先進国:次期米大統領トランプ氏が薬価引き下げについて言及

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ピクテ・マーケット・フラッシュ 2016年12月8日
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次期米大統領トランプ氏が薬価引き下げについて言及
米国の次期大統領トランプ氏が薬価引き下げについて言及したことを受け、バイオ医薬品関連株式は下落しました。
薬価の引き下げの問題については、米大統領選期間中から注目されており、株価にはある程度織り込まれている可
能性があると考えます。しかし今後、公表されるトランプ氏の政策次第では株価の変動が大きくなる可能性もあり、注
意が必要です。
次期米大統領トランプ氏が薬価引き下げ
について言及し、バイオ株が下落
2016年12月7日のナスダック・バイオテック指数は、前日
比2.9%の下落となりました(図表1参照)。
ナスダック・バイオテック指数が下落した背景には、米
国の次期大統領であるトランプ氏が、雑誌のインタ
ビュー記事で薬価の引き下げについて言及したことが
あります。ただし、どのような薬が対象となり、どのよう
に薬価を引き下げるかなどの具体策については示され
ておらず、先行きについては不透明な状況です。
薬価引き下げ問題は、
既に株価に織り込まれている可能性
今回、トランプ氏の薬価引き下げ発言が注目され、バ
イオ医薬品関連株式が下落する結果となりましたが、
薬価引き下げ問題については、米大統領選挙の期間
中よりバイオ医薬品関連企業にとっての懸念材料とし
て注目されてきました。
トランプ氏と米大統領選挙で戦った民主党候補のクリ
ントン氏が、2015年9月にツイッターで一部の特殊医薬
品会社による医薬品価格の値上げについて批判した
ことがきっかけとなり、薬価引き下げの問題が大統領
選挙でも注目されるテーマとなりました。
このような流れの影響を受け、数年にわたり堅調に推
移してきたナスダック・バイオテック指数は、2015年9月
以降、大きく下落しています(図表2参照)。また、
S&P500種バイオテクノロジー指数の株価収益率の推
移を見ると、過去20年で最も低い水準まで低下してい
ることがわかります(図表3参照)。このような点を考慮
すると薬価の引き下げ問題については、既にある程度、
株価に織り込まれている可能性があると考えられます。
ただし、今後、トランプ氏が公表する政策の内容次第
では、バイオ医薬品企業の業績にとってマイナスとなり、
株価の変動が大きくなる可能性もある点には注意が必
要です。(※将来の市場環境の変動等により、上記の
内容が変更される場合があります。)
データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証す
るものではありません。
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:過去2ヵ月のナスダック・バイオテック指数の推移
日次、ドルベース、期間:2016年10月7日∼2016年12月7日
3,100
3,000
米大統領選で
トランプ氏勝利
2,900
2,800
2,700
トランプ氏
薬価引き下げ
について言及
2,600
2,500
10月7日
10月21日
11月4日
11月18日
12月2日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:過去5年間のナスダック・バイオテック指数の推移
日次、ドルベース、期間:2011年12月7日∼2016年12月7日
5,000
薬価引き下げ
懸念高まる
4,000
3,000
2,000
1,000
0
11年12月
13年06月
14年12月
16年06月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表3:大型バイオ医薬品関連企業の
株価収益率(PER)推移
月次、ドルベース、期間:1996年12月∼2016年12月
80 倍
バイオ医薬品関連株式
米国株式
60
40
21.0
20
14.1
0
96年12月
02年12月
08年12月
14年12月
※2016年12月は12月7日まで
※米国株式:S&P500種指数、バイオ医薬品関連株式:S&P500種バイオ
テクノロジー指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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上下両院ともに共和党が過半数を握る
中、実現性については不透明
大統領選期間中、クリントン氏の薬価引き下げに対す
るパフォーマンスが注目されてきましたが、トランプ氏
も薬価引き下げについて提案していました。米国では
製薬企業が保険会社などと交渉して薬価を決定してい
ますが、トランプ氏の主な薬価引き下げ策は、①高齢
者や障害者向けの公的医療保険であるメディケアで給
付する処方薬について、これまで認められていなかっ
た政府と製薬企業による直接の価格交渉を認めること、
②処方薬の輸入を解禁することの2点でした。
今後、この2点が実際の政策として進められるかどうか
は不明ですが、製薬業界が支持基盤のひとつである
共和党が上下両院ともに過半数を握っていることもあ
り、実現することは簡単ではないと思われます。
中長期的な見通しに変更はなし
バイオ医薬品関連株式については、薬価引き下げ問
題に絡みトランプ氏が今後発表する政策に注目が集
まっていますが、政策次第では株価の変動が高まる可
能性があり、注意が必要です。
一方、中長期的には、新薬の承認や新薬候補の開発
の進展、活発なM&A(合併・買収)の動き、低水準にあ
るバリュエーション(投資価値評価)などが株価の支援
材料となるとの見方に変わりありません。
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変
更される場合があります。)
ピクテ投信投資顧問株式会社
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