される
H
Br
Br Br Fe Br
Br
Br
Br
Fe Br
Br
Br
再芳香環化
Br
Fe Br + Br –
Br
Br
ブロモベンゼン
Br
平成 27 年度 有機化学 I
Br
Br Fe Br
小テスト Br第 19
ブロモベンゼン
Br
Fe Br + Br –
Br
回
・ニトロ化
+
O
O
N
OH
O
H O S O H
O
H
O
H
O
N
O
+
O
O S O H
O
O
N O
O
N O
H
O
N
O
O
N
O
ニトロベンゼン
・スルホン化
O
HO S O H
O
硫酸
O
H O S OH
O
硫酸
O
H O S OH
H O
O
S OH
O
スルホニウムイオン
(反応活性種)
O
S OH
O
H
O
S OH
O
O
S OH
O
ベンゼンスルホン酸
・Friedel-Craft アシル化反応(フリーデルークラフトアシル化反応)
アシル基とは RC=O の事を言う。ベンゼン環に炭素原子を導入できる非常に有用な反応であ
る。この時に使う基質はアシルクロリド(R(C=O)Cl)、ルイス酸は塩化アルミニウム(AlCl3)
である。覚えておいてください。
平成 27 年度 有機化学 I 小テスト 第 19 回
アシル基(一般名)
アセチル基(固有名詞)
アシルクロリド
O
O
R
H3C
R
Cl
Al Cl
Cl
O
Cl
今回はアセチルクロリド
O
O
H3C
Cl
Cl
Al Cl
Cl
Cl–
O
H
CH3
H3C
Cl
Cl
Cl
+ Al Cl
Cl
O
O
Cl
H3C
Cl
Al Cl
Cl
Cl
Al Cl
Cl
Cl
O
CH3
CH3
+ HCl
アセトフェノン
フリーデル-クラフトのアルキル化反応も合わせて覚えておいてください。
(教科書 p241)
反応機構は、ほぼ同じで君たちなら理解できるはずです。
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