Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 中東 2016年1月18日 対イランの経済制裁解除と原油市場 イランの核開発問題を巡る問題が最終合意に至ったことにより、同国に対する経済制裁が解除されることで、イランか らの原油輸出は増加が見込まれますが、原油市場は既にある程度織り込んだものと思われます。 対イラン経済制裁の解除宣言:IAEAが核開 発の制限履行を確認 国際原子力機関(IAEA)は2016年1月16日、イランが欧米な ど6ヵ国(米英仏独露中)との最終合意に従って核開発の制 限を履行したことを確認しました。また「イランの核開発に関 連する経済制裁は解除される」との内容の共同声明を発表 しました。発表を受けイランのザマニニア副石油相は原油輸 出を直ちに日量50万バレル増やすことを目指していると述べ ています。これに加え、イランは数ヵ月以内にさらに50万バレ ル増やす計画を示唆しています(図表1参照)。 どこに注目すべきか: イラン核開発問題、制裁解除、輸出再開 近年(2002年頃)、イランの核開発疑惑が浮上して以来、米 国を中心とした国際社会とイランの原油取引は停滞していま した。1月16日の核開発問題を巡る最終合意によりイランに 対する制裁解除の道筋が本格的に開かれたことで、イランか らの原油の輸出は増加が見込まれますが、合意プロセスは 以前より始まっており、イランの原油輸出について、原油市 場はある程度、既に織り込んだものと思われます。 まず、イランが表明した原油輸出の増加量は当面50万バレ ル、数ヵ月以内でさらに50万バレルで合計100万バレルを目 指している模様です。2010年以降の制裁で減少した分を埋 め合わせるのが当面の目標という印象です(図表1参照)。た だし、イランの石油の生産設備は老朽化している模様で、目 標量を確保するには設備の更新も必要と思われます。 次に、対イランの経済制裁を振り返ると、解除の兆候は穏健 派のロウハニ大統領が2013年に就任後から見られます。イ ランへの経済制裁は同国の経済成長に大きな影響を与えて きており(図表2参照)、アハマディネジャド前大統領の国際社 会との対立路線とは対照的に、ロウハニ大統領就任後にイ ランと主要国との核開発に関する協議は進展しました。2014 年には米国、欧州連合(EU)が制裁を一部解除、そして2015 ピクテ投信投資顧問株式会社 年7月にイランと6ヵ国の間で合意は成立しており、今回(2016 年1月)の合意は最終的との位置づけですが、市場ではイラン の原油生産拡大はある程度織り込んでいたと思われます。 したがって、条件反射的な原油価格の急落はともかく、新規の 売り材料とは見込みにくいと見られます。しかし原油の供給が 需要を上回る中、イランの原油生産が回復するならば、原油 価格の回復を遅らせる要因に加わる可能性は考えられます。 図表1:推定イラン原油生産量の推移 (月次、期間:2011年1月~2015年12月、万バレル/日) 400 万バレル/日 推定イラン原油生産量 (万バレル/日) 350 300 250 200 11年1月 12年1月 13年1月 14年1月 15年1月 ※推定イラン原油生産量:ブルームバーグの推定値 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 図表2:イランのGDP(国内総生産)成長率と主な出来事 (年次、期間:2005年~2014年、GDPは年率) 10 2010年:イラン 包括制裁法 % 8 2012年:欧州連 合(EU)がイラン 産原油輸入禁止 6 リーマン・ ショック 4 2 0 -2 -4 2005年 アハマディネジャド 大統領就任 -6 イランGDP 2011年:イラン 経済制裁を含 む国防授権法 -8 05年 07年 09年 11年 2013年 ロウハニ 大統領就任 13年 出所:国際通貨基金(IMF)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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