オーストラリア市場レポート 2015年9月2日 豪州準備銀行は4会合連続で政策金利の据え置きを決定 豪州準備銀行は4会合連続での政策金利据え置きを決定。引き続き、当面の政策の様子見姿勢を示唆。 中国景気減速や世界的な金融市場の変動を受けても、RBAの景気判断や金融政策の方針には概ね変化なし。 リスク回避姿勢の強まりから豪ドル安・円高が進行。RBA声明文は前回会合に続き豪ドルの水準への警戒緩和を示唆。 各国政府の政策対応などにより世界的な金融市場の動揺が収束に向かえば、豪ドルへの見直しが進む可能性。 図1:豪州の政策金利と基調インフレ率 豪州準備銀行は4会合連続で政策金利据え置き 豪州準備銀行(RBA)は9月1日の理事会において、4会 合連続で政策金利を2.00%に据え置きました(図1)。 今回の市場の注目は、世界的な金融市場の動揺を受 けたRBAの金融政策判断に集まったと言えます。スティー 5.0 4.0 3.5 アの景気減速」や「中国の動向に関連した世界的な株式 3.0 気判断や金融政策の方針については前回会合から概ね 変化がみられませんでした。 豪州準備銀行の政策金利 (キャッシュ・レート) 4.5 ブンスRBA総裁の声明では、冒頭において「中国と東アジ 市場の急変動」に関する言及がなされたものの、RBAの景 (%) 基調インフレ率 (前年比) 2.5 2.0 インフレ目標 レンジ(2~3%) 1.5 09 RBAは政策の様子見姿勢を引き続き示す 声明文では「政策金利の据え置きが適切」と述べられ、 当面の経済動向や金融市場の行方を注視する様子見姿 勢が引き続き示されました。直近の市場コンセンサスでは、 2015年4-6月期 2.3% 10 11 2.00% 12 13 14 15 (年) (出所)豪州準備銀行(RBA)、豪州政府統計局(ABS) (期間)基調インフレ率:2009年1-3月期~2015年4-6月期 政策金利:2009年1月1日~2015年9月1日 (注)基調インフレ率は天候異変や事件など短期的、突発的な変動を 除いた長期的・傾向的な物価上昇率。 RBAの政策金利は、当面の期間据え置かれるとの見方が 図2:豪州の消費者信頼感指数と株価推移 大勢となっている模様です。 RBAの景気判断も前回会合を踏襲する内容 豪州景気に関しては、「多くの利用可能な情報は緩やか 6,000 消費者信頼感指数(右軸) (中立=100) 120 5,800 115 分強い雇用拡大と失業率の安定を伴っている」との表現も 5,600 110 な景気拡大を示している」との景気判断が示されました。 「経済成長率は長期平均を幾分下回っているものの、幾 前回の理事会の声明文を踏襲するものとなりました。 5,400 105 世界的な金融市場の動揺を受けて、豪州株式市場でも 5,200 8月に入り株価の下落が顕著となりました。一方、週次の 100 株価急落を受けても消費者信頼感は改善基調 消費者信頼感指数は足元で緩やかな改善を示しており、 現時点では世界的な株価下落の消費センチメントへの影 響は限定的に留まっていると思われます(図2)。 5,000 2014年1月 豪州株(S&P/ASX200指数、左軸) 95 2014年7月 2015年1月 2015年7月 (出所)ANZ銀行、ロイ・モーガン、ブルームバーグ (期間)2014年1月5日~2015年8月30日(週次) 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが 作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益 を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 <審査確認番号H27-TB73> オーストラリア市場レポート 2015年9月2日 図3:豪ドルの推移(対円、対米ドル) リスク回避姿勢の強まりから豪ドル安が進行 為替市場では8月下旬以降、世界的な株安に伴うリスク 105 (円) 回避姿勢の強まりから、豪ドルの軟調な地合いが続いてい ます。豪ドルの対円レートは、円高・米ドル安の影響もあり、 足元では1豪ドル=86円前後へ豪ドル安・円高が進行し ています(図3)。 RBAは豪ドルの水準への警戒感緩和を示唆 9月1日のRBA理事会の声明文では、豪ドルに関して「資 源価格の大幅下落に順応しつつある」との表現に留まり、 前回会合に続いてRBAの豪ドル高への警戒感の緩和が 示唆されました。一方、資源価格の動向に目を転じると、 2015年8月以降の中国の鉄鉱石相場は1トン=55米ドル (米ドル) 1.00 対円レート(左軸) 100 95 0.90 90 0.85 85 豪ドル高 60 40 -10 -20 07 進展などにより世界的な金融市場の動揺が収束に向かう 過程では、豪ドルや豪州株・債券への見直しが進む可能 08 11 12 13 14 15 (年) (%) 6.0 豪州株式(S&P/ASX200指数) 予想配当利回り 5.0 4.0 5.20% 豪州10年国債利回り 3.0 2.64% 2.22% 2.0 米10年国債利回り 1.0 州株式の予想配当利回りは5%台の水準へ上昇している 0.0 13年1月 的に利回り水準の高さを維持しています(図5)。 10 図5:豪州株の予想配当利回りと10年国債利回り 性があると考えられます。とりわけ、足元での株安により豪 ほか、豪州の10年国債利回りも欧米国債と比較して相対 09 (出所)ABS (期間)2007年1-3月~2015年4-6月 足元では、中国をはじめ世界的な金融市場の不透明感 一方、各国政府・中銀の政策対応や米国景気の回復の 株式投資 -40 億豪ドルへ資金流入が拡大しました(図4)。 ら当面の豪ドルは上値が重い展開が予想されます。 債券投資 豪州からの資金流出 -30 期には87億豪ドルへ流入ペースが鈍化した一方、豪州株 は必ずしも解消されておらず、投資家のリスク回避姿勢か 豪州への資金流入 10 券の合計)は12四半期連続での流入継続となりました。 豪ドルや豪州株・債券への見直しが進む可能性 (10億豪ドル) 20 0 式への投資は1-3月期の51億豪ドルから4-6月期には75 15年7月 30 支統計によれば、海外投資家による証券投資(株式・債 債券投資は2015年1-3月期の305億豪ドルから4-6月 15年1月 図4:海外投資家の豪州への証券投資 用したものと考えられます。 証券投資の内訳を見ると、海外投資家による豪州への 0.70 14年7月 (出所)ブルームバーグ (期間)2014年1月1日~2015年9月1日 50 9月1日に公表された豪州の2015年4-6月期の国際収 0.75 豪ドル安 75 14年1月 は資源価格要因よりも世界的なリスク回避要因が大きく作 4-6月期の海外投資家による対豪証券投資 0.80 対米ドルレート (右軸) 80 前後で概ね安定した推移が続いていることから(8月31日 時点では1トン=56.21米ドル)、8月下旬以降の豪ドル安 0.95 0.80% 独10年国債利回り 13年7月 14年1月 14年7月 15年1月 15年7月 (出所)ブルームバーグ (期間)2013年1月1日~2015年9月1日(米・独金利は8月31日時点) 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが 作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益 を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
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