FRB 利上げ実施 〜 2017 年の利上げペースを僅かに予防的加速

ベアリングス インベストメント・アップデート
2016 年 12 ⽉ 15 ⽇
⽶ FRB 利上げ実施
〜 2017 年の利上げペースを僅かに予防的加速
マルチストラテジー債券グループ
円ベース・ポートフォリオ構築グループ
要旨
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⽶連邦準備制度理事会(FRB)は市場の予想通り 25bp の利上げを決定。
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17 年の利上げ回数予測の中⼼値が 9 ⽉時点の 2 回から今回は 3 回に増加。
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⻑期均衡 FF レートの予測中⼼値も 9 ⽉の 2.875%から今回 3.00%へ微増。
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利上げペース加速がサプライズとなり、⽶国では株安、債券安、⽶ドル⾼が進⾏。
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⽶ドル⾼・⾦利上昇の悪影響や海外情勢の不確実性を考慮すれば、⽶⻑期⾦利上昇は過剰反応。
17 年利上げ回数予測の中⼼値は 3 回へ
進⾏する中、株式市場や原油市場が下落に転じ、⽶
国 10 年国債利回りは 2.5%を超えて上昇(価格は下
⽶連邦準備制度理事会(FRB)は 14 ⽇の⽶連邦公開市
落)しました。やや唐突な利上げペースの加速には
場委員会(FOMC)で、市場予想通り 0.25%の利上げ
トランプ政権の誕⽣が影響したものと思われます。
を決めました。同時に公表した政策⾦利⾒通しでは、
記者会⾒でイエレン議⻑は「新政権の経済政策の具
17 年の利上げ回数予測の中⼼値が 9 ⽉時点の 2 回
体的な内容が明らかでない現時点でコメントを控え
から今回は 3 回に増加し、17 年の利上げペースが 1
る」としたものの、⾦融政策だけで経済成⻑率を押
回分加速する⾒通しが⽰されました。なお、18 年、
し上げるには限界があるとしてきた中央銀⾏の当局
19 年の年 3 回ペースの利上げ⾒通しの中⼼値は変わ
者としては当然に、新政権の財政政策が及ぼす影響
っていません。雇⽤の改善が進んだこと、市場のイ
を考慮に⼊れたものと考えられます。慎重に 17 年
ンフレ⾒通しが上昇したこと等が利上げを決定した
の利上げペースを⼩幅引き上げ、18 年、19 年につ
背景として挙げられましたが、経済⾒通しは雇⽤改
いてはトランプ⽒のお⼿並み拝⾒という格好でペー
善以外には⼤きな変更はなく、設備投資の弱さにつ
スは据え置いたと⾒ています。
いては依然として懸念が⽰されています。FOMC メ
ンバーの考える⻑期的に⽶国経済の体⼒に⾒合った
利上げできないスパイラルの再現も
政策⾦利の⽔準である⻑期均衡 FF レートの予測中⼼
値も 9 ⽉の 2.875%から今回 3.00%への微増に留ま
⽶国の利上げは昨年 12 ⽉以来ですが、昨年の場合、
りました。
その後の利上げペースを年 4 回と⾒込んだものが、
結局、①⻑期⾦利上昇・ドル⾼→②原油安・株安→
滲むトランプ新政権の政策への期待感
③中国⼈⺠元下落→④海外情勢の不確実性増⼤、と
いう経路で今年の 12 ⽉まで 1 回も利上げが出来な
経済⾒通しに⼤きな変更がない中での来年の利上げ
い状況でした。今回も、上述の「⻑期⾦利上昇・ド
ペース加速は、市場にとってはサプライズとなりま
ル⾼」、「中国⼈⺠元下落」は既に発⽣しており、
した。昨⽇の⽶国では主要通貨に対する⽶ドル⾼が
昨⽇の⽶国市場の「原油安・株安」の進⾏は、利上
情報提供⽤資料
げ⾒送りに追い込まれるパターンが 17 年にもあて
「海外情勢の不確実性増⼤」懸念は続く
はまる兆候ではないかと気になるところです。
17 年は欧州⼤陸で重要な選挙が相次ぎます。ユーロ
圏では銀⾏の不良債権処理が道半ばということもあ
ECB は QE 延⻑と資産買⼊れ額減額を決定
り、政治が混迷を深めれば、⾦融システム不安を増
⼀⽅、先週、今年最後の理事会を開催した欧州中央
⼤させ、それが「海外情勢の不確実性増⼤」という
銀⾏(ECB)は、量的緩和(QE)の 9 か⽉の期間延
格好で⽶国に跳ね返ってくる可能性もあります。今
⻑と資産買い⼊れ額の⽉額 800 億ユーロから 600
回 FRB が⽬論む年 3 回の利上げペースも前回同様に
億ユーロへの減額を決定しました。デフレ退治に向
すんなりとは⾏かないと⾒るべきでしょう。FRB が
けた持久戦への決意を新たにする格好で、買い⼊れ
⾒通しをドットチャートという形で初めて市場に⽰
対象不⾜という問題に対して、より⻑い期間の緩和
した 2012 年以降、⻑期均衡 FF レートの予測中⼼値
継続という対処策を⽰しました。ドラギ ECB 総裁は、
は⽶国の 30 年債利回りの上限を画してきました。
買い⼊れ資産の減額は「テーパリングではない」と
⾜許の 30 年債利回りは今回、微妙に引き上げられ
強調し、市場の不安⼼理払拭に努めました。ドラギ
た 3.00%の⽔準を既に上回っています。
総裁のお膝元であるイタリアの政局混迷などもあり、
市場の不確実性への懸念を抑え込んだ格好です。
⽶ドル⾼や⾦利上昇が景気抑制的に働くことや 17
年の海外情勢の不確実性などを考慮すれば⽶国の⻑
期⾦利上昇は過剰反応し過ぎているものと⾒ていま
す。
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⾦融商品取引業者:
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⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会
Date Complied(東京): 2016 年 12 ⽉ 15 ⽇
Ref No. M20164Q48
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