株式会社 DZHフィナンシャルリサーチ 東京都中央区明石町 8-1 聖路加タワー32 階 週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円) January 22, 2016 米 3 月利上げの道は開かれたままか? ◆ドル円は金融政策イベント次第だが米 3 月利上げに道が開かれたままなら底固めも ◆日銀は政策の現状維持がコンセンサス、円高圧力が根強いなかで総裁会見を注視 ◆ユーロドルはレンジブレイク待ち、追加緩和を正当化させるファンダメンタルズが必要 予想レンジ ドル円 115.00-119.50 円 ユーロドル 1.0650-1.1100 ドル 1 月 25 日週の展望 ドル円は底固めの可能性も。26-27 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、昨年 12 月に続く利上げ が実施されることはないだろう。今年、米連邦準備理事会(FRB)が 4 回程度の利上げを想定している なかで、市場は、今回は当局が正常化の影響を見極めるイベントと捉えている。中国不安や原油安に 端を発した年明け以降の市場の混乱や株価下落が、海外情勢を理由に利上げを見送った昨年 9 月の出 来事を思い起こさせるかもしれない。ただ、過去の景気サイクルのなかで先行指標的な意味合いの強 かった雇用データの改善が継続している以上、声明文で FRB の見通しが大きく弱気に傾く可能性はそ れほど高くない。最近の米経済指標の弱さはドル高による交易条件の悪化と製造業の鈍化におおむね 集約されており、堅調な労働環境を背景に内需の落ち込みも一時的との見通しが示されると思われる。 次回 3 月の利上げに道が開かれる内容となれば、まだ 3 割程度と低水準な市場の利上げ織り込み度が 修正されて、ドルが買われる展開も想定できる。 日銀金融政策決定会合(28-29 日)も現状維持か。年明け以降も黒田日銀総裁は、現段階での追加緩 和実施や当座預金の超過準備にかかる付利引き下げの可能性を否定している。もっとも今年から日銀 会合は年 8 回に減少して次回までに 6 週間程度の時間が空くため、日銀が機動的に対応せざるを得な いとの思惑が生じている。展望レポートの中間評価で政策委員によるインフレ・成長の大勢見通しが 下方修正を免れないイメージが共有されやすいなかで、追加緩和期待もそれなりに醸成されている。 昨年 1 月のドル円のレンジ中央値は 118 円後半だったため、インフレに対する円安のベース効果もす でにはく落している。期待インフレ率の低下懸念で緩和見送りといった円買い戻しペースが加速する シナリオも警戒されるなかで、総裁会見の内容が注目される。 ユーロドルはレンジ脱却待ち。対ポンドで 1 年ぶりのユーロ高を示現するなど局所的な動意はあっ ても、足元の市場ではユーロ圏のファンダメンタルズに焦点が当たりにくい。欧州中央銀行(ECB)の ドラギ総裁は 3 月の追加緩和実施を示唆したが、世界的に金融市場が混乱しているなかで預金ファシ リティ金利の引き下げなどが抜群の効果を発揮する望みは薄い。月末のユーロ圏 1 月消費者物価指数 などで域内に直接的な影響が波及していることが確認され、市場が資産買い入れ規模の拡大など一段 の緩和措置を織り込むようになるまで、ユーロは引き続き市場のセンチメントに振らされやすいか。 1 月 18 日週の回顧 ドル円は株安・原油安で市場のセンチメント悪化に歯止めがかからないなか、およそ 1 年ぶりの安 値となる 115 円後半まで下落した。その後は市場動向に警戒感を示した本邦当局筋の見解なども背景 に、FOMC や日銀会合も控えて調整が入った。ユーロドルは 1.09 ドルを中心としたもみ合いが継続。ユ ーロ円は昨年 4 月以来の安値を 126 円前半まで塗り替えた。ECB は想定通りに金融政策の据え置きを決 定したが、景気の下振れリスクを強調して次回会合での政策見直しを示唆した。 (了) 本レポートはお客様への情報提供のみを目的として作成したもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。実際に投資をなさる場合の最終ご判断は、お客様ご自身でご判断なさる ようお願い致します。本レポートを原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については一切補償には応じません。 Copyright DZH Financial Research, Inc.
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