柔軟性向上に向けた自由化改革が続く 人民元の行方

楽読
(ラクヨミ)
2016年2月24日
Vol.
1,069
柔軟性向上に向けた自由化改革が続く
人民元の行方
中国では、2014年以降、資本の海外流出が目立ち、人民元が下落基調となる中、当局による人民元買い・
米ドル売り介入の積極化に伴なって外貨準備が減少しています。同国での資本流出や人民元安は、経済成
長率の鈍化傾向とともに市場の関心を集め、投資家の不安要因となることもしばしばです。
中国の成長期待や金利の低下、米利上げ観測などに伴なう中国企業の対外借入れの返済積極化に加え、
先行きの人民元安を見込んだ投機的な取引の拡大などを背景に、昨年末から今年初めにかけて人民元安が
加速しました。すると、「資本流出を止めるのは難しく、人民元買い・米ドル売り介入で外貨準備を浪費するの
は得策でない」との判断などから、当局が人民元の切り下げに踏み切るのではとの観測が一部で台頭しまし
た。しかし、人民元は、今年1月初めには下げ止まり、春節の連休明けとなった2月15日には大きく反発しまし
た。この背景には、世界的な市場の動揺や景気の先行き不透明感などに伴ない、米国の追加利上げ観測が
後退し、米ドル高にいったん歯止めがかかったことがあります。また、中国人民銀行(中央銀行)総裁が、人民
元の下落が継続するとの見方に根拠はないとして、投機筋を牽制したことなども寄与したと考えられます。
中国は、主要貿易相手国の通貨を中心とした複数通貨のバスケットと人民元との間の相場変動を一定範囲
に収める管理変動相場制をとっています。ただし、国際通貨への仲間入りを目指して人民元の自由化改革を
進めており、昨年8月には、市場実勢より割高とみられていた人民元相場を実質的に切り下げたほか、日々
の相場に市場実勢をより反映させる方針を示しました。今年10月には、IMF(国際通貨基金)が加盟国に配分
する準備通貨SDRに人民元が採用されます。その条件ともなっている自由化改革が続くこともあり、人民元
相場の変動が今後も大きくなる可能性は否定できません。ただし、自由化改革は国際市場に影響を及ぼさな
いよう、タイミングを選びながら慎重に進めるとの方針が示されています。また、短期間に大幅な人民元安が
懸念されるような状況となれば、外貨準備を用いた介入など、中国当局による対応が見込まれます。
資本・経常収支および外貨準備高の推移
2,000
人民元(対米ドル)の推移
(億米ドル)(2011年1-3月期~2015年7-9月期*) (兆ドル)
外貨準備高(右軸)
4
1,500
(人民元) (2011年1月初~2016年2月23日)
6.0
人民元高
実質的に
約5%切り下げ
(15年8月)
6.1
1,000
3
人民元安
6.2
500
6.3
0
2
6.4
-500
-1,000
1
資本収支(左軸)
経常収支(左軸)
-1,500
-2,000
6.5
中国本土の相場と、
中国当局の規制が
及ばない本土外の
相場との間の乖離
が目立つ
中国本土の相場
6.6
中国本土外の相場
*外貨準備高は2015年10-12月期までのデータ
11
0 6.7
(年)
11
12
13
14
12
13
14
15
中国国家外貨管理局などの、信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
15
(年)
16
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建
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