調 査 速 報 神奈川県の新設住宅着工戸数(2015年5月) 県内の住宅

調 査 速 報
浜銀総合研究所
調査部
産業調査室
2015.7.2
神奈川県の新設住宅着工戸数(2015年5月)
県内の住宅建築動向は回復基調に一服感
○2015 年5月の神奈川県の新設住宅着工戸数は前月比約2割減
・6月 30 日発表の5月の神奈川県の新設住宅着工戸数(季調済年率換算)は前月比 20.9%
減の 6.2 万戸となった。3か月後方移動平均でみた基調も下向きに転じており、県内の住
宅建築動向はこれまでの回復基調に一服感が現れた格好となった。
・利用関係別にみると、まず持家系の住宅については、5月の持家(注文住宅)の着工戸数
(季調済年率換算、3か月後方移動平均)が前月比 9.2%減の 1.5 万戸と、これまでの持
ち直し基調から減少に転じた。また、分譲マンションに関しても、前月(4月)は大型マ
ンションの着工の影響で着工戸数が持ち直したが、5月はその影響がはく落し、同 4.7%
減と伸び悩んだ。分譲一戸建(建売住宅)の着工戸数(同)は4か月連続で減少しており、
5月は同 7.8%減と減少幅も大きくなった。神奈川県内の建売住宅販売市場においては、
在庫戸数の圧縮が進み、調整局面は終盤に差し掛かっているとみられるが、建売事業者に
よる新規供給が増加する段階には今のところ至っていない。
・一方、貸家の着工についても、5月の着工戸数(季調済年率換算、3か月後方移動平均)
は前月比 6.6%減の 3.2 万戸となり、2か月連続で減少した。ただ、移動平均をとらずに
単月の着工戸数をみると、5月は前月比 28.6%増と大幅に持ち直している。このことは、
相続税対策としての資産活用ニーズが引き続き底堅いことを裏付けているが、今後この勢
いがどこまで続くかが注目される。
図表1 県内の住宅建築動向は増勢に一服感
利用関係別の推移
県内の新設住宅着工戸数(総計)の推移
季調済年率換算、千戸
110
季調済年率換算、3か月後方移動平均、千戸
40
3か月後方移動平均
100
35
90
30
80
25
70
20
60
15
50
10
40
5
30
0
2010年
11
12
13
14
15
貸家
持家
分譲マンション
分譲一戸建
2010年
11
12
13
注:季節調整は浜銀総合研究所が実施。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
注:季節調整は浜銀総合研究所が実施。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
1
14
15
○持ち直しに転じた新築マンション販売市場
・今回は、今後の分譲マンションの着工動向を左右する、新築マンションの販売動向を確認
したい。㈱不動産経済研究所のデータをもとに、5月の神奈川県内の新築マンションの新
規発売戸数(季調済)をみると、同月は前月比 69.8%増の 1,037 戸と急増し、3か月連続
の増加となった。前月からの繰越販売分を含めて計算した契約率である総契約率(同)も
3か月連続で上昇し、50%を超える水準まで持ち直している。なお、4月、5月の同契約
率を東京 23 区、東京都下及び首都圏他県と比較すると、神奈川県は最も高水準となって
いる。以上から、神奈川県内のマンション市場の底堅さがうかがえよう。
・なお、5月は県内の在庫戸数が 865 戸と5か月ぶりに増加したが、増加幅は前月比 16 戸
増と小幅にとどまった。2014 年 12 月に分譲中在庫が 1,147 戸まで急増した際にはミニ調
整が働き供給が絞られたが、現時点の在庫水準は引き続き低位であり、在庫調整圧力が働
く局面にはないと考えられる。
・5月の県内の新築マンションの平均販売価格は 61.4 万円/㎡と引き続き高値圏で推移し
ている。
(一財)建設物価調査会が発表している建築原価を指数化した建築費指数をみる
と、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の指数は、生コンクリート価格上昇の
影響で5月(速報値)も上昇し、依然として上昇に歯止めが掛かっていない。足元の建設
技能労働者の人手不足に関して、国土交通省の「建設労働需給調査」をみると、5月の過
不足率は+1.0%(全国、8職種平均、季調済)と依然不足超が続いている。したがって、
原価の面からみても、マンション価格が低下する要因は見当たらない状況となっており、
価格動向が与える需要面への影響には引き続き注意する必要があるだろう。
図表2 県内の新築マンション販売は需給両面で持ち直し
県内新築マンション 総契約率
季調済、%
70
65
60
55
50
45
40
35
30
3か月後方移動平均
25
20
県内新築マンション 新規発売戸数
季調済、戸
1,700
1,500
1,300
1,100
900
700
500
3か月後方移動平均
300
10年
11
12
13
14
15
10年
注:季節調整は浜銀総合研究所が実施。
出所:㈱不動産経済研究所
11
12
13
14
15
注:季節調整は浜銀総合研究所が実施。
出所:㈱不動産経済研究所
担当:調査部 産業調査室 森翔太郎
TEL 045−225−2375
E-mail: [email protected]
本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が
信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。
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