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株式会社 DZHフィナンシャルリサーチ
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週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)
February 12, 2016
石橋を叩いて進む
◆市場のセンチメントは一段と悪化、株安の継続性にも注視
◆ドル円は当局からのけん制も警戒される水準へ、慎重さも持ちあわせたい
◆ユーロ、リスクオフに一巡感生じるまでは下値は支えられやすい
予想レンジ
ドル円 110.00-116.00 円
ユーロドル 1.1000-1.1550 ドル
2 月 15 日週の展望
ドル円はテクニカル面で重要な節目だった 115 円をあっさり割り込んだ。日銀短観における 2015 年
度の大企業・製造業の想定為替レートを大きく下回っている。欧米も同様だが、足元の株価下落で企
業がさらなるコスト削減を強いられそうな状況下、日銀マイナス金利導入による金融機関の収益圧迫
懸念も加わって、市場のセンチメントが一段と悪化する可能性は否定できない。
ただし円高と原油安から本邦物価指標の持ち直しも鈍いなかで、インフレ目標達成の観点からは政
府や日銀が警戒感をにじませる水準に突入している。すでに財務官僚からは市場の動向を注視すると
した口先介入のような発言も伝わった。ドル円・クロス円の急激な反発に対応できる備えも持ちあわ
せたい。ここからのドル円はボラティリティの高さから瞬間風速的に振れが大きくなる可能性はある
ものの、石橋を叩いて渡るような慎重な下値模索に移行する展開も想定したい。
議会証言に臨んだイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、現段階で引き締めのサイクルを覆す必
要はないとしたものの、海外・金融情勢の一段の悪化と米国の景気鈍化懸念が高まるなかで 3 月米連
邦公開市場委員会(FOMC)での利上げは先送りする可能性を示唆している。米経済の最大の立役者と
なる個人消費に恩恵を与える原油安も、米金利の低下が示すように中長期的なインフレ動向に与える
影響を注視せざるを得ない。米シェール革命の先駆的存在であるチェサピーク・エナジーの経営不振
など新たな火種も提供されるなか、ドル高の影響にも警戒感をにじませる状況下で早急なドル高回帰
へのシナリオも描きにくい。
ユーロは底堅い推移か。リスク回避パターンがユーロを押し上げている。ユーロドルは昨年 10 月以
来、ユーロポンドは 2014 年 12 月以来のユーロ高水準をつけた。欧州中央銀行(ECB)はインフレの押
し上げと交易面で優位となるユーロ安を暗黙の政策目標に据えているものの、ドル高の転換や市場の
混乱も相対的な押し上げ要因となるなかで当局からの通貨高けん制は今のところ乏しい。来週は降っ
て湧いたような複数のリスク回避要因の継続性と、旧正月明けの中国市場の動向が鍵を握ることにな
るか。偶発転換社債(coco 債)の利払い懸念も台頭したドイツ銀行の経営不振や、南欧諸国の金融機
関への警戒感から欧州の株式・債券市場もプチパニック状態に陥っている。独の鉱工業生産は約 1 年
半ぶりの水準まで鈍化するなど悪材料は後を絶たない。政策期待も高まりやすくなってくるが、出尽
くし感が生じるまでユーロの下値は限定的か。
2 月 8 日週の回顧
中国不在による混乱一服の願いは叶わなかった。米エネルギー企業やドイツ銀行の経営不安、原油
安に欧州債務懸念の台頭など新たなリスク要因が次々と意識されるなか、ドル円は一時 111 円前後ま
で続落。ユーロドルはリスク回避パターンのなかで 1.13 ドル半ばと、昨年 10 月以来のユーロ高を示
現。ユーロ円はユーロ高がサポートだったが、円高圧力で一時 125 円台まで下値を広げた。(了)
本レポートはお客様への情報提供のみを目的として作成したもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。実際に投資をなさる場合の最終ご判断は、お客様ご自身でご判断なさる
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