オーストラリア市場レポート 2015年4月8日 豪州金融政策と豪ドル相場の見通し(2015年4月) 豪州準備銀行(RBA)は2ヵ月連続で政策金利を据え置き。RBA総裁は引き続き今後の追加利下げの可能性に言及。 緊縮型の財政政策が続く中、次回5月5日のRBA理事会で景気下支えのための追加利下げを判断する見通し。 RBAは「割高」としてきた豪ドル相場への警戒感を緩和。今後は主要国の金融政策の方向性がより重要に。 5月理事会に向け豪ドルは上値の重い展開が予想されるも、利下げ打ち止め感が生まれれば豪ドルに見直し余地。 図1:豪州準備銀行の政策金利 豪州準備銀行(RBA)は政策金利据え置きを継続 豪州準備銀行(RBA)は4月7日の金融政策理事会にお (%) 5.0 いて、2ヵ月連続で政策金利を2.25%で据え置く決定を下 4.5 しました(図1)。スティーブンスRBA総裁は理事会後の記 者会見で、「当面は政策金利の据え置きが適切と判断」と 述べ、3月会合に続いて政策の様子見姿勢を示しました。 RBAは5月理事会で追加利下げの是非を判断へ 4.0 3.5 3.0 2.5 2.25% 政策金利(キャッシュ・レート) 同時に、RBA総裁は景気下支えのための追加利下げの 2.0 可能性にも言及しました。当面のスケジュールを踏まえる 1.5 と、RBAは2015年第1四半期の消費者物価指数(CPI)の 09 10 11 12 13 14 15 (年) (出所)ブルームバーグ (期間)2009年1月1日~2015年4月7日 結果を確認した後、次回5月5日の理事会において追加 図2:中国向けの鉄鉱石スポット価格 利下げの是非を判断すると考えられます。特に5月のRBA 理事会では、「四半期金融政策報告(MPS)」で公表され 200 るRBAの経済見通しの改定が行われることから、政策変 175 更の経済的な背景を説明しやすい面もあります。 150 (米ドル/トン) 125 【当面の金融政策関連スケジュール】 4月22日: 消費者物価指数(2015年第1四半期) 5月5日: RBA理事会 政策決定公表 5月8日: RBA「四半期金融政策報告(MPS)」を公表 100 75 50 25 10年 11年 12年 13年 14年 15年 (出所)ブルームバーグ (期間)2010年1月1日~2015年4月2日 足元の豪州景気は強弱分かれる状況 足元の豪州景気は、2月の小売売上高が前月比0.7% 増となるなど個人消費は比較的底堅さを維持しているもの の、鉄鉱石価格の一段の下落や企業信頼感の悪化など の面では景気減速懸念が増しつつあります(図2-3)。 今後、5月に公表される2015年度(2015年7月~2016 図3:豪州の企業信頼感指数の推移 (中立=0) 20 10 5 年6月)の政府予算案では、中期的な財政均衡化に向け 0 た緊縮財政政策が採られるとみられることからも、RBAは -5 金融政策の面で景気下支えのための追加緩和策を打ち -10 出す公算が高いと考えられます。 信頼感改善 15 信頼感悪化 10年 11年 12年 13年 14年 15年 (出所)ナショナル・オーストラリア銀行 (期間)2010年1月~2015年2月 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが 作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益 を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 <審査確認番号H27-TB3> オーストラリア市場レポート <マーケット・レター> 図4:豪ドル相場の適正価格の推計値 RBAは豪ドル相場への警戒感緩和を示唆 RBAは従来から豪ドルに関して、「ファンダメンタルズから みた推計値を上回っている」と述べ、高水準の豪ドル相場 への警戒感を示してきました。しかし、今回のRBA理事会 1.3 (米ドル) 豪ドル高 米ドル安 1.2 1.0 ル安が見込まれる」との文言に修正され、RBAの豪ドル高 0.8 への警戒感緩和が示唆されました。 0.7 適正価格を小幅に下回る水準まで調整が進んでいるとみ 今後の豪ドル相場は金融政策の方向性が左右へ 豪ドルの適正価格 の推計値 豪ドル安 米ドル高 0.81 0.76 0.6 推計値 -20% 0.5 豪ドルの対米ドル相場 0.4 られ、豪ドルの割高感は相当な程度解消されていると考 えられます(図4)。 推計値 +20% 1.1 の声明文では、「資源価格の下落を考慮すると一段の豪ド 0.9 豪ドル相場は、主要資源価格と対米金利差の面で既に 2015年4月8日 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 (出所)ブルームバーグよりレッグ・メイソン・アセット・マネジメント作成 (期間)1990年1月~2015年3月 (注)豪州の主要資源価格と対米金利差から豪ドルの適正価格を推定。 図5:豪ドルの対米ドル、対ユーロ、対円相場 豪ドル相場の割高感の解消が進みつつあることで、今後 (米ドル、ユーロ) 1.2 の豪ドル相場の先行きをうらなう上では各国の金融政策 豪ドル高 対米ドル(右軸) の方向性がより重要になると考えられます。 1.1 豪ドル安 実際、主要通貨に対する豪ドル相場の推移を見ると、対 1.0 米ドルでは1豪ドル=0.76米ドル近辺へ緩やかな豪ドル安 が進んできた一方、量的金融緩和を拡大するユーロに対 しては緩やかな豪ドル高基調が続いています(図5)。 当面の豪ドル相場の注目点 0.9 0.8 (円) 110 90 けて追加利下げ観測から豪ドル相場は上値の重い展開が 80 0.7 対ユーロ(右軸) 100 豪州の金融政策の面では、5月5日のRBA理事会に向 想定されます。ただし、実際にRBAが追加利下げを実施し、 市場でRBAによる利下げ打ち止め感が生まれれば、2015 年後半に向けて豪ドルへの見直しの動きが広がる可能性 11 直近の市場コンセンサスでは、RBA政策金利は2.00% まで引き下げられた後、2015年末まで据え置かれるとの 5 を継続する日本や欧州では引き続き国債利回りの低下が 顕著であり、豪州国債との間に一定の金利差が維持され ています(図6)。日・欧との金利差は、引き続き豪ドルの 12 13 14 15 (年) (出所)ブルームバーグ (期間)2011年1月1日~2015年4月7日 6 また、主要国との金利環境の比較の面では、量的緩和 0.6 対円(左軸) 70 もあります。 見方が大勢となっています。 (年) (%) 図6:主要国の10年国債利回りの推移 豪州 4 米国 3 2.30% 1.90% 2 ドイツ 1 対円相場の下支え要因となると期待されます。 0 0.34% 0.19% 日本 10年 11年 12年 13年 14年 15年 (出所)ブルームバーグ (期間)2010年1月1日~2015年4月6日 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが 作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益 を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
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