ウィークリーレポート 2016/06/13-2016/06/17

ウィークリーレポート 2016/06/13-2016/06/17
提供:新生銀行 市場金融部
経済指標や日米英の中銀イベントなど材料は多いが、翌週の EU 離脱の賛否を問う英国民投票を控えて、
為替の値動きは限定的か。
週前半は、米小売売上高が公表となる。その後は、15、16 日の日米英の金融政策決定会合に注目。市場は、今回の日銀
決定会合の追加緩和への期待は低いため、緩和となればサプライズか。
(先週の振り返り)
注目されたイエレン議長の講演では、雇用統計の弱さに触れつつも経済データ次第との大方の予想通りのコメントに、ド
ルは全般的に一旦買い戻された。その後、重要な指標もなく、翌週の日米の金融政策決定会合やイギリスの国民投票を控
えて、方向感のない動きが続き、週を通してレンジトレードが続いた。
イエレン議長講演後は、原油や株などのリスクアセットが堅調に推移。特に、原油価格が 50 ドル台を回復するなど資源
価格の買戻しが目立つ中、豪州準備銀行(RBA)や NZ 準備銀行(RBNZ)が金融政策の据え置きとしたこともあり、対ドルや対円
で堅調に推移した。しかし、週後半に向かうにつれ、翌週の中銀イベントや、イギリスの国民投票を控えたポジション調整色
が次第に強くなり、株売り債券買い一色とリススセンチメントが悪化しはじめると、欧州通貨中心に軟調に推移した。ドル円
のレンジは、107 後半から 106 円前半とほぼ 1 円 50 銭程度の値動きと、5 円動いた先週と比較すると小動きであったが、重
要なイベントが迫る中、足元の価格変動率が急上昇するなど、嵐の前の静けさといった印象が強い一週間であった。
(今週の見通し)
今週の経済指標は、米の 5 月小売米小売売上高や 5 月のCPIなどが公表される。月初に公表された雇用統計以来の重
要な経済指標であり注目される。ただし、週後半には日米金融政策決定会合が控えており、継続した値動きにはならないだ
ろう。15 日の FOMC については、市場参加者は米金利引き上げの可能性をほぼゼロ、7月利上げ織り込みは 20%程度に
下げてきており、現在の主流は9月での利上げとなっている。そのため、FOMC メンバーの政策金利予想が、引き続き年内
2 回の利上げに集中しているのかどうかに、注目が集まる。すでに利上げ織り込み度は低下してきているため、仮に年内 2
回の利上げに変更がないようであれば、市場は再び利上げを意識し再びドルの買戻しとなるだろう。また、その翌日には日
銀決定会合が控えている。こちらも、市場の参加者は前回よりは追加緩和期待が薄れてはいる。足元の物価基調は一時
に比べて弱まっているが、経済指標は良好で、原油価格も持ち直してきており、実施するかは現状五分五分か。為替オプシ
ョン市場ではリスクリバーサル(ドル高とドル安どちらに市場の期待値が集まっているかのレベルを把握できる)のレベル
は、ほぼ同レベルで推移している。前回と違い期待が低いため、実施せずとも、円高圧力も限定的か。サプライズ好きな黒
田総裁なだけに、市場の一部では期待するものも少なくないようだが、現在考えられる施策の範囲では、持続的な円安基
調を導くことはないと見ている。
結果、今週は重要な中央銀行のイベントが多いが、翌週にイギリスの国民投票も控えており、国民投票の結果公表まで
は先週同様に方向感ない相場展開が予想される。最近はリスクセンチメントの改善には、金融政策だけでは力不足との見
方も多くなってきており、仮に日銀が追加緩和を実施しても、ここ数か月同様に上下3円程度のレンジに収まるだろう。輸出
企業の想定社内レートはドル円では105から110円台が意識されるレベルであるが、ユーロ円では120円から125円程
度になっている。週明けのユーロ円は、想定レートを割り込んで始まっている。今月は、四半期決算を控えており、本邦勢の
ヘッジ取引が意識される。