ウィークリーレポート 2016/12/12-2016/12/16

ウィークリーレポート 2016/12/12-2016/12/16
提供:新生銀行 市場金融部
米国では 1 年ぶりの利上げを見込む。ドル高の持続性はいかに?!
FOMC で 0.25%の利上げを織り込む中、ドル高小休止に伴う円高調整局面はあるかに注目。欧州政治不安による、市場のリ
スクオフへの反転に注視。
(先週の振り返り)
週末 4 日に実施されたイタリア国民投票の結果が 5 日東京時間早朝に発表され、「憲法改正否決」及び「伊レンツィ首相
が辞任表明」したことを受け、ユーロを中心にリスクオフの流れとなりました。ユーロドルは年初来安値 1.0505 ドルまで急
落、ユーロ円も金曜 NY クローズから 2 円以上の下落となる 118 円台後半まで急落しました。しかし市場はイタリア国民投票
への警戒を先行して織り込んでいたこともあり、ユーロは急落後一転してショートカバーを誘発する格好で同日海外時間に
は 1.07 台後半まで反発。東京時間早朝のリスクオフは否定される形となりました。8 日に開催された ECB 理事会では、政策
金利を据え置きとし、資産購入プログラムを 2017 年 12 月まで延長する一方で、購入額を月額 800 億ユーロから 600 億ユ
ーロに減額するとの発表で、テーパリング(緩和縮小)観測が一時台頭しユーロドルは 1.0875 ドルまで急伸するも、ECB ドラ
ギ総裁の記者会見で「緩和縮小は議論されず」とし更に資産買い入れ購入額増額の可能性を残すハト派的な発言や市場
予想を上回る期間延長を背景にユーロは反落しました。週末金曜にはイタリアの大手銀行の資本増強期限延期要請を
ECB が拒否したとの報道や米金利上昇を背景としたドル買いも手伝い 1.0550 ドル割れまで下落しました。
一方でドル円は東京時間早朝イタリア国民投票の余波で 112 円 87 銭まで下落する場面がありましたが、ユーロの反発と
共に上昇し海外時間には、米金利上昇や予想を上回った米 11 月 ISM 非製造業景況指数を背景に 114 円 77 銭まで上昇し
ました。しかし NY 時間午後に入ると 113 円 17 銭まで急反落し週初からから大きな「行って来い」の相場となりました。
週央は 114 円を挟んで値動きの荒い展開となりますが、8 日の欧州 ECB 理事会を契機に米金利上昇へと繋がり、週末 9
日には 2 月 9 日以来の高値となる 115 円 37 銭まで上昇し、ほぼ高値引けで越週となりました。
(今週の見通し)
今週の注目点は 13-14 日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)です。0.25%利上げは、市場では 100%織り込み済
みではありますが、「経済見通しの公表」「イエレン議長の記者会見」に注目が集まります。また来年から発足するトランプ新
政権に対し金融市場では、米大統領選挙直後から株式、為替、債券と思惑が交錯し、現状既に経済環境のブレ(トランプラ
リー)が現れる中、FEDとしてどの様な思惑(経済見通し)で金融政策という舵取りを行うつもりなのかという点に注目が集ま
ります。現状ではトランプ政権の政策が未知数のため、従来通り利上げペースの変更はないと考えていますが、雇用の改
善等足元の米国の経済環境を鑑みると景況感の見通しは上方修正されると考えます。
先週末には「OPEC・非加盟国、15 年ぶり原油協調減産合意」との報道がなされ、原油価格上昇が為替市場にリスクオ
ンとしての恩恵を与えるかにも注目です。
一方で IMM 通貨先物市場では円ショートは 3.6 万枚まで拡大し、FOMC 後のクリスマス相場(リクイデティ枯渇)を迎える
に当たって円ショートの巻き戻しにも注意を払いたいところです。