ウィークリーレポート 2017/2/06

ウィークリーレポート 2017/2/06-2017/2/10
ドル円は 112 円の攻防か。日米首脳会談を前に円高圧力がどこまで強まるかに注目
日米の金融政策決定会合を通過し、市場の関心は再びトランプ政権の政策に移る。10 日・11 日の日米首脳会談に向けて
米側から貿易不均衡解消への圧力が高まるとの思惑で円高方向への力が働きやすい地合いが継続しそう。112 円を割り
込めば 110 円割れが視野に。
(先週の振り返り)
ドル円相場は週初に 115 円台を割り込んでからは、週を通じて円高方向への値動きとなりました。主な原因は、イスラム圏 7
ヵ国の市民の入国を制限する大統領令を巡る混乱を嫌気して株安・ドル安が進んだことや日銀政策決定会合を控えて現在
年間 80 兆円を目処とする日銀の債券買取額が減額されるのではないかという思惑で日本国債の値動きが不安定になった
ことが挙げられます。日銀の決定会合後は 112 円台から 114 円近辺までいったん買い戻される場面もありましたが 1 日に
発表となった FOMC の声明文の内容から、FRB が利上げを急いでないとの見方が広がると再び 112 円台までドル円は下落
しました。
先週発表となった米国の経済指標は総じて米国の景況感の底堅さを裏付けるものとなりましたが、トランプ政権が指向して
いる貿易不均衡解消のためのドル高抑制という見方を撥ね退けてドルが上昇するのには力不足といったものでした。週末
に発表された 1 月の米雇用統計も雇用者数の伸びは市場予想を上回る 22.7 万人でしたが賃金の伸びが前回に比べて鈍る
など利上げを急ぐ材料とはならないとの見方が広がりドルは 112 円台で週の取引を終えました。ドルは主要通貨に対して総
じて弱含みで推移し対ユーロでは 1.08 台半ば、対豪ドル昨年の大統領選終了直後の水準である 0.77 台を窺う展開となって
います。特にユーロに関してはユーロ圏の 1 月の消費者物価が 1.8%へと上昇し ECB が目標に掲げる「2%未満でその近
辺」という水準が完全に照準に入っており、量的緩和に懐疑的なドイツなどから批判の高まりが避けられない状況です。
(今週の見通し)
今週もドルは全体的に弱含み(ドル安・円高)の展開となりやすいことが予想されます。先週までに発表された一連の米国
の経済指標は米国経済の底堅さを確認するものとはなりましたが、3 月利上げを急ぐほどのインフレ圧力も見当たらず、トラ
ンプ政権の経済対策や減税策などの具体的な規模や内容が伝わらない中では FRB は利上げを急ぐ必要はない、との見立
てが市場では優勢です。今後出てくる経済指標の中には昨年以来のドル高を反映して弱含む見込みのものもあり、今後は
ドル高の影響も見極める必要があるでしょう。
またトランプ政権は貿易不均衡を抱える国との 2 国間通商交渉で為替の問題を取り上げる姿勢をあからさまにしており、今
週末 10 日・11 日に控える日米首脳会談前には円高方向への圧力が高まり易い雰囲気となりそうです。112 円が一つの節
目として意識されており、ここを割り込むような材料が出てくれば 110 円割れまで円高が加速する可能性もあります。
足元では米国の経済状況や指標の強弱よりトランプ氏自身のツイッターを含めてランダムに発信されるトランプ政権からの
情報に反応せざるを得ない状況が続いており、相場に方向感が出にくい展開が今しばらくは続きそうです。欧州やオセアニ
アの通貨に関してはドル全体の地合いに影響される場面が多く、対円では横ばいの動きとなりそうです。先週末のドット・フ
ランク法(金融規制を定めた)の規制を緩和する大統領令を好感し株高などの動きにつながれば豪ドル円などの上昇の余
地はありそうですが、日米首脳会談を控える週末までは値動きは限定的なものとなりそうです。入国制限に関する大統領
令については一部で差し止めを求める仮処分申請などが係争中で国内的にはトランプ政権の痛手となる可能性もあり、今
後の財政・減税政策を巡る与党共和党との連携に影響が出ないかを注視する必要がありそうです。