2015 年度後期 化学反応論 第12回「溶液反応の解析」 復習問題 ※他人の解答を丸写ししない。 「なぜその答えになるのか」自力で説明できなければならない。 学籍番号___________ 氏名___________ 1. 次の中から非プロトン性極性溶媒を選びなさい。 CH3 C CH3 CH3 CH CH3 O OH O H C N CH3 H O N CH3 2. 下の反応について、非極性溶媒・プロトン性極性溶媒・非プロトン性極性溶媒における反 応速度の順序を予想しなさい。理由をつけて答えること。 H3C H3C C Cl H3C H3C !+ !– H3C C Cl H3C CH3 + Cl– H3C C CH3 プロトン性極性溶媒>非プロトン性極性溶媒>非極性溶媒。出発物質の分極は弱いため、 強く分極した遷移状態をより安定化する溶媒中で反応は速く進む。非極性溶媒はカチオ ン・アニオンのどちらも安定化できない。非プロトン性極性溶媒はカチオンを安定化する がアニオンは安定化できない。極性溶媒はカチオン・アニオンのどちらも安定化する。従 って、上の順序となる。 3. 講義で扱った下の反応(298 K, 水溶液中)について、NaClO4 を添加した時の二次反応速 度定数は次のように変化した。添加量 (mol/kg) 0, 0.010, 0.020, 0.030 に対して相対速度は 1.000, 0.631, 0.515, 0.447。 [Co(NH3)5Br]2+ + HO– [Co(NH3)5OH]2+ + Br– log10(k2/k20) vs (I)1/2 のプロットの傾きを求め、この反応の律速段階に [Co(NH3)5Br]2+ と HO– が両方関与していることを示しなさい。 傾きは –2.03 。これを 2Az+z– に等しいとおき、 A = 0.509 を使うと z+z– = –1.99 となる。これは z+ = 2, z– = –1 と一致する。従って、この反応の 律速段階には[Co(NH3)5Br]2+ と HO– が両方関与 していると考えるのが妥当である。 4. (1) ジクロロメタンの粘度は 303 K で 3.93 10–4 Pa•s である。この温度でのジクロロメ タンの拡散律速速度定数を求めなさい。(2) ある反応のジクロロメタン中での二次反応速度 定数を 303 K で測定したところ、2.1 1010 L mol–1 s–1 となった。この反応は拡散律速と 言えるか。 (1) kd = 8•(8.31 J mol–1 K–1)•303 K/(3•(3.93×10–4 Pa•s)) = 1.71×107 m3 mol–1 s–1 = 1.71×1010 L mol–1 s–1 (2) 反応速度定数が (1) で見積もった kd と同程度である。もし拡散律速でなけ れば、「拡散よりも遅い反応」が律速段階となるので、反応速度定数は kd よりずっと小さ くなるはずである。よって、この反応は拡散律速であると言える。
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